TwellV・神宮前名画座「THE POSTMAN ALWAYS RINGS TWICE」 [映画(洋画)]
今週の神宮前名画座は、最終回ということで、最後の作品の放送でした。放送されたのは1946年の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」でした。J・M・ケイン原作小説の映画化であるが、本作の4年前の1942年に、ルキノ・ヴィスコンティ監督が彼の処女作として映画化している(今週、9/2にNHKがBS-2で放送していました。→見比べるには丁度良いことになりました。)のだが、ハリウッドでは本作が初めての映画化であった。(後に、1981年に、J・ニコルソンとJ・ラング主演でリメイクされたのも有名な所である。)ただ、本作は様々な事情があって、日本では劇場未公開となった作品でもある。
作品データを記しておくと、時間は113分、原作はジェームズ・M・ケイン、監督はテイ・ガーネット、脚本はハリー・ラスキンとニーヴェン・ブッシュの2人、撮影はシドニー・ワグナー、音楽はジョージ・バスマンである。そして出演は、ジョン・ガーフィールド、ラナ・ターナー、セシル・ケラウェイ、ヒューム・クローニン、レオン・エイムズ、オードリー・トッター、アラン・リード、ジェフ・ヨーク、たちである。
ヴィスコンティ版では物語の舞台をイタリアにしていたが、本作の舞台は、当然のことながら、アメリカである。(ロス近郊のレストラン。)サンフランシスコから流れてきた男がハイウェイ沿いのレストランにやってきて、そこで雇われる。そのレストラン店主の妻と不倫をし、店主殺害を謀る。が、検挙されて裁判になって...
1942年のヴィスコンティ監督作では、裁判になることはなく、次第に追いつめられていることを感じて逃亡を図ったが、本作では裁判になって、疑惑の渦の中に叩き落とされる2人が描かれていく。そんな中、悲劇が起こり、遂に裁判の方でも... ということで、結末に向かって行く。
本作には、1981年のJ・ニコルソン&J・ラング版のような激しい肉体関係の描写はないが、ラナ・ターナーの美貌は噂通りであるが、ジョン・ガーフィールドの落ち着き払った所、しかも女に溺れる所はなかなかである。
ヴィスコンティ版ではイタリアの明るさと風土が出ていたのが特徴で、1981年版はアダルト・タッチの性描写が特徴であるが、本作は裁判という人間関係をあらわにしていく事柄が特徴であり、人間の奥底に秘めた想いをあらわにしていく所がポイントになっている。三者三様ということで、こういう形で、同じ原作小説が違った形で映画化されるというのは、面白い所である。
ところで、去年の12月の開局以来、(一部の例外があるが)半世紀以上昔の「名作」と言われている映画を、日本語吹替え版をメイン(一応、二ヶ国語放送で原語音声でも放送されましたけど...)にして、字幕スーパーを廃し、映画本編中にはCMを入れないという形で放送していた「神宮前名画座」であるが、今回の作品を持って終了になってしまいました。途中にCMが入らない形での放送は、NHKやWOWOWの放送と同じであるが、日本語吹替え版をメインにしていたのは珍しいことでした。(WOWOWでは時々吹替え版も放送されていますけど...)特徴がある映画枠であり、一度は見ておきたいと思った未見の作品が結構多く放送されたということで、TwellVで唯一視聴していた番組であったのだが、これでTwellVの視聴はほぼゼロになってしまいます。またいつの日か、復活してもらいたいところです。
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