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宇宙ステーションはお荷物? [科学/技術]

アメリカ・ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が、14日に面白い記事を掲載した。それは、国際宇宙ステーション(ISS)計画の続行に強い疑問を投げかけたのである。

この社説は「宇宙ステーションは必要なのか?」という見出しで、ISSの完成を求めている日欧などについて「各国の宇宙機関の内部には、ISSの高コストを恐れる声がある」と指摘し、地球周回軌道で得られる科学的な成果にも強い疑問を示していて、「白い象(お荷物)に巨費を投じるのは、失敗した事業にお金を注いで、益々深みにはまるようなものだ」としている。そして、日欧など参加国との国際合意に縛られて、成果の期待薄なISS建設のためにスペースシャトルを飛ばすのは無益で、月や火星など、よりエキサイティングな探査に力を注ぐべきだとしている。

そして、ISSの完成を諦めて、シャトルを直ちに引退させるという思い切った選択肢を挙げている。「そうすれば400億ドルの予算節約につながり、月や火星の探査計画を加速できる」と強調している。

確かに、ISSに対しては批判の声があるのも事実である。完成しても、狭い空間では大した成果はない、というのも一理ある。しかも、ISSに人がいることになれば、定期的に物資の補給を行う必要があり、運営維持費もばかにならない。しかも、それにはスペースシャトルが必要とされている。

が、だからと言って、この社説が語っている月や火星の探査の方が、現時点ではどれだけの成果が得られるというのであろうか。アメリカは早くも火星に有人探査機を送る計画を立てているが、そのためには片道で半年以上もかかる旅が必要になる。(往復は1年以上となる。)無重力空間にこれだけの長期間いると、人体にどういう影響があるのか、ということすらまだはっきりとした答えが出ていない。この研究を行うには、ISSは必要である。(これは、月面基地を完成させたとしても、月では重力があるため、そこでは研究にならない。)

結局は、日欧と共同で進めていくのでは、アメリカの絶対優位となることにならず、あくまでもアメリカが宇宙開発で優位な立場にいたい、という考えを基にしているだけである。

それよりも、ISSから撤退するのであれば、環境問題の解決のために浮いたお金を注ぐことを考えてもらいたいものである。世界一の二酸化炭素排出国、世界一のエネルギー消費国はアメリカなのである。もっと地球のことを考えるのが筋道である。



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