「DRUM」 [映画(洋画)]
表題の作品は1976年のアメリカ映画「ドラム」である。日本での劇場公開は1977年11月であった。白人と黒人の混血児として生まれた黒人青年・ドラムの運命に弄ばれた人生を描いた人間ドラマである。
作品データを記しておくと、時間は100分、原作はカイル・オンストット、監督はスティーヴ・カーヴァー、脚本はノーマン・ウェクスラー、撮影はルシアン・バラード、音楽はチャーリー・スモールズデアル。そして出演は、ケン・ノートン、ウォーレン・オーツ、イゼラ・ヴェガ、ヤフェット・コットー、ジョン・コリコス、パム・グリア、レインボー・スミス、フィオナ・ルイス、ポーラ・ケリー、ローヤル・ダーノ、たちである。
1847年のニューオーリンズ。奴隷として黒人売買で暴利をむさぼっているマリアナは、20年前にキューバで黒人奴隷と恋に落ち、子供を産んでいた。その子は時ラムという名前の男の子で、乳母・レーチェルに育てられ、現在ではマリアナの娼館で働いていた。ある日、マリアナの店のスポンサーの1人てあるデマニエは、ドラムに目を付けて、彼を夜の余興で行っている拳闘試合に出場させた。対戦相手は黒人ボクサーのブレーズであったが、ドラムはそれに勝った。しかしドラムとブレーズは同じ黒人奴隷という子とも会って友情が芽生えた。そんな中、かつてドラムに恨みを持つデマニエが発砲し、ドラムに駆け寄ったレーチェルが射たれて死んでしまう。マリアナは実の母親と言うことを告げられぬまま、ドラムの身の安全を考えて、ブレーズと共に農園主・ハモンドに売ってしまう。農園では、娘のソフィが2人を誘惑するが、白人娘と黒人が関係を持つのは問題とするドラムと、誘惑に負けそうになるブレーズは対立して喧嘩をしてしまい、その罰として鞭打ち刑を受けることになった。この時、ブレーズは白人に対する怒りを覚え、白人に使える生き方をするドラムと反目することになった。それからまもなく、ハモンドはソフィの家庭教師・オーガスタト結婚することになり、その披露パーティが行われる。そこには、黒人を奴隷としてしか見ていない奴隷商人のモンゴメリーも来ていて、ブレーズは自由に目覚めることになる。捕らわれていた鎖をドラムに解いて貰ったブレーズは黒人たちを率いてモンゴメリーを殺し、屋敷に火を放った。そして白人たちとの間で銃撃戦となる。ドラムは必死でブレーズを説得しようとしたが、デマニエがブレーズを撃ち殺してしまった。が、これはドラムの心に白人に対する憎しみと怒りに火を付けることになってしまう。そしてドラムはブレーズの意志を受け継いで、黒人奴隷たちの先頭に立ち暴れ回った。そしてこの騒ぎに巻き込まれたマリアナもその犠牲となった。その後、南北戦争が始まり、黒人奴隷が解放されたのは1963年1月のリンカーン大統領の奴隷解放宣言が発効されたときであった。
'70's中盤というと、奴隷解放から100年を過ぎた時期であって、その暗黒の歴史に目を向けた作品がいくつか製作されている。その代表作はTVシリーズで大ヒットした「ルーツ」であるが、本作の原作もそのブームに乗って大ベストセラーとなったものである。
黒人奴隷は人間扱いされておらず、家畜の馬と同じ扱いという悲惨な境遇の中、白人の間でもそれを当たり前としている様子も上手く描かれている。歴史的な事実として、知っておきたい事柄であるだけに、見ておくべきでしょう。
尚、カイル・オンストットは本作の姉妹編となる「マンディンゴ」の作者でもあって、そちらも本作と同じケン・ノートンの主演で映画化されている。ということで、それとセットにしてみるのも良いでしょうね。
↓かつてはLDでリリースされていたのに、現在はソフトが無いようです...ということで...
↓「マンディンゴ」はこちら
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