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ロシアの巧妙なエネルギー政策 [国際]

ロシアは、旧ソ連構成国で作る独立国家共同体(CIS)加盟国に対し、ソ連時代から続く低価格での石油・ガス供給を廃止し、世界市場価格での取引へ移行する考えを表明する発言を行った。しかしこれは、どう考えてもロシアがEUに対抗するための策略であり、ロシアが供給するエネルギーに頼っている旧ソ連諸国を集めて、EUに対抗しようというロシアの政策が感じられる。

旧ソ連圏ではグルジア、ウクライナ、キルギスで民衆革命が相次いで起こり、それらの国の新政権下ではアメリカ資本が入っていることや、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシと共に作ろうとしている経済ブロック・統一経済圏を確立させるために、ウクライナに対する揺さぶりを示し、ロシアの国力を誇示しようというものでしかない。(ウクライナ以外でも、グルジアやモルドバはEUへの加盟を考えている。)

その一例として、ウクライナは国内消費ガスの2/3、石油の1/2をロシアからの輸入に依存しているが、ロシアは天然ガス1000立方m当たり50ドルで輸出する現行価格を来年から160ドルに引き上げる方針でという。さらに、ウクライナを経由してドイツ、ポーランドにもロシア資源が輸出されていることから、欧州に何らかの影響が出ることも予想される。つまり、ウクライナに対して、EUへの加盟に動くようだと、供給するエネルギー資源を値上げするという脅しである。このような価格見直しは、結局はロシアにお金が転がり込むことになるが、これを上手いこと操ることで、ロシア経済圏から離れなくする戦略に使うことが可能である。→日本の外交も、こういう戦略を見習い、もっと賢く振る舞うことを身につけるべきである。

資源大国であるロシアらしい戦略ではあるが、ロシアがいくら頑張ったところでEUに完全に対抗することには無理がある。資源を中心にしていては、いずれは枯渇してしまう恐れがある。そのため、埋蔵量が減ってくれば価格を更につり上げようと考えるだろうが、資源消費国も代替資源のことは考えている。資源を中心にした戦略では、逆に足元を見られてしまい、時代の変化から取り残される可能性をも秘めている。

世界経済で最も脅威となるのは、EUとロシアが合体した場合である。現在は対抗しようとしているが、何かを機会として一つにまとまるようになれば、アメリカの経済圏はかなわなくなってしまう。一国で対抗しようとしたら中国とインドぐらいしかその可能性はないが、この両国はまだまだ発展途上国でもある。そうなると、世界は合体したEUとロシアを中心としたものになってしまう。

今の内に、中国とインドを取り込み、ASEAN諸国を加えたアジア経済圏に活路を見いださない限り、日本の将来は暗いとしか言いようがない。外務省よ、無駄飯喰らいから一刻も早く脱却して、国際的戦略を明確に打ち出せよ。(といっても、期待することは出来ないか...)



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