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「人生劇場」(その10) [映画(邦画)]

今回は、現時点での最新作となる1983年の東映作品について記します。劇場公開は1983年1月であった。本作は「青春篇」「愛欲篇」「残侠篇」の3作を3人の異なる監督で製作したものをまとめた作品ということで、独特の味が出ている作品である。

人生劇場」(1983年)
作品データを記しておくと、1983年の東映作品で、時間は138分、原作は尾崎士郎、監督は深作欣二、佐藤純彌、中島貞夫の3人、脚本は野上龍雄、深作欣二、佐藤純彌、中島貞夫の4人、撮影は安藤庄平、並木宏之、北坂清の3人、美術は佐野義和、井川徳道の2人、音楽は甲斐正人である。そして出演は、永島敏行、三船敏郎、松坂慶子、中井貴恵、森下愛子、叶和貴子、奥田瑛二、片桐竜次、平田満、三条美紀、蟹江敬三、有川正治、丹古母鬼馬二、奈辺悟、藤岡重慶、梅津栄、大小原繁、菅田俊、長谷川康夫、妹尾友有、石井洋充、高野嗣郎、杉欣也、石井茂樹、床尾賢一、中島俊一、高木吉治、岡路千、勝野賢三、大木晤郎、野口貴史、松本恵子、高月忠、藤長照夫、池田謙治、萩原流行、石丸謙二郎、中村錦司、安東千恵夫、木谷邦臣、伊勢将人、高橋かおり、荒木雅子、守田学哉、ニコライ・ラクチ・オオノフ、成田三樹夫、西村晃、三浦徳子、小林稔侍、市川好郎、原吉美、鈴木康弘、岩尾正隆、岡本麗、マキノ佐代子、谷口サヨ子、三島ゆり子、白礼花、成瀬正、秋山勝俊、室田日出男、菅貫太郎、風間杜夫、松方弘樹、若山富三郎、たちである。

故郷の三州吉良から上京して早稲田の学生となった青成瓢吉。故郷のことを色々と重いながらも学生生活を過ごしていて、その中で吹岡や横井たちと知り合い、大隈重信夫人銅像建設反対運動をはじめとする一連の学生運動に熱中していくことになる。また、初めての女となるお袖とも知り合う。2人の恋は燃え上がっていく。一方、学生運動の方は内部分裂を繰り返していき、瓢吉は大学を捨てる決意をした。そして作家を目指しながら、お袖との愛欲の日々を続けていて、苛立ちも感じていた。

横浜、本牧の侠客・飛車角は、おとよという女郎に惚れるが、そのおとよに身受け話が持ち上がり、2人は開港60周年の港祭りの夜に足抜けを実行した。そして兄弟分・奈良平に紹介されて、小金一家に身を寄せることになった。

瓢吉は中学時代の名物先生・黒馬と再会し、女流作家を目指す小岸照代と出会うが、遺書を残して父・瓢太郎が自殺したという知らせを受けて、故郷に戻り、久しぶりに母や幼馴染みのおりん、更に吉良常たちと再会した。

飛車角とおとよは、小金の世話で世帯を持ち、ささやかに暮らしていたが、丈徳一家との出入りが起り、飛車角は義理を果たすために丈徳を斬った。が、その出入りの最中に、奈良平がおとよを売ってしまい、飛車角は怒って奈良平を斬ってしまう。そして逃げる途中の寺で、小説に取り組んでいる瓢吉と吉良常に出会う。吉良常の説得で飛車角は自首し、懲役7年の判決で刑務所に入った。

瓢吉と照代は競い合うように、懸賞小説の一席と二席とを分ち合い、それを機会に同棲生活を始めた。瓢吉と別れてから流浪生活をしていたお袖は、玉の井の「鱶野」の女郎となっていたが、そこでおとよと知り合う。おとよは、小金一家の宮川と再会し、飛車角に通じるものを感じて深い仲となっていった。

瓢吉は中国大陸取材旅行の話で出版社に打ち合せに向かうが、その時にお袖と再会する。しかし、お袖は逃げてしまい、行方不明となる。瓢吉はお袖のことが気になり、大陸に行くことを断念した。吉良常はさすらいの旅に出ていき、おとよは宮川との愛に苦しみ、飛車角は出所してきた...

物語としては、色々と詰め込みすぎていて、それぞれの描写が浅くなってしまっているのが残念なところである。原作の3つの部を1つの作品にしてまとめると、どうしても尺の問題を無視できないのは仕方の無いところということは分かるが、138分という尺では無理がある。(1972年の松竹作品(167分)よりも約30分も尺が短いのだから...)これでも部分的にはカットしているエピソードもあるが、そこまでして原作の3つを1本の作品として仕上げる意味があるのか?と疑問に感じるところである。ということで、1972年の松竹作品の方がはるかに上であって、そちらを見たら、本作は見る必要は無いですね。

尚、3人の監督が演出を担当しているというところは、それぞれの監督の特徴が出ていて、本作では良い方に転がっているだけに、全体の尺のことが本作をつまらなくしてしまったのが非常に残念である。(→こういう顔ぶれで映画にするのであれば、三部作にすべきである。)

 

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