EXPOSE『EXPOSE』

表題のアルバムは1992年にリリースされたアルバムで、聴いていて楽しくなるダンス系のサウンドを中心にしたとても親しみやすいものである。尚、このアルバムは前作から3年のブランクがあり、彼女たちにすると'90'sになってからは初のアルバムとなる。'90'sになってからの音楽シーンは「混迷の時代」と言われるように、流行り廃りが早くなり、変化が激しくなり、それについていこうとすると何をすればいいのか分からなくなると言っても過言ではない時代になっていただけに、この時期の3年のブランクというのはあまりにも大きいものである。が、その間に自分たちの音楽性を探り、進化して再登場したということも出来る内容のあるアルバムを引っさげてきてくれたというのは嬉しい限りである。（でも、セールス的には撃沈しました...）

リズミカルでテンポの良いダンス・チューンである『I Think I'm In Trouble』がトップを飾るが、この曲はメロディアスなところもあり、実に軽快なダンス・チューンである。続く『You Don't Know What You Get』はラテン系のリズムに乗せたダンス・チューンで、本当にテンポが良い。（ラテン系のサウンドはダンス系にはやはり合っている。）続く『I Wish The Phone Would Ring』はブラスのサウンドを活かしたボーカル・ナンバーであるが、ちょっと大人の雰囲気の漂う一曲である。

次からは少し雰囲気が変わり、『As Long As I Can Dream』はスローなテンポのバラード・ナンバーで、ここでは彼女たちの美しいコーラスが堪能できる。続く『In Walked Love』はポップな曲で、彼女たちのコーラスを中心にした聴きやすい一曲、続く『I'll Never Get Over You Getting Over Me』は優しくメロディアスでハートフルなコーラス・ナンバーで、ややスローなテンポで進む曲が暖かく包んでくれる。この曲は全米8位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなり、1993年のBillboard年間シングル・チャートでは23位にランクインしている。

またまた雰囲気が変わり、『Angel』はエレ・ポップとなり、テンポの良いメロディに乗せたリズミカルな一曲（ダンス系ではなく、ポップス）であり、続く『Face To Face』はヒップ・ホップ系のダンス・ビートの利いたダンス・チューンであり、'90'sらしいナンバーである。続く『I Specialize In Love』はファンキーなラテン系のビートのダンス・チューンであり、続く『Touch And Go』は'80's前半の世界的ディスコ・ブームが去った後のブラコン・ブームを思い出させるビートのダンス・チューンで、パワーを感じるリズミカルな一曲である。

続く『The Same Love』はアコースティック系のサウンドとなり、ミディアム・テンポのボーカル・ナンバーとなる。優しいハートフルなボーカルは秀逸である。ラストを飾る『Give Me All Your Love』はビートを利かせたテンポのよいダンス・チューンであり、実にリズミカルに進行すると共に、コーラスもなかなかの美しさを聴かせてくれている。（でも、'80's終盤のサウンドという感じは拭いきれない...）

ダンス・ビートが中心となっているアルバムであるが、時代の最先端を追い求めるのではなく、'70'sの世界的ディスコ・ブームの頃や'80's前半のブラコン、'80's終盤のサウンドを思わせるビートに、'90'sのサウンドでもあるヒップ・ホップ系のビートまであり、ポップス・ファン（特にダンス系のお好きな方）には親しみを持って接することが出来るサウンドである。また、ダンス系以外の曲ではハーモニーの美しさなど、女性グループらしい優しさもあり、とてもいい仕上がりのアルバムである。（本アルバムは大ヒットを記録した訳ではないが、内容のあるアルバムとはこういうものが実は多いのである。）ちょっとした時に聴いてもらいたい一枚である。

 

 

エクスポゼ

• アーティスト: エクスポゼ
• 出版社/メーカー: BMGファンハウス
• 発売日: 1992/12/16
• メディア: CD

↓ジャケットの画像が無いと寂しいので、全18曲収録のベスト盤もピックアップしておきます。

ベスト・オブ・エクスポゼ

• アーティスト: エクスポゼ
• 出版社/メーカー: BMGファンハウス
• 発売日: 2002/10/02
• メディア: CD