TwellV・神宮前名画座「TO KILL A MOCKINGBIRD」 [映画(洋画)]
今週の神宮前名画座は、1962年のアメリカ映画「アラバマ物語」でした。この枠で放送する作品としたら、1962年の作品というのは新しい方になる。(それでも46年前の作品ですけど...日本で著作権が切れた作品ばかり放送するのかと思っていたら、そうでも無かったということです。)
この作品は、ピューリッツァ賞を受賞したハーパー・リーの「ものまね鳥を殺すには」映画化作品である。また、アカデミー賞で、主演男優賞(グレゴリー・ペック)、脚色賞、美術監督・装置賞(白黒)の3部門を獲得した作品でもある。そして、ロバート・デュヴァルのスクリーン・デビュー作でもある。
作品データを記しておくと、時間は129分、白黒作品である。原作はハーパー・リー、監督はロバート・マリガン、脚本はホートン・フート、撮影はラッセル・ハーラン、音楽はエルマー・バーンスタインである。そして出演は、グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ジョン・メグナ、ブロック・ピータース、ロバート・デュヴァル、フランク・オーヴァートン、ローズマリー・マーフィ、ポール・フィックス、コリン・ウィルコックス、アリス・ゴーストリー、ウィリアム・ウィンダム、たちである。
時は1932年。不況の真っ直中のアメリカ南部のアラバマ州・メイコムという小さな町。弁護士のフィンチは幼い2人の子供を抱えていた。ある日、そんな彼に、白人少女に暴行した罪で起訴された黒人・トムの弁護をするように指名される。が、人種差別が根強いこの町では、黒人の弁護をするフィンチは批難され、黒人の弁護をしたらただでは済まないと警告を受ける。そんな中で裁判が始まり、不正を嫌うフィンチはトムの無罪を主張する。また、フィンチの子供たちは、近所の幽霊屋敷に住むブーという謎の男と接していく。裁判と子供たちの交流が交錯して物語が進んで行くヒューマン・ドラマであり、人種差別問題を描いている。
派手な所はなく、正義を貫こうとする弁護士の姿と、子供の交流の物語という全く違う次元の物語が平行して進んで行き、これが町の人々の姿や人種差別問題を客観的に表現することになっていて、扱っているテーマを考えたら重くなりがちな物語を重くしないでいる。特に、ラストに向かって不達の物語が上手く融け合って収束する所は、何とも言えない暖かさを感じさせてくれる。
現在ならば、もっと違った表現方法もあるだろうが、本作が製作されたのは1962年ということで、まだまだ人種差別問題は大きな問題であっただけに、そういう時代に製作されている所に本作の価値がある。是非とも見ておきたい作品の1つである。
次回からの8月のラインナップは、最後の1作(再放送)意外は全て放送枠を30分拡大しての放送となります。(と言っても、120分ちょっとという作品ばかりなので、20~25分は余り、環境ビデオが流されることになるだけですが...)8/2、3は「我が家の楽園」(1938年)8/9、10は「市民ケーン」(1941年)、8/23は「ローマの休日」(1953年)、8/30は「黄昏」(1952年)で、8/31は7/19の再放送となる「ジェーン・エア」というラインナップです。
アラバマ物語 (ユニバーサル・ザ・ベスト:リミテッド・バージョン) 【初回生産限定】
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- メディア: DVD
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