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「L'ATALANTE」 [映画(洋画)]

表題の作品は1934年のフランス映画「アタラント号」である。日本では長らく劇場未公開であったが、1991年11月になってようやく劇場公開となった。フランス映画界で新人監督に贈られる賞である「新人監督賞」に名前が付けられているジャン・ヴィゴ監督が手掛けた唯一の長編作品として知られている作品である。(彼は29歳で早世している。)オリジナル版のフィルムが散逸していたことで幻の傑作と呼ばれていた作品であるが、1989年になってネガが発見されたことで、それを元にして復元した作品である。

作品データを記しておくと、時間は101分、白黒作品である。製作はジャック・ルイ・ヌネーズ、監督はジャン・ヴィゴ、脚本はジャン・ジェミール、撮影はボリス・カウフマン、音楽はモーリス・ジョーベールである。そして出演は、ミシェル・シモン、ディタ・パルロ、ジャン・ダステ、ルイ・ルフェーブル、ジル・マルガリティス、ファニー・クラール、たちである。

田舎町との間を結んでいる船・アタラント号。その若き船長・ジャンは新婚で、妻となったジュリエットと共に船に乗り込み、新婚旅行としてパリに向かう。パリに到着するが、ジャンはジュリエットが街の不健全な空気に染まることを恐れ、ジュリエットを宥め、パリを後にしようとするが、パリの華やかなことを聞き伝えに知ったジュリエットは、深夜、夫の目を盗んで街に出る。それを知ったジャンは怒り、ジュリエットを置き去りにして出航させてしまった。船が出てしまったジュリエットは、更にバッグも盗まれ、途方に暮れてしまう。一方、ジャンは、起こって出航したが、ジュリエットのことが気になって仕方が無い。乗組員がサレを察してジュリエットを待ちに探しに行き、無事に発見し、元の鞘に収まり、何事も無かったようにアタラント号はいつものように航海を続けていた。

本作は傑作として知られているが、言葉通りには行かないところがある。というのは、J・ヴィゴ監督が早世したこと、更にフィルムが散逸してしまったことで、作品内容が語られること無く、「傑作」という言葉が一人歩きしてしまった所がある。見なければ航海するというような傑作中の傑作というようには感じられない。が、のんびりとした日常をほのぼのと描いているところや、表現技法には色々と面白いものが出ている。(この点では「傑作」という言葉に偽りはない。)

物語も悪くないが、絶賛されるような作品とは思えないが、映画の表現方法には色々と学べるところがあって、そういう意味での傑作である。
こういう作品は、ストーリーを追う形で映画を見る方は敬遠した方が良いでしょうね。映画の「表現方法」を学んだり、芸術的な要素を重視するカタは必見である。

まあ、半世紀以上も経過してから、散逸していたフィルムが発見されたというのも、考えようによっては、本作を甦らせる技術がしっかりとしたからこそ、神様がフィルムを出した、と思えるところがあって、やはり何かを持っているという作品であることを強く感じるところである。

 

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↓一応、出ていたものの、入手困難ということで...

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