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「ALAMO BAY」 [映画(洋画)]

表題の作品は1985年のアメリカ映画「アラモベイ」である。日本での劇場公開は1987年8月であった。フランス出身のL・マル監督は1976年に渡米したが、本作はアメリカ次代の最後の彼の監督作品である。(次作からはフランスに戻る。但し、1994年の遺作はアメリカ映画である。)テキサスの小さな漁村を舞台にして、地元の漁民とベトナム難民の対立を描いた社会派ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は94分、監督はルイ・マル、脚本はアリス・アーレン、撮影はカーティス・クラーク、音楽はライ・クーダーである。そして出演は、エイミー・マディガン、エド・ハリス、ホー・ニュアン、ドナルド・モファット、ルディ・ヤング、キャロライン・ウィリアムズ、ゲイリー・バサラバ、トリューエン・V・トラン、シンシア・カール、マルティノ・ラサール、たちである。

ベトナム戦争で、1975年にサイゴンが陥落すると、多くのベトナム難民がアメリカに渡った。テキサスのアラモベイという町にやってきたディンもベトナム難民の一人であり、アラモベイの町にはベトナム難民が多く生活していた。ウォリーとグローリーの親子はそういう難民たちを保護して雇い入れてエビ漁を仕切っていた。ディンもウォリーとグローリー親子の元で働くようになる。しかし、地元の漁師たちは増え続ける難民に対して不満を抱くようになっていく。アメリカン・ドリーム・ガール号という船を持っているシャーンもそんな一人であった。彼は妻とうまくいっておらず、生活も苦しかった。かつての恋人・グローリーとの火遊びが唯一の気晴らしであった。そんな町に、白人主義者で有色人種排撃を旗印にするKKKが目を付けて、町にやってきた。そして漁師たちを焚き付けて、ベトナム難民を追い出すように唱え始めた。そんな中、借金のかたとしてアメリカン・ドリーム・ガール号を差し押さえられたシャーンが、海上でベトナム人に発砲するという事件が起きる。そして、この一件から地元の白人とベトナム難民との対立が激化していくことになる。更に、ベトナム難民を雇っていたウォリーが心臓発作で倒れて入院してしまう。そしてグローリーは、対立のきっかけとなったシャーンと別れる決心をする。しかし、KKKをはじめとする白人のベトナム難民に対する攻撃は拍車が掛かり、ベトナム人たちは次第に町を離れていく。しかし、ディンだけは町に残り、グローリーと2人で白人たちに抵抗した。ある夜明け時、グローリーのいない間にシャーンたちはディンを襲った。ディンは絶体絶命となるが、そこにグローリーが駆けつけると、かつて愛した男・シャーンに涙を流して発砲するグローリーだった...

アメリカの病的な部分を鋭くえぐった作品である。派手な所は無いが、アメリカ社会に根強く残っている白人主義、恐れるものは排斥するという所を、フランス出身のL・マル監督が斬新な切口で描いている秀作である。ただ、日本では難民の受け入れが殆ど無いと言うこと、KKKは名前が一人歩きしている所があることから、今一つ、本作が問うている社会問題が分かりづらいということもあるでしょうね。(→本作を見る前に、少し予習が必要ということになるが、社会派ドラマとはそういうことも必要である。)

 

↓輸入版のビデオです。(かつてはLDでリリースされていたが、DVD化されていません。)

Alamo Bay [VHS] [Import]

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  • 出版社/メーカー: Columbia/Tristar Studios
  • メディア: VHS


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