「横溝正史シリーズ ~八つ墓村(全5話)」 [ドラマ]
WOWOWが放送している傑作TVドラマシリーズ(デジタル先行放送のため、アナログWOWOWではこれから放送される)の「横溝正史シリーズ」(古谷一行の金田一耕助が活躍する1977年のTVドラマである。)の2つ目の物語「八つ墓村」(全5話)が全て放送されたので、前回の「本陣殺人事件」と同様に取り上げる。(アナログWOWOWでは8/24から9/24(9/7はお休み)に放送です。)
「八つ墓村」と言えば、1951年に片岡千恵蔵主演で、1977年に渥美清主演で、1996年に豊川悦司主演で映画化されており、「祟りじゃ~」が流行語になったほどヒットした作品である。それを1時間枠のTVドラマ・全5話としたことで、時間の方はそれぞれの映画の2倍弱(千恵蔵、豊川主演作は2時間強、渥美清主演作は2時間半)になる4時間弱ということで、尺がたっぷりある分、人物描写がじっくりと行われているので、見応えはあります。また、物語の筋の方も映画でお馴染みなので、事件の進展やその真相、真犯人が誰か?ということが分かっているので、謎解きミステリーとして見る部分もあるが、それよりも人間描写のドラマとして楽しむことが出来る。(映画を知らないという方は謎解きミステリーとして見ることになるでしょうが...)
尺が長いということは、「間延びする」「展開が遅い」という事に陥る可能性もあるのだが、本作ではそういうことは無かったので、これも良い所であった。ただ、全5話という形の作品であるだけに、最初の1話は「起承転結」の「起」に、最後の5話は「結」に終始するような感じとなり、これを毎週の放送で見ていたら、ちょっと辛いと感じてしまうでしょうね。また、2、3、4話においても、それなりに「起承転結」(「結」が無くて次回に続けているので「起承転」と言った方が良いでしょう。)があり、事件がどうも定期的に起こるという印象になってしまうのがちょっと残念なところでもあった。(TVドラマという形であったら、これは仕方のない所でしょうが...)→全5話を一度に続けて一挙に見る(4時間弱必要となりますけど...)というのがベスト、それは無理だったら、1&2話と3~5話の2つに分けて見るのが良いですね。
注目のクライマックスの洞窟の中での辰弥と美也子のやりとりの部分は、TV作品ということもあって制作費抑制のためなのか(?)、自然さを考えての事なのかは定かではないが、洞窟で落石が起こって...という展開ではなくなっているが、こちらの方がすんなりと受け止められます。ただ、この全5話の物語では、最終の第5話以外の4話においては、今ひとつ金田一耕助の活躍が目立ちませんでした。(一応、ポイントはしっかりと押さえていますけど...)「必殺仕事人」の主水の妻・りつでお馴染みの白木万理さん演じる白塗りおばばの「祟りじゃ~」は良かったですけど... 部分的には映画(ここで言っている映画とは、主に渥美清主演作のことであり、時折千恵蔵作であり、豊川作は蚊帳の外です。)を越える内容の所もあったが、1時間以上も尺が長いことを考えたら、どっちが良かったかの判断は難しいところでした。
次回から放送される3つ目の物語は「真珠郎」の全3話である。デジタルWOWOWでは8/20,27,9/3の放送である。(アナログでは10月になってからの放送となる。)と言うことなので、全3話の放送が終わった9月になってからまとめて述べる予定です。
↓原作
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