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LES UNS ET LES AUTRES(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]

表題の作品は1981年のフランス映画「愛と哀しみのボレロ」である。モスクワ、パリ、ベルリンねニューヨークの4都市の4つの家族の戦中戦後の物語がパリ゛おこなわれたチャリティ・コンサートに繋がっていく大作メロドラマである。音楽を担当したのがミシェル・ルグランとフランシス・レイという2大巨匠が合体しているのも注目点である。また、3時間を越えるドラマであるが、スケールが大きく、たっぷりと描き込まれていることもあって、音楽の壮大さもあって、時間を感じさせない密度の高い物語として仕上がっている。

作品データを記しておくと、時間は184分、製作、監督、脚本はクロード・ルルーシュ、撮影はジャン・ボフェティ、音楽はミシェル・ルグランとフランシス・レイである。そして出演は、ロベール・オッセン、ジョルジュ・ドン、ダニエル・オルブリフスキー、ジェラルディン・チャップリン、ファニー・アルダン、エヴリーヌ・ブイックス、ニコール・ガルシア、マーシャ・メリル、アレクサンドラ・スチュワルト、ジャン・クロード・ブリアリ、フランシス・ユステール、レイモン・ペルグラン、ジャック・ヴィルレ、リシャール・ボーランジェ、ニコール・クロワジール、ジネット・ガルサン、ジャン・ピエール・カルフォン、エヴァ・ダルラン、ジェームズ・カーン、フェオドール・アトキン、クリストフ・ブルセイエ、ジャン=ピエール・カスタルディ、ベルナール・ピエール・ドナデュー、ジャン・ポール・ミュール、ダーレル・ネルソン、たちである。

モスクワの物語は、ボリショイバレエ団のプリマのオーディションに落ちたタチアナの物語である。オーディションの帰りに選考委員のボリスに声を掛けられたタチアナ。やがて二人は結婚するが、ボリスはスターリングラード攻防戦で戦死してしまい、タチアナは残された幼い息子・セルゲイを育てながらバレエを続ける。やがてボリショイ・バレエ団の名ダンサーに成長したセルゲイは人気を得るが、西側に亡命してしまう...

パリの物語は、人気を集めるバイオリニスト・アンヌの物語である。ピアニストのシモンと結婚したアンヌだったが、ユダヤ人であったためにパリがナチスに占領されたときに収容所送りとなってしまう。赤ちゃんだけは助けたいと思ったアンヌは、赤ちゃんをある駅で列車の外に置いていく。収容所でシモンはガス室に送られ死亡、アンヌは終戦によって無事に救出される。そして昔の仲間と共に音楽隊で地方を巡りながら置き去りにした子供の行方を探す。一方子供は、その土地の牧師に育てられ、ダビッドと名付けられて成長していた。彼はアルジェリア戦争に参加し、除隊した後はパリで作家になっていた。そんな中、生みの親であるアンヌと精神病院で再会を果たしたが...

ベルリンの物語はナイトクラブの歌手・エブリーヌの物語であり、最初はパリからスタートする。エブリーヌはパリに来ていたナチスの軍楽隊長・カールと出会い、彼の子を宿した。しかし、敵に身を許した卑しい女と蔑まれた彼女は、パリを追放され故郷で子供を産んだ。子供はエディットと名付けられ、祖父母に育てられる。成長したエディットは、パリに出るとショウガールになり、TVのニュースキャスターになった。一方、彼女の実の父・カールは、ベルリンにおいてヒトラーの前でベートベンを演奏して認められ、ベルリンに戻ることになった。妻の元に帰ったが、子供はは戦死していた...

ニューヨークの物語はジャズ・ミュージシャンのジャック・グレンの物語である。ジャックはヨーロッパ戦線に参加した後帰国したが、妻・スーザンを交通事故で失ってしまう。娘・サラは母と同じ道を歩み、歌手として成功した。また、息子・ジェイソンはサラのマネージャーになっていた...

そして1981年のパリ。ユニセフのチャリティ・コンサートが始まろうとしていた。TVの司会はエディットで、ダンサーとしてセルゲイ、歌手としてサラとダビッドの息子・パトリックが登場することになっていた。コンサートではラベルの「ボレロ」が演奏されることになっていて...

4つの物語が40年強という時間を経て1つの物語として集結していく構成は見事である。そして、1つの物語になった後、「ボレロ」が登場するが、このシーンは圧巻である。とにかく、たっぷりと見せてくれます。それまでの2時間半を越えるドラマがこの「ボレロ」をより次元の高い物にしてくれている。

で、本作は「ボレロ」を中心とした音楽も素晴らしいのだが、サントラ盤はちょっと変わった構成になっている。「完全番」というタイトルが付いている2枚組のサントラ盤は「ボレロ」などのクラシック音楽は省かれているのである。(一応、原曲をベースにしたアレンジされた「ボレロヶは収録されていますけど...)また、同じタイトルであっても、歌っているのが違っていたり、インスト・ナンバーだったりということもあって、内容の方は充実している。(「ボレロ」はクラシック・アルバムで良いものがたくさんあるから、そこだけはそちらをどうぞ、ということですね。)

収録曲は、DISC 1が14曲、DISC 2が12曲である。(原題がフランス語ということなので、ここでは邦題の曲名を記すことにしておく。)DISC 1の収録曲は以下の通りである。『フォリー・ベルジェール』『サラのセレナーデ』『嘆きのヴァイオリン』『パリのドイツ人』『愛と哀しみのボレロ』『世紀末の香り』『ボリスとタチアナ』『占領下のパリ』『ダド商会』『舞踏黙示録』『世紀末の香り』『愛と哀しみのボレロ』『哀しみのパリ』『サラのセレナーデ』。

続いてDISC 2の収録曲を記す。以下の通りである。『愛と哀しみのボレロ』『ボディ・アンド・ソウル・インコーポレイテッド』『ママの想い出』『サラのセレナーデ』『占領下のパリ』『占領下のパリ』『嘆きのヴァイオリン』『ダド商会』『愛と哀しみのボレロ』『世紀末の香り』『ラヴェルのボレロ』『色褪せたポット』。

映画の方が3時間、サントラ盤(完全盤)も1時間半、ラベルの「ボレロ」もたっぷりと聴こうとしたらかなりの時間が必要となるので、完璧に本作を堪能しようと思ったら、半日ぐらいの時間は必要になるが、スケールの大きな物語を素晴らしい音楽に乗せて堪能できるだけに、じっくりと味わって貰いたい作品である。

 

愛と哀しみのボレロ(完全版)

愛と哀しみのボレロ(完全版)

  • アーティスト: カトリーヌ・リュッセル,ジャネット・ガルサン,ニコール・クロワジール,ミッシェル・ルグラン,リリアンヌ・デイビス,ジャッキー・ワード,ジャン・ピエール・サベリ,フランシス・ユステール,フランシス・レイ,クリスチーネ・ルグラン,サントラ
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1999/06/23
  • メディア: CD

↓映画DVDはこちら

愛と哀しみのボレロ

愛と哀しみのボレロ

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
  • メディア: DVD

↓「ボレロ」をいくつか

ラヴェル:作品集

ラヴェル:作品集

  • アーティスト: オムニバス(クラシック),ニュー・イングランド音楽院合唱団,ラヴェル,カラヤン(ヘルベルト・フォン),ブーレーズ(ピエール),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,アルゲリッチ(マルタ),ボストン交響楽団,ボザール・トリオ,アッカルド(サルヴァトーレ),ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/03/23
  • メディア: CD

ラヴェル:ボレロ

ラヴェル:ボレロ

  • アーティスト: 小澤征爾,ラヴェル,ボストン交響楽団,カヴァロフスキ(チャールズ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/11/08
  • メディア: CD

ラヴェル:ボレロ

ラヴェル:ボレロ

  • アーティスト: ボストン交響楽団 ミュンシュ(シャルル),ラヴェル,ミュンシュ(シャルル),ボストン交響楽団
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: CD

ラヴェル:「ボレロ」

  • アーティスト: 東京都交響楽団 フルネ(ジャン),晋友会合唱団,ラヴェル,デュカス,ビゼー,イベール,フルネ(ジャン),関屋晋,東京都交響楽団
  • 出版社/メーカー: フォンテック
  • 発売日: 2006/12/21
  • メディア: CD

ラヴェル:ボレロ、他

ラヴェル:ボレロ、他

  • アーティスト: ギャルド・レビュブリケーヌ吹奏楽団,バッハ,ラフマニノフ,ビゼー,ドビュッシー,ブトリー(ロジェー),デュポン,カロン(ピエール),レニエ(アンヌ),ユー(シルヴィー),ソヴァージュ(リュディ)
  • 出版社/メーカー: オクタヴィアレコード
  • 発売日: 2007/10/24
  • メディア: CD

ラヴェル:ボレロ

ラヴェル:ボレロ

  • アーティスト: ロンドン交響楽団 アバド(クラウディオ),ラヴェル,アバド(クラウディオ),ロンドン交響楽団,デイヴィス(マイケル)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/09/05
  • メディア: CD


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