RAINBOW『DIFFICULT TO CURE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1981年に発表されたヒットアルバムであるが、かなりポップにサウンドになったRAINBOWのアルバムである。RAINBOWと言えば、やはりRitchie Blackmore、彼抜きでは語れない。また、R. Blackmoreと言えば、DEEP PURPLEでの活動を抜きにする訳にはいかない。が、今回はそれらよりも先に、RAINBOWとして、このアルバムについて述べることにした。(このアルバムは何かと言われた問題作でもあり、また、ある意味では親しみやすくなったアルバムでもある。更に、ラストのオチもなかなかのものである。)
本アルバムからは『I Surrender』がシングルカットされて発売された。しかし、そのサウンドは、本当にRAINBOWなのか?と疑うようなポップなナンバーとなっていた。この曲よりも『Spotlight Kid』や『Can't Happen Here』の方が、RAINBOWらしい曲なのである。当時は、TOTOやJOURNEY、FOREIGNER、STYXなどが人気を集めていたが、RAINBOWではなく、彼らの曲ではないのか?というように思ったものである。
が、このポップなナンバーはRAINBOW党には嫌われたが、一般大衆には受けたのである。そして、新たな層がRAINBOWのサウンドに触れることになり、新たなファン層の獲得になったことを考えると、当時は批判一色だったこのアルバムも再評価することが出来る。また、そうした新たなファン層は、この頃はまだ「ヘビーメタル」という呼称は日本だけでのみ使われていた言葉であり、AC/DCなどのようなギンギラのサウンドのことを言っていたのだが、(PURPLEなどのハードロックと一線を画すためでもある。)この後、「ヘビーメタル」という言葉は欧州とアメリカを経由して、新たなジャンルを表す言葉として少しニュアンスは変わって日本に戻ってくることになるのだが、そういう世界共通のジャンルとしての「ヘビーメタル」への傾注を呼んだことに繋がっている。(まあ、何がどう転ぶのかは分からない、ということですね。)
で、RAINBOWらしからぬ『I Surrender』なのだが、このポップ化路線というのは、逆にRAINBOWに対して接しやすくなったという声が多い。で、この曲はから過去のアルバム、またはDEEP PURPLEと接するようになったという友人が何人かいる。(でも、そういう友人たちに対して『Spotlight Kid』の方がRAINBOWらしい曲だ、ということを何度も語っていたのを覚えている。)
また、ラストに収録されている『Difficult To Cure(Beethoven's Ninth)』はちょっと面白い曲である。タイトルから分かるように、これはベートーベンの第九のパロディでもある。(インスト・ナンバーである。)これはちょっとした聴きものでもある。
ファンにとってはちょっとというアルバムであるが、そうでない方にとったらハードロックへの入門アルバムという位置づけになる本アルバム。クラシック好きの方にも『Difficult To Cure(Beethoven's Ninth)』は耳にしてもらいたいところであり(BGMとするにはちょっと面白い)、ちょっと複雑な気持ちになってしまう作品である。
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