FAITH HILL『BREATHE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1999年に発表されたアルバムであり、本Blogで取り上げるにしてはちょっと新しいかもしれないが、「良いものは良い」として取り上げることにする。集計方法が変わったことで以前よりも権威が失墜したとは言え、本アルバムは2000年のBillboard年間アルバム・チャートの16位に輝き、また、本アルバム・タイトルと同名のシングル『Breathe』は2000年のBillboard年間シングル・チャートの1位に輝いている彼女である。最初はカントリー系のシンガーとしてデヴューしたが、ポップな曲にも取り組み、シンガーとしての確かな力量がある証とも言うのが本アルバムである。
まずは『What's In It For Me』であるが、オルタナ系というよりもポップ・ナンバーと言って良いサウンドに、ロックのエッセンスの利いたギターが彼女のパワフルなボーカルにとてもマッチしていて、とてもいい感じの一曲になっている。続く『I Got My Baby』はカントリー・ロックと言ったナンバーで、やはり芯の太い彼女のパワフルなボーカルが素晴らしい。続く『Love Is A Sweet Thing』はカントリーもカントリーであるが、'90'sのカントリーであって、ポップの血が入っているカントリーである。（やはりオルタナ系と言った方がいいかもしれない。）
そして、大ヒット曲『Breathe』が登場するが、これこそがカントリーである。切々と歌う彼女のボーカルがまた絶品である。（ポップス系で幕を開け、少しずつカントリーに近づいていくような曲の配置で、この曲を迎えるというのは、ちょっと心憎い演出です。）続く『Let's Make Love』はTIM McGRAYとのデュエット・ソングでムードのある一曲である。（カントリー界の大御所・ケニー・ロジャースがキム・カーンズやシーナ・イーストンたちとのデュエットを立て続けてリリースしていた時期があったけど、その頃の曲に劣らない秀作である。）続く『It Will Be Me』はメロディ・ラインの美しいカントリー系のバラード・ナンバー、『The Way You love Me』は、ポップのテイストがするナンバーであるが、カントリー系の魂を持っていて、彼女の厚みのあるボーカルがなかなかいい雰囲気を出している。続く『If I'm Not In Love』はピアノが美しいメロディを奏でてくれるバラード・ナンバーで、しっとりと歌う彼女のボーカルが素晴らしい一曲である。（ここで、カントリー系のサウンドには一旦別れを告げることになります。）
アコースティック系の楽器を活かした『Bringing Out The Evils』はパワフルな彼女のボーカルが印象的なスローなロックの血筋のナンバー、続く『If My Heart Had Wings』は楽しくなるポップス・ナンバーであり、テンポの良いリズムが大地を一歩ずつ歩んでいく足音の様な感じを匂わせてくれている。続く『If I Should Fall Behind』はメロディ・ラインの美しいボーカル・チューンでオルタナ系の曲である。（「カントリー」よりは「オルタナ」と言った方がでしょう。）いいムードになってきたところに登場する『That's How Love Moves』はスケールの大きな一曲であり、自然の雄大さを感じさせる優しいメロディに、パワフルなボーカルが映え、メロディアスな曲と美しいコーラスが夢の世界を生み出している傑作である。（じっくりと聴いてもらいたい一曲である。）そして、ラストを飾るのが『There Will Come A Day』で、この曲もメロディアスなナンバーであり、前曲の雰囲気を保ちつつ、更に異なる世界に誘ってくれる。
女性ボーカルというのは、結構時代の変化にもまれている内に輝きを失ってしまうものがあるのだが、本アルバムの奏でる世界にはそういうことはなく、これから時を越えて、更に輝きを増していくものである。（「名曲はいつの時代でも名曲」である。）じっくりと聴いてもらいたい一枚である。
- アーティスト: Faith Hill
- 出版社/メーカー: Wea International
- 発売日: 1999/11/09
- メディア: CD
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