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「姿三四郎」(1970) [映画(邦画)]

今度は竹脇無我さんの訃報が届いたということで、追悼の意味で彼の主演した作品を取り上げます。ただ、彼というと、映画ではなくてドラマの「大岡越前」や「おやじのひげ」でのバイプレーヤーというイメージが強く、失礼ながら、主演作ってあったっけ?と思ってしまいました。(主演作は余り多くないが、'60年代後半から'70's初頭は主演格として活躍しています。)謹んで、ご冥福をお祈り致します。

で、取り上げる作品は、何度か映画化されている「姿三四郎」です。(やはり、何度も映画化されている「人生劇場」もあるが、そちらは別の形で取り上げようと思っていたので、またと言うことにします。)

姿三四郎」は、言うまでもなく富田常雄の小節の映画化作品であって、1943年の黒澤明監督作品が余りにも有名である。(黒澤監督の初監督作品でもある。)以後、1955年、1965年、本作の1970年、1977年と映画化されていて、それ以外にもTVドラマ化もされている作品である。(主だった映画会社がそれぞれ映画化している。)

今回取り上げる1970年の作品は松竹の作品であって、5回の映画化作品の中では、尺という点ではもっと短い作品となっている。(長ければ良いというものでもないが、短ければそれはそれでまた色々と言われるところもありますが...)尚、劇場公開は1970年7月であった。

作品データを記しておくと、1970年の松竹作品で、時間は88分である。原作は富田常雄、監督と脚本は渡辺邦男、撮影は西前弘、美術は木村晃麿、音楽は牧野由多加である。そして出演は、竹脇無我、高橋幸治、尾崎奈々、森次浩司、高城丈二、堀雄二、曽我廼家明蝶、小沢忠臣、大下哲矢、加賀邦男、榊原史子、白木マリ、たちである。

柔術が注目されるようになった明治の時代、紘道館を開き、従来の柔術に新理論を加えた柔術を広めようとしていた矢野正五郎は、ある日、彼の志を潰そうとしていた門馬一味に襲われる。その時、現場に車夫として居合わせていた姿三四郎は、正五郎の毅然とした態度に惚れ込んで紘道館へ入門する。そして熱心に稽古を重ねる。正五郎は、柔術だけでなく、人間としてのあり方も三四郎に教えるが、三四郎は師の言葉に反発して、寺の蓮池に飛び込み、一本の杭に身を任せて一昼夜、水の中で過すということもあった。三四郎はやがて心眼を開き、才能を開花させることになる。で、警視庁武術大会に出場することになった三四郎。対戦者は柔術界の雄・村井半助で、得意の山嵐で勝利を掴んだ三四郎。村井は負けて勝者を讃え、それと、賭の娘・早乙美との純愛に挟まれることになる三四郎。更に、村井の高弟である桧垣源之助は、三四郎を倒そうとして立ち塞がる。手段を選ばない桧垣は、三四郎のことを憎み、早乙美との恋も賭けて決闘をすることを狙っていた。で、決闘は右京ケ原で行うことになり、遂にその対決の日がやってきた。生死を賭けたその戦いは、互に秘術をつくし、激闘を続けることになる。壮絶な戦いは、桧垣の一瞬の隙をついた三四郎が勝った。しかし、紘道館では他流試合を禁じていたため、三四郎はそのまま右京ケ原をあとにして、一人で旅立って行った。

「姿三四郎」というと、結構重さを感じるような作品が多いのだが、本作では三四郎の青春物語という要素を出しているため、爽やかなイメージがする作品になっている。また、ヒロインの早乙美を演じる尾崎奈々が爽やかな所を出しているのも大きい。

作品としたら、時間的には見やすいものに纏まっているが、「姿三四郎」の物語からすると、本当に骨格部分に絞って描いたということで、これはこれで悪くはない。何せ、長尺作品となると、それはそれで、色々とだれてしまう所も出てくるものであるが、そういう冗長度の高い部分が無いのですから...また、本作でも「姿三四郎」という物語の粗筋は分かりますからね。それだけに、更にね三四郎の姿も描いて貰いたかったと思う所である。

何作かある「姿三四郎」の映画化作品の中ではお子様ランチ的な所が強い作品になっているものの、「姿三四郎」の物語を知らないという方が初めて見るには良い作品ですね。

 

※黒澤監督作品ならば色々とソフトもありますが、本作のソフトは見当たりません... 

↓原作小説はこちら

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  • 作者: 富田 常雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1973
  • メディア: 文庫

姿三四郎 中巻 (新潮文庫 と 6-2)

  • 作者: 富田 常雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1973
  • メディア: 文庫

姿三四郎 下巻 (新潮文庫 と 6-3)

  • 作者: 富田 常雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1973
  • メディア: 文庫

↓マンガ化もされています。

姿三四郎 【コミックセット】

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • メディア: コミック

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