ABC『BEAUTY STAB』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年に発表された彼らの2nd.アルバムである。前年の大ヒット・アルバム「THE LEXICON OF LOVE」の余韻が残っている時期に発表されたアルバムであるが、メンバーがごっそり抜けるなどがあって方向転換をすることになり、サウンドの方はニューロマンティック派の代名詞でもあるエレポップ路線からロック色を強く意識したものとなり、ロック・オペラを目指したものになっている。(とは言っても、実に'80'sらしいサウンドである。)が、このサウンドの変化は今ひとつ評判は良くなく、前作の様な大きなヒットにならなかった。
収録曲は以下の全13曲である。『That Was Then But This Is Now』『Love's A Dangerous Language』『If I Ever Thought You'd Be Lonely』『Power Of Persuasion』『Beauty Stab』『By Default By Design』『Hey Citizen!』『King Money』『Bite The Hand』『Unzip』『S.O.S.』『United Kingdom』『Vertigo』。
本アルバムからの筆者のお薦め曲は、前作の路線に近い所では『Unzip』『S.O.S.』『United Kingdom』という所ということになるが、本アルバムではこれらの曲は本命ではなく、あくまでも以前のスタイルを意識したものであり、本アルバムからは浮いている感じがしないでもない。本アルバムを象徴するのはアルバム・タイトル・ナンバーであり、インスト・ナンバーである『Beauty Stab』であり、アルバムの冒頭を飾る『That Was Then But This Is Now』である。
前作はシングル・ヒットした『The Look Of Love』をはじめ、どちらかというとシングルになることを意識したところがあったが、本作ではシングルを捨ててアルバム志向になり、それがロック・オペラを目指したものとして仕上げられているのが大きく違う所であり、本作の最大の特徴である。アルバム志向ということが広く受け入れられなかったため、セールスの方では苦戦したが、アルバムとしてのクオリティは前作とは比べものにならないほど充実している。(詰めが甘い所もありますが...)一度や二度聴いただけでは分からない味わいがあり、何度も聴いている内に次第に染みこんでいくような奥深さがある。腰を落ち着けてじっくりと聴くことをお勧めするアルバムである。
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