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鶏がガンの薬を産む [科学/技術]

クローン羊ドリーの成功で知られているイギリス・ロスリン研究所は、遺伝子組み換え技術を使ってガン治療用のタンパク質(抗体)を白身に大量に含む卵を鶏に産ませることに成功したと発表した。(米英のバイオ企業2社と共同発表。)白身に含まれる抗体の量は明らかにしていないが、過去のどの報告よりも大幅に多い、という。また、研究チームは5年以内に本格生産が可能になるとの見方を示している。

従来、病気の治療に役立つタンパク質を得る方法として、羊や牛の乳に分泌させる遺伝子組み換え方法は既に実現しているが、この方法では安全性の問題と高いコストがネックとなり、商業利用とならないでいた。ここに鶏の卵を用いるというのは、コスト面では有利とされるが、作れる抗体の量が少なくて実用に堪えないとされていた。

ガンの治療に役立つタンパク質が低価格で製造できるようになる、ということはガン治療に大きな道を開くことになる。しかし、遺伝子操作を行っているということで、本当に安全といえるものになるのだろうか。(少なくとも、数年の研究で結論が出せる問題ではないはず。)また、この方法は動物の体を製薬工場にするものであり、工業的には大量生産の実現となるが、ここに使われる動物(この場合は鶏)に対する影響は無いのか、気がかりである。(何らかの突然変異を起こして危険な動物の誕生となったりしないのか?)

技術の進歩を妨げようとは思わないが、自然のレベルを越える技術領域の開発というのは慎重にも慎重を重ねてもらいたいと思うのだが...



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