BILLY IDOL『WHIPLASH SMILE』

表題のアルバムは1986年に発表された彼の3枚目のソロ・アルバムである。前作のヒットは本国イギリスよりもアメリカの方が大きかたこともあって、本国イギリスだけが伸び悩んだ形になったが、本アルバムはイギリスでも大ヒットとなり、彼のソロ・アルバムの中ではイギリスでは最大のセールスを記録することになったアルバムである。（アメリカでは引き続いてヒットしているが、セールスは前作の方が上だった。）チャート成績は、イギリスでは最高位8位を記録し、フィンランドで3位スウェーデンとスイスで4位、ニュージーランドで5位、カナダとアメリカで6位、（西）ドイツで9位、豪州で18位を記録している。また、1987年のBillboard年間アルバム・チャートでは28位にランクインしている。

収録曲は以下の全10曲である。『Worlds Forgotten Boy』『To Be A Lover』『Soul Standing By』『Sweet Sixteen』『Man For All Seasons』『Don't Need A Gun』『Beyond Belief』『Fatal Charm』『All Summer Single』『One Night, One Chance』。

この中からシングル・カットされたのは4曲である。1st.シングルの『To Be A Lover』はアメリカでは最高位6位を記録して、1987年のBillboard年間シングル･チャートでは64位にランクインしている。また、ニュージーランドでは2位、豪州とフィンランドで3位、スイスで7位、スウェーデンで8位、イタリアで16位、イギリスで22位、（西）ドイツで28位を記録して、本アルバムからの最大のヒット・シングルになった。2nd.シングルの『Don't Need A Gun』はフィンランドで8位、豪州で22位、イギリスで26位、ニュージーランドで27位、（西）ドイツで36位、アメリカで37位を記録した。明日知るシングルの『Sweet Sixteen』は（西）ドイツで2位、ニュージーランドで3位、豪州で9位、スイスで12位、フィンランドで16位、イギリスで17位、アメリカで20位を記録した。4th.シングルの『Soul Standing By』はニュージーランドで20位、豪州て93位を記録しただけであった。

お薦め曲は、シングル・ヒットを記録している『To Be A Lover』『Don't Need A Gun』『Sweet Sixteen』の3曲と、『Beyond Belief』『All Summer Single』をピックアップしておく。

サウンドの方はダンサブルな要素が出ていて、打込を多用した機械的な音作りと彼のエネルギッシュでワイルドなボーカルとが不思議なミスマッチをしていて、それが魅力ポップな要素の濃いアルバムになっている。この時期、「パワーバラード」がアメリカでは大流行していたが、それをダンサブルなものにしたというものであって、親しみやすいと言えば親しみやすいサウンドである。（が、飽きやすいサウンドでもあるのもまた事実でして...で、そういう所も確かに出ていますね...）

親しみやすいサウンドであるのは良いが、彼の持ち味であるワイルドなロックという所が薄くなっているのは残念な所であって、やはり前作の方が彼らしいアルバムであると言うことが出来る。が、本国イギリスでの成績を考えると、やはり外せないアルバムと言うことにもなる。ということでちょっと複雑な思いをするアルバムでもある。

ロックがお好きな方だけで無く、よりもポップでこれぞ'80'sサウンドというものがお好きな方にも受け入れられるサウンドである。（が、本来のロック・ファン物足りなさのあるのもまた事実ですが...）

 

Whiplash Smile

• アーティスト:
• 出版社/メーカー: Collectables
• 発売日: 2008/03/25
• メディア: CD

Whiplash Smile

• アーティスト:
• 出版社/メーカー: EMI Special Products
• 発売日: 2002/09/10
• メディア: CD