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JOE COCKER『COCKER』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1986年に発表されたアルバムである。長いキャリアのある彼であるが、「しゃがれ声」という彼独特の武器は健在であり、それにマッチしたパワフルな曲が集った一枚である。全体的にはロックのテイストがする構成となっているが、ソウルフルで人間くささのする彼の持ち味は随所に散りばめられていて、ヒューマン・ライクなアルバムとなっている。尚、彼のような声はROD STEWARTの「ハスキー・ボイス」もあるが、RODは「貴公子」という雰囲気があって何処かにスマートさを感じるが、JOEには「酒」というイメージから「泥臭さ」「人間くささ」があり、「ハスキー」ではなく「しゃがれ声」となる。そしてその武器が健在な所を改めて披露してくれるとなると嬉しい所である。(1982年の全米No.1ヒット曲で、JENNIFER WARNESとのデュエットである映画「愛と青春の旅だち」からの『Up Where We Belong』の世界とは全く違う世界である。)

パワフルな『Shelter Me』で華々しく幕が上がるが、彼の独特のしゃがれ声がロックのビートにマッチしたナイス・チューンである。続く『A to Z』パワフルなボーカル・ナンバーであり、テンポの良い迫力のあるサウンドに乗せて「しゃがれ声」がグイグイと引っ張っていく力強い一曲である。続く『Don't You Love Me Anymore』はややスローなテンポのボーカル・ナンバーであり、最初は抑え気味なボーカルも、サビとなると実にパワフルに、それでいてソウルフルに、圧倒的迫力の楽器のように変貌する所は流石である。続く『Living Without Your Love』は優しく語りかけるバラードである。スローなテンポのメロディの中で少々抑え気味に謳うJOEであるが、「しゃがれ声」の持ち味を十分に活かしていて、聴き応えのある一曲となっている。

続く『Don't Drink the Water』はブルース調の抑えたイントロからロック調のパワフルな曲に変貌するスケールの大きなパワフルなナンバーであるが、いかにも彼らしい一曲であり、「しゃがれ声」の魅力が水を得た魚のように広がっている。続く『You Can Leave Your Hat On』はスローなテンポながらもパワフルでソウルフルなボーカル・ナンバーで、巧みな立体構造となっている奥行きのある一曲である。続く『Heart of the Matter』はボーカルをやや抑え気味にした一曲であるが、ロックのビートがそれをカバーすることで曲としては纏まっている。

Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)』は彼が得意とする所のブルース系の曲となるが、ここでは豊かな人生経験を感じさせてくれる彼の「しゃがれ声」が深みのあるコクを出していて、味わいのある内容の高いブルースとなっている。また、6分弱という時間を感じさせない所は流石である。(それだけ内容がある。)続く『Love Is on a Fade』はややポップのテイストのするロック系のサウンドの一曲で、ミディアム・テンポながらもパワフルな所とハートフルな所を大いに感じるボーカル・チューンである。トリとなるラスト・ナンバーである『Heaven』はピアノを中心としたシンプルなメロディのボーカル・ナンバーであり、「しゃがれ声」も抑え気味ではあるが、優しく丁寧に言葉を確かめるようなボーカルは秀逸である。そして、余韻を残すように静かに幕を閉じるという憎い演出で締めくくりとなる。

本アルバムは大きなヒットとまではいかなかったが、実に味わいのある一枚であり、こういうアルバムを「隠れた名盤」というのである。聴きやすい曲もあるので、一度は接してもらいたいアルバムである。(そこから先はブルース系に足を踏み入れていくのもよろしいかと...)

 

Cocker

Cocker

  • アーティスト: Joe Cocker
  • 出版社/メーカー: Capitol
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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