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STEVIE WONDER『IN SQUARE CIRCLE』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1985年に発表されたものであり、彼にとっては5年ぶりのスタジオ収録のアルバムということになる。(ただ、「THE WOMAN IN RED」のサントラやベスト盤が前のスタジオ収録アルバム「HOTTER THAN JULY」の後にリリースされている。)ということで、待たされたということもあってか、本アルバムは1986年のBillboard年間アルバム・チャートでは18位、レギュラー・チャートでは最高位5位を記録したヒットとなったが、'70'sの活躍を考えたらこぢんまりと纏まってしまった感は否めない。が、尊七課でもキラリと光る曲はある。特に、社会的なメッセージとして、南アフリカ共和国で行われていたアパルトヘイト(人種隔離政策、1993年に全面廃止となった。)に対するメッセージを発している所は彼の面目躍如と言った所である。サウンド的にはかなりポップなものとなっているが、彼のベースであるブラコン系のテイストであることは変わっていない。

まずは全米No.1ヒットとなった『Part-Time Lover』で幕が開く。(この曲は、1985年のBillboard年間シングル・チャートでも22位にランクインしている。)ポップでテンポのよい一曲であり、実に聴きやすい一曲である。続く『I Love You Too Much』はブラコンをベースにしたポップ寄りの一曲で、これもまた聴きやすい一曲となっている。続く『Stranger On The Shore Of Love』はスローなテンポのバラード・ナンバーであり、こういう曲では相変わらず彼の「愛」に満ちた優しいところがバンバンと伝わってくる。

続く『Whereabouts』は彼らしい優しいメロディ・ラインのポップ・ナンバーであり、健在ぶりを披露している。続く『Never In Your Sun』はハーモニカのメロディが暖かさを感じさせるポップなボーカル・ナンバー、『Spiritual Walkers』は彼のブラック・ミュージックのセンスが活きた多重録音による一曲であるが、かなりポップなサウンドになっている。続く『Land Of La La』はアップテンポなポップ・ボーカル・ナンバーであり、小気味よいリズムが体を動かしてくれる。(と言っても、ダンス・チューンというものではない。)

続く『Go Home』はアップ・テンポでリズミカルな一曲で、シングル・カットされてヒットした一曲であるが、1986年のBillboard年間シングル・チャートでは100位(レギュラー・チャートでは最高位10位)というきりの良い所にランクインしている。続く『Overjoyed』はバラード・ナンバーとしたらややテンポが速く感じられるが、メロディアスなメロディに乗せて優しく語りかけるように響く美しい一曲、ラストの『It's Wrong (Apartheid)』は7分弱という大作であり、アパルトヘイトに対する反対という明確なメッセージを持った一曲である。アフリカンのリズムに乗せて、テンポ良く、南アの怒りの声を届けている。

'80'sに入ってから、S. WONDERはアルバムをリリースするペースが落ちたが、サントラやUSA FOR AFRICAなど、活動ペースが落ちたわけではない。(USA FOR AFRICAは、後のBAND AIDなどのアーティストたちが世界的な社会問題になっていることに対して援助の手を差しのべるという活動のハシリになったことでもあり、こういう方面への活動と言うことは高く評価できることである。)そんな中で満を持してのリリースとなった本アルバムは、音楽性も高い優れた楽曲があるものの、その反面、トータル的には何か物足りなさを感じてしまうのも正直なところである。しかし、このことによって彼の高い音楽性を否定することにはならない。(逆に、低調な中にもキラリと輝くものを注ぎ込んだ曲があるということは、やはり「天才」と言われる所以でもある。)現在では「アパルトヘイト」は全面廃止となり過去のものとなったが、今後も社会メッセージを発していってもらいたいところである。(特に「地球温暖化問題」については痛烈なメッセージを期待したい所である。)

 

In Square Circle

In Square Circle

  • アーティスト: Stevie Wonder
  • 出版社/メーカー: Motown
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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