X線天文衛星・すざく、故障する [科学/技術]
7/10に打ち上げられたX線天文衛星「すざく」。本格的運用に向けての調整が行われていたが、高精度での天文観測に用いる観測機器に不具合が生じたと発表された。このままでも天文観測を行うことはできるが、「すざく」の最大の特長である、従来の約20倍という高精度による観測は事実上不可能になってしまった。
これは、機器を冷やす冷媒がなくなってしまったというものであり、原因を調べているが、修復は難しそうだという。(冷媒を補充すればいいということだが、周回軌道上の衛星の所に行く手段がないので、実質的に修復は不可能ということである。)
不具合は「X線マイクロカロリーメーター」という観測機器で発生した。これは、-273.09度(絶対零度が-273.15度なので、絶対温度でも0.06度という超極低温である。)まで冷やし、宇宙から飛んでくる微量のX線を温度変化でとらえて天体観測するというものである。これは、従来の機器よりも約20倍という高い観測精度を誇っていて、銀河団やブラックホールなどの詳しい観測が期待されていた。異常が見つかったのは8日で、この機器を冷やす冷媒である液体ヘリウムが何らかの原因ですべて気化してしまったという。尚、他の硬X線検出器やX線CCDカメラは正常だという。(従来波の制度での観測は可能)
尚、宇宙空間の温度は絶対温度で2.76度とされている(この温度に相当する放射が認められているということで、温度はこの温度とされている。)が、衛星の軌道のある所の温度はどうなっているのだろうか?そこまで低いのだろうか?また、直射日光を受けると、摂氏数十度から百度以上にもなる、というから、宇宙空間の温度を利用した冷却では、所望の観測精度が得られるというようなことはない。結局、冷却装置は無用の長物と言うことになり、従来制度での観測が行われるということである。
「すざく」は衛星本体の87億円を含めて157億円が投じられている。が、打ち上げられて軌道に入ったはいいが、運用準備をしている間にこの有様である。日本の宇宙技術というのはまだまだこんなにも低いということである。
それにしても、「原因調査」ってどうやって行うのでしょうか?現物を調べない限り、それはあくまでも推論ということでしかないと思うのですが...