「EL DORADO」(1987) [映画(洋画)]
表題の作品は1987年のスペイン、フランス、イタリアの合作映画「エル・ドラド」である。日本での劇場公開は1989年4月であった。尚、本作と同名タイトルの1966年の作品(ハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演、西部劇の名作である。)の方がはるかに有名であるが、本作はその作品とは全く関係ない別物語(時代も舞台となる場所も異なっている。)であって、16世紀の南米・黄金の国を求める男の冒険物語である。→そのため、タイトルに製作年を記すことで、H・ホークス作品と区別することにしておく。
作品データを記しておくと、時間は151分、監督と脚本はカルロス・サウラ、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はアルハンドロ・マソである。そして出演は、オメロ・アントヌッティ、ランベール・ウィルソン、エウセビオ・ポンセーラ、カブリエラ・ロエル、イネス・サストレ、たちである。
黄金郷・エル・ドラドの存在を信じて、1560年9月、400名という大所帯の遠征隊はペルー・のサンタ・クルース・デ・カポコヴァールを出航した。遠征隊は司令官ペドロ・デ・ウルスアが指揮を執り、一癖も二癖もある連中が、黄金郷を信じて参加していた。特にロペ・デ・アギーレは娘のエルヴィラと共に最後の勝負に出ていた。遠征隊はアマゾンの密林を進んでいくが、次第に彼らの欲望は狂っていき、遂にウルスア司令官に不満を持つ者が増えていく。そんな中、インディオたちに包囲されてしまい窮地に陥る。これを救ったのはアギーレであって、これを期に、ウルスアは信頼を失い、暗殺されてしまう。新たな司令官としてフェルナンド・デ・グスマンが任命される。しかし、遠征隊は既に精神的にずれが生じていた。そして次第に、陰謀によって、一人、また一人と処刑されていき、人数も減っていく。そして、陰謀と欲望の渦巻く中、アギーレは指導者となるが、娘の裏切りもあり、処刑してしまうが、その直後、国王派に暗殺されてしまう...
冒険ものであるが、それに欲望と陰謀が渦巻く権力闘争という要素が複雑に絡んでいる物語である。確かに最初は冒険ものという雰囲気が強いが、途中からは冒険ものという部分が薄くなってしまい、終盤は狂気の世界を描いたものになっている。こういう展開はなかなか面白いのであるが、冒険ものという手に汗握るものが失われていくのはちょっと残念な所もある。
結局は「黄金郷」に取り憑かれた男たちの野望と陰謀を描いたドラマであって、アドベンチャーというのは副次的なものだったと思えば、これはこれで良かったのかも...(冒険アクションということを期待すると、裏切られます。)が、ソフトに恵まれていないので、殆ど忘れられている作品なので、見ようとしても苦労します。(→本作は別の邦題を付けるべきですね。)
↓ビデオです。
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