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名曲探偵アマデウス#47 リスト「「巡礼の年・第3年」から『エステ荘の噴水』」 [ドラマ]

今回取り上げられた曲はリストの「「巡礼の年 第3年」から『エステ荘の噴水』」でした。前回がショパンの曲が取り上げられていて、その中でリストとの友情物語について話が出てきていたが、そういう所もあってのリストの登場ということですかね。(なかなか考えた番組構成ということが出来ますね。)

今回、一番大きかったのは、所長が依頼を受けた時に「これは名曲探偵始まって以来の、…」と言っている所で「名曲探偵始まって以来の」という台詞を省略していたという所でした。また、カノンさんもいつもと少し様子が違ってもの思いにふける乙女という所が出ていましたね。

また、今回はリストの曲としては2曲目と言うことになるが、前に取り上げられた「ラ・カンパネラ」(ファイルNo.017、BS-hiでは2008/11/10放送、地上波でも2009/4/3に放送されました。)が少し出てきていたが、以前に取り上げられた曲になるとカノンさんはしっかりと頭に入っていているようでした。また、1942年の映画「カサブランカ」の有名な台詞や名曲『As Time Gies By』が流れるなど、クラシック音楽ではないものの、ピアノの名曲を使っている所はちょっと憎い演出でした。ちなみに、劇中に出てきた「君の瞳に乾杯」という台詞は、原語では「Here's looking at you, kid.」であり、これは名翻訳としても知られている。

冒頭では、カノンさんが舞い上がって事務所に戻っていく。所長は顔色一つ変えないでカノンさんの妄想を聴いている。で、カノンさんが話した男が事務所にやってくると、てっきり自分をデートに誘いに来たものと思っていたが、所長に用事があると分かると「こっち(ホモ)?」と言ったり、依頼人だと分かると「お客さん」と言って態度が変わるのも面白い所でした。

依頼人は恋愛小説家の恋野巧で、20歳の差がある新しい彼女を誘っても上手く行かず、「エステ荘の噴水」を聴けといわれて聴いたが、何を言いたいのか分からず、相談にやってきたのだった。これに、曲名を知ったカノンさんがエステティック・サロンのことを口にするが、実にストレートな発想ですね。(銭形泪ちゃんの黄金コンピとなる高村さんはエステサロンに熱心に通っていただけに...)

が、カノンさんの良いところは、直ぐに「エステ荘」の事を文献で調べている所である。知らないこと、分からないことがあったら、直ぐに調べるというのは勉強熱心で良いことです。(最近では「インターネット」や「電子辞書」という便利なツールがあるのに、カノンさんは書籍を使っているというのは、やっぱり貧乏探偵事務所ということですかね...)

カノンさんが調べたエステ荘についての解説も当然行われていて、この曲がリストの晩年の曲ということで曲調が違うということから、『ラ・カンパネラ』を口にするカノンさん。で、それとの違いの解説もありました。

また、『エステ荘の噴水』が他の音楽家たちにも大きな影響を与えたということから、ラヴェルの『水の戯れ』との比較が行われたというのも良かったところでした。また、この曲で取り入れられている数々の技法についての解説も分かりやすかったですね。ただ、『エステ荘の噴水』は「巡礼の年 第3年」の中の1曲ということも説明されていたが、「巡礼の年 第3年」についての解説が少なかったのはちょっと残念でした。(『エステ荘の噴水』の前後1曲ずつの2曲がちらっと出ただけでした。)

依頼人が「女落とすテクニック」としてカノンさんに対して口にした殺し文句「君の瞳に乾杯」に対してカノンさんはとろけていたが、所長は「映画「カサブランカ」でハンフリー・ボーガードが言った台詞じゃありませんか」と言ってパクリということを指摘するというように、全く違った反応だったのも面白い所でした。(しかもカノンさんは手を話されて床に倒れて「痛~い」と、すっかり玩具になっていましたし...)

所長はいつも人生相談の様なことを説いているが、今回は結構ボロクソに言っていていたが、こういう所長は珍しいですね。(カノンさんに対してならば、結構ボロクソに言っているが、依頼人に呈してというのは珍しい。)が、これは悪口ではなくて、分析結果であり、叱咤激励ということにもなるので、カノンさんに対するものとは全く別次元のものですけどね...

で、曲の説明から、依頼人の質問である、彼女のメッセージを説くと、依頼人は自分の気持ちを小説にぶつけると言い、新たな気持ちにさせたが、本当に所長って人生相談を上手く解決するものですね。で、依頼人と握手して見送る所長だったが、カノンさんは依頼人と握手したときに軽く手にキスされたことで、すっかりとろけちゃって、ここでも所長とは好対照な反応をしていて、面白い所でした。

今回は、所長とカノンさんの態度が好対照だった所がいくつかあったが、これ以外では、所長が依頼人の小説のことをボロクソに言ったことから、依頼人がムカッと来て所長を追いかけ、所長は早足で事務所内を逃げ回っていたが、カノンさんはそういう雑音に気を取られることなく曲の楽譜をずっと見ていて、楽譜にある文字を発見し、それを冷静に口にしていました。→結果的に、逃げる所長を助けることになったが、こういう所も所長とカノンさんのコンビの奥の深いところでした。

今回のドラマ部分は36分強、曲の演奏は約7分、ラストのオチが1分弱という構成でした。ということで、ドラマ部分がやや長い構成でした。

ラストのオチの部分は、「大変ですよ」と言ってカノンさんが事務所にやってくる。で、写真週刊誌「ザ・シャッター」を手にしていて、依頼人だった恋野巧のデート現場がスクープされている、と言う。所長はその写真週刊誌を手にして「何だって?」と言って開く。で、記事を見ると「新しい恋人はなんと20歳年上の熟女!」という記事が載っていた。「20歳違いって年上だったんですね」とカノンさんが言うと所長は「こんな恋もありっちゃありかも...」と、ここでも対照的な反応をしていた。(ここでも『As Time Goes By』のピアノのメロディがバックに流れていて、とても印象に残るエンディングでした。)

今回のカノンさんはちょっとおとなしい感じであったが、それでも豊かな表情はしっかりと魅せてくれている。それよりも今回は所長との反応と好対照だったのをはじめ、クラシック音楽ではない『As Time Goes By』を使ったり、以前に取り上げた『ラ・カンパネラ』や比較の曲が出てきて説明したり、ラストのオチも意表を突いたもの(20歳年上)というように、演出的にも色々な技法を使っていて、この曲と同じような多彩な技法を使っていた物語となったのが印象的でした。

次回、来週11/1の放送は再放送となって、ファイルNo.043のホルスト「組曲『惑星』」です。で、11/8はファイルNo.048・ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」、11/15はファイルNo.049・プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」、11/22はファイルNo.050・ヤナーチェク「シンフォニエッタ」と続きます。また、今週の火曜朝と土曜昼のBS-hiの再放送、及び金曜朝のBS-2は今回のファイルNo.047・リスト「「巡礼の年・第3年」から『エステ荘の噴水』」で、金曜の地上波はファイルNo.046・ショパン「練習曲集 作品10」です。

 

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