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「THE DEFIANT ONES」 [映画(洋画)]

表題の作品は1958年のアメリカ映画「手錠のまゝの脱獄」である。(「手錠のままの脱獄」と表記されている資料もある。)日本での劇場公開は1958年10月であった。人種差別問題がまだ根強かった時代に、人種問題に脱走サスペンスを絡ませて描いた作品で、Sクレイマー監督の名前を広く知らしめることになった作品である。また、本作はアカデミー賞で脚本賞と撮影賞の2部門を受賞している。

作品データを記しておくと、時間は97分、白黒作品である。監督はスタンリー・クレイマー、脚本はネーサン・E・ダグラスとハロルド・ジャコブ・スミスの2人、撮影はサム・リーヴィット、音楽はアーネスト・ゴールドてある。そして出演は、トニー・カーティス、シドニー・ポワチエ、カーラ・ウィリアムス、セオドア・バイケル、チャールズ・マッグレイ、ロン・チャニー、キング・ドノヴァン、クロード・エイキンズ、ローレンス・ドブキン、ウィット・ビッセル、カール・スウィッツァー、ケヴィン・コフリン、たちである。

囚人護送車が雨の中で事故を起こして崖から転落した。死者は出なかったが、白人囚人のジャクソンと黒人囚人のカレンの2人が脱走した。しかも2人は互いの手首と手首とを鎖でつながれたままであり、しかも2人は白人と黒人ということもあって、強い人種偏見を持っていて、憎悪の気持ちを持っていた。囚人脱走の報を受けて、ギボンス警部率いる武装警官隊と、ルー・ガンスを隊長とする民間人徴集隊が協同で、雨の中、山狩りが開始された。一方、脱走した2人は、増水した川を渡り、崩れ易い陶土採掘坑に身を潜め、沼地で食用ガエルを捕って食べ、必死の逃走をしていた。互いに憎しみの心があったものの、鎖で繋がれている以上は協力しなければならなかった。そんな2人は、食料を求めてある村の店に忍び込んだ。が、ジャクソンは足を滑らせて手錠で手首に傷を受け、カレンも床に転落し、その物音に気づいた村人たちによって捕らえられた。そしてリンチを加えようとしたが、長い獄中生活経験のある大男・サムが2人を救った。が2人は子供に銃を突きつけられることになる。カレンはその銃を奪い、子供の家に行く。子供の母親は2人に食物を与え、手錠の鎖を切ったが、ジャクソンは手首の怪我から発熱し、ダウンしてしまった。母親はそんなジャクソンの体調が回復すると、連れて逃げてくれと頼み、カレンには北に逃げる沼地を抜ける近道を教えた。しかし、その近道というのは流砂に埋まる死の道と知ったジャクソンは、女を振り切ると、カレンの後を追って助けた。が、子供が銃を放ち、ジャクソンは撃たれてしまった。警察の追っ手は銃声によって集まってくる。ジャクソンとカレンは何とか鉄道線路に辿り着き、通貨列車に飛び乗ったが、力尽きた2人は車外に転落し、追っ手が2人を取り囲んだ。その時、ジャクソンは虫の息で、カレンは静かに民謡を歌っていた...

憎しみ合っていた2人が友情で結ばれていくという展開は、バディものとしては王道をいくものであるが、そこに人種問題を絡ませていることで、重くなってしまうテーマに娯楽性を溶け込ませることに成功していて、見ていても重くならない。しかも、悲しいラストを迎えるということで、娯楽性に徹していないという所も上手いところである。

また、カラーではないものの、色彩感を感じさせる白黒画像が切ないラストを上手く描くことに成功していて、こういう所は白黒作品ならではの光と影の描写が上手く出来るものと改めて感じさせてくれるところである。ということで、じっくりと見ておきたい秀作である。

 

手錠のままの脱獄 [DVD]

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