RUSH『MOVING PICTURES』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1981年に発表されたアルバムである。彼らはカナダ出身のグループであり、結成は1968年であるが、レコード・デヴューは1973年。そこからテクニックに拘り、「プログレ・バンド」という認識でキャリアを積み重ねてきたバンドである。そんな彼らが'80'sを迎えてキャッチーで聴きやすいサウンドを聴かせてくれるアルバムを発表したが、それが本アルバムである。このアルバムは非常に評価が高く、彼らの最高傑作と言われているアルバムであり、当然のように大ヒットを記録したアルバムである。(1981年のBillboard年間アルバム・チャートでは18位にランクインしていて、レギュラー・チャートでは最高位3位を獲得している。)高いテクニックを本アルバムでもたっぷりと発揮していて、聴き応えのあるアルバムとして仕上がっている。
収録されているのは以下の全7曲である。『Tom Sawyer』『Red Barchetta』『YYZ』『Limelight』『The Camera Eye』『Witch Hunt(Part III Of Fear)』『Vital Signs』。
この中からは『Limelight』がシングル・カットされてヒットを記録しているが、Billboard年間シングル・チャートのTOP 100にはランクインしていない。(まあ、彼らのサウンドはシングルではなくて、アルバム全体で聴くものですから、気にする必要はないですが...)
筆者のお薦め曲は、LPではB面に収録されていた後ろの3曲である。10分を越える超大作である『The Camera Eye』はプログレをやってきた彼ららしい一曲であるが、それでいてポップなものであり、取っつきにくいという壁はない。また『Witch Hunt(Part III Of Fear)』は「Fear」という三部作の第三部であり、彼ららしい取り組みのナンバーである。そして『Vital Signs』はポップであり、とても単調なリズムで聴きやすい曲であるが、なかなか凝った仕掛けの一曲であり、本アルバムを象徴している曲でもある。
曲を聴かせるというグループは数多くいるが、高いテクニックを聴かせるグループとなると、そう多くはいない。(プログレ系には多く、いかにも凝っているといった風格があり、それが取っつきにくさを生んでいるのですが...)本アルバムは、そういうテクニックを聴かせてくれるアルバムであり、しかもサウンドにはポップなテイストに満ちているということで、壁が低くなっている。ロックがお好きな方には一度は聴いてもらいたいアルバムである。(尚、本アルバムから'70'sの彼らの発表したアルバムに遡り、プログレの世界に入っていくことに関しては、筆者は関知しません。)
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