「CAMILLE CLAUDEL」 [映画(洋画)]
表題の作品は1988年のフランス映画「カミーユ・クローデル」である。本作は、レーヌ・マリー・パリスの原作小説をブルーノ・ニュイッテン監督がメガホンを取り、ブルーノ監督とマリリン・ゴールディンの二人が脚本を書いたもので、撮影はピエール・ロム、音楽はガブリエル・ヤーレが担当した。出演はイザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデュー、マドレーヌ・ロバンソン、ロラン・グレヴィル、アラン・キュニー、カトリン・ブアマンたちである。が、本作は主演のI.アジャーニが原作に惚れ込み、自ら映画化権を獲得したということで有名な作品でもある。とにかく、I.アジャーニの演技が素晴らしく、その演技派高き評価され、本作は1988年のフランス・セザール賞で、作品賞、主演女優賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞を獲得した。また、ベルリン国際映画祭でもI.アジャーニが主演女優賞を獲得している。尚、アカデミー賞は、主演女優賞と外国映画賞にノミネートされたが、共に受賞とはならなかった。
物語は、女性が社会的にはまだ認められていない19世紀末(1880年代)のパリを舞台にした物語であり、自由な人生を求めて生きていこうとする一人の女性の物語であり、また悲劇でもある。彫刻家ロダンの弟子となったカミーユ・クローデルは、やがてロダンを愛するようになる。が、周囲は彼女のことをロダンの愛人としか受け取らなかった。そんな彼女は妊娠したことによってロダンに結婚を迫るが、妻のいるロダンはそれを受け入れなかった。失意のカミーユはロダンの元を去るが、そこからのカミーユは大きく変わった。流産して更に失意のどん底にたたき落とされるが、そこから創作活動に没頭し、次第に評価を得るようになるが、生活は苦しい状況が続き、やがてはロダンに対しては憎しみの気持ちだけになり、精神の方も次第におかしくなっていく...
とにかく、原作に惚れ込んだというだけに、アジャーニの演技はまさに神かがり的で、迫真の演技を見せてくれる。(この辺りは、やはりフランスが誇る名女優さんです。)この作品を見たら、悲劇でもあり、時間も2時間半を越える長尺であり、気分的にはズドーンと暗くなってしまうが、そんなものはアジャーニが吹き飛ばしてくれる。アジャーニの魅力をたっぷりと楽しみたいと言うのにはピッタリの作品である。早い話、これぞ「アジャーニのアジャーニによるアジャーニ(とアジャーニ・ファン)のための作品」である。それにしても、こういう狂気の悲劇のヒロインというのはアジャーニに演じさせたら本当に凄いですね。
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