「KING OF KINGS」(1961) [映画(洋画)]
表題の作品は1961年の映画「キング・オブ・キングス」である。これは先日記した1927年のセシル・B・デミル監督作のリメイクである。(邦題は同じであるが、原題には違いがあって、オリジナル作品には定冠詞「THE」があるが、リメイク作となる本作では定冠詞が無くなっている。)しかし本作ではビッグ・スターを起用しない配役(一応、ナレーターとしてオーソン・ウェルズがいる程度である。)となっている。(これが逆に、余計なことを考えさせてくれずに済み、物語に入って行くことが出来る。)
作品データを記しておくと、時間は163分、監督はニコラス・レイ、脚本はフィリップ・ヨーダン、撮影はフランツ・プラナーとミルトン・クラスナーの2人、音楽はミクロス・ローザである。また、オーソン・ウェルズがナレーションを担当している。出演は、ジェフリー・ハンター、ロバート・ライアン、シオバン・マッケンナ、ハリー・ガーディノ、リタ・ガム、リップ・トーン、ヴィヴェカ・リンドフォース、ローヤル・ダーノ、たちである。
ローマの支配に苦しむユダヤ民族の中では、その圧政から解放してくれる指導者の出現が待たれている。ローマのヘロデ王は救世主出現の予告に恐れ、首都・ベツレヘムで生まれた男の子を皆殺しにするように命じる。が、町はずれの馬舎で生まれたイエスは、幸いにも人々の助けがあったため、難を逃れられた。やがて、ユダヤ人たちを救おうと、ローマに対して反乱が繰り返される。イエスは予言者・ヨハネの洗礼を受け、自分の使命に目覚めていた。やがて、イエスは救世主と見られるようになっていく。愛と平和を説くイエス。が、中にはイエスに失望する者たちも現れる。やがてイエスも捕らえられ、ゴルゴダの邱で処刑される。が、夜明けに彼は復活した。
スターと呼べる人がキャストの中にいないが、これが等身大の目線で物語に入って行くことが出来ることになり、物語に対しての垣根を下げている。そのため、非常に共感しやすくなり、物語に入って行くことが出来る。スター不在であるものの、スターを集めた大作に準ずる大きなスケールで製作されていること、演出や演技で魅せようとしていること、尺の方も2時間半を超える大作となっていることから、スターに頼らなくても大作は成立すると言うことを教えてくれている作品でもある。また、スターがいないことで、主要人物に対してのスポットの当て方にも変な邪魔が無いこともあって、それぞれの登場人物もしっかりと描かれていて、人間ドラマとしても奥深い物に仕上がっている。
日本では、この物語には抵抗感もあるかも知れないが、一大スペクタクル作品として、または人間ドラマとして受け止めて鑑賞するというのも面白い作品である。
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