名曲探偵アマデウス#55 ラヴェル「マ・メール・ロア」 [ドラマ]
1月の最終週(5週目)で本年の2度目の放送ということで、ペースが落ちている「名曲探偵アマデウス」ですが、今回はお馴染みのディープ内藤の4度目の登場となった物語でした。で、今までベールに包まれていたディープ内藤の本名や所長との過去が更に明らかになったということで、キャラに関しての掘り下げがあった物語でした。また、カノンさんとディープ内藤とのバトルもしっかりと出ていて、楽しい所でした。
今回取り上げられた曲はラヴェルの「マ・メール・ロア」でしたが、ラヴェルもこれで3曲目となりましたね。(過去はファイルNo.001とNo.018でした。)解説の方はこの組曲の全5曲について、順番に説明がありました。
冒頭では、居眠りしている所長に毛布を掛けて上げるカノンさん。(ということで、優しい一面を見せていました。)所長は「許してくれ}」と叫んだ。そんな所にディープ内藤が「イエス」という返事をして登場する。何のことか分からない所長とカノンさんだったが、話を聞くと、ディープ内藤の元にある楽譜が届けられ、それをプロポーズと思ったディープ内藤が、返事をしに来たということだった。(楽譜でプロポーズするというのはうすおちゃんしか考えられないということでした。)で、楽譜はラヴェルの「マ・メール・ロア」で、ピアノ連弾の曲だった。が、自分ではないと否定する所長は、誤解を解くために楽譜を届けた人物を探ることにした。
カノンさんとディープ内藤の対立はこれまでにもあったが、今回は、カノンさんがディープ内藤に対して、子供向けのミステリーを書こう思った理由を尋ねたところから始まる。6歳までの子供が食べたものは一生食べ続けるという話を聞いたディープ内藤は、子供たちを自分の作品の虜にしたら一章読み続ける、と考えたのだった。これにカノンさんが「何て不純なの」と切り捨てたカノンさんの先制攻撃から始まった。が、所長は自分への疑いを晴らすことが大事ということで、所長は所長で必死でした。
まずは第1曲の「眠れる森の美女のパヴァーヌ」から。ディープ内藤が「一人」ということを口にするが、カノンさんは「この曲、連弾なんですよね」とさりげなく攻撃する。で、「連弾」の簡単な説明となるが、ディープ内藤は「連弾=プロポーズ」と解釈する。所長は「この曲は子供たちに捧げられている」と言って、上手く火の粉を振り払った。
で、曲についての説明で、プリモ奏者とセコンド奏者の話から、連弾で大事なことなどが簡潔に述べられる。(いつもながら分かりやすい説明です。)続いて子供たちの名前の説明となるが、「E」の音の解説でドイツ音階の話が出てきたが、「銭形泪・1st.3話」で「ド(ドイツ音階の「C」)」があったのを思い出しました。
個々で所長は、楽譜の送り主がおしゃれな人、と考えると「僕じゃないなぁ~」とあっさりと否定していたが、自虐ネタで否定するところは、よほど疑いを晴らしたいということで、面白い所です。
するとディープ内藤は「アナグラム」と言うことを口にした。カノンさんがそれは何?と問うと、先ほどのお返しとばかりにディープ内藤のアナグラム(ここで思い出されるのは「銭形雷・2nd.5話」ですね。)の説明が始まり、「HIBIKI KANON CHAN(ヒビキカノンチャン)」のアルファベットを分解して並び替えると「NONKI BAKACHIN(ノンキ バカチン)」になると反撃をした。「何それ?」とカノンさんは過度な反応はしなかったが、ディープ内藤は「AMADE USUO」と「NAITO UTAKO」のアルファベットを並び替えると「ANATA UTA O SUKI」と言う。が、「偶然に過ぎません」と所長も嫌がっていた。尚、カノンさんは「内藤うた子って誰ですか?」と尋ねるが、「この人の本名」と所長が語り、ディープ内藤の本名は「内藤うた子」と判明しました。
続いて第2曲「親指小僧」へ。カノンさんがペローの童話について簡単に内容を語ってくれる。そしてカノンさんはディープ内藤にも困ったときに力を発揮する人がいるのでは?と考えて口にするが、「私を助けてくれる一見ダメ男だけど実は賢い人」とディープ内藤。すかさず首を横に振る所長。するとカノンさんは「所長はダメ男なんかじゃないです」と、所長を庇った。(やっぱりそうですね、カノンさんの気持ちは...)
この曲では拍子の変化が表しているものが奥深かったのが印象に残り、また、ラヴェルがローマ賞に5回落選したことで、挫折を感じるものの、逆にラヴェルが斬新な新しい時代の音楽家として知られるようになったというのも面白いところですね。
で「挫折感を持った音楽家」と口にしたカノンさん。これに「まさにうすおちゃんじゃない」とディープ内藤。で、「著名な指揮者を父に持ち、自らも将来を嘱望された天才指揮者。しかしある事件によって挫折。一時期はタクシードライバーとして夜の都会を彷徨ったことも。そして探偵に転身した天出臼夫が音楽界の第一戦に戻らない理由。」と続けるが、所長は「それ以上は勘弁して下さい」と止めてしまった所長でした。→「警視総監を祖父に持ち、現役女子高生にしてにして刑事」という「ケータイ刑事」の説明文に何となく重なりますね。それにしても「ある事件」というのが気になるところです。
で、ディープ内藤が所長に抱きつくと、カノンさんはすかさず割って入り、所長の引っ張り合いに突入する。ということで、カノンさんのヤキモチもエスカレートして来ました。
カノンさんが「次、行かせて貰います」と言って第3曲の「パゴダの女王レドロネット」へ。ここでは中国(東洋)の音楽のイメージを五音音階で表現しているというのが面白いですね。(五音音階は民謡にも多く見られるが、中国というのは面白いですね。)また、個々ではシンバルやマリンバをイメージしたピアノの音というのが面白い所でした。
ここでは「中国人留学生とつきあったことはありませんか?」と考えた所長。ディープ内藤は一緒にお風呂に入った中国人留学生もいたということでした。が、彼は故郷で幸せに暮らしているから、と言って、完全否定したディープ内藤だった。更に、ディープ内藤はラヴェルは中途半端で作家としては失格、とまで言っていた。
続いて第4曲「美女と野獣の対話」へ。ここではちゃんとストーリーになっていると所長。カノンさんが「美女と野獣」の物語を簡単に語るが、この時、所長とディープ内藤がそれを寸劇で演じる。で、野獣の魔法が解けて王子様ら変身したということから、ディープ内藤は「うすおちゃん、イケメンに変身していいわよ」と言うが、カノンさんは「所長は既にイケメンです」とムキになっていたのは面白いですね。が、所長は、自分がイケメンと言うことよりも、疑いを晴らすことの方が重要で、解説へ。
ここは連弾ならではの構成が対話になっているというのは凄いですね。また、ここではグリッサンドで変身を表しているというのは表現方法としては上手いですね。
そのあと、カノンさんはディープ内藤に血を流すような努力をしているのか?と問うが、その答えに「鶴の恩返しか」と切り捨てるように反応していたのも対抗心が燃え上がっているのを上手く表現していました。
で、所長は「先輩のデビュー当時からの編集者。確か、飯久保さん」と推理した。「あのブサイク?」と返すディープ内藤だったが、カノンさんが「鍵、持ってます?」と上手い援軍を送っていた。
そして第5曲「妖精の園」に突入する。これは第1曲「眠れる森の美女」の続きということで、間の3曲は何?というカノンさんの問に、所長は眠れる森の美女が眠っている間に見た夢と考えた。これにディープ内藤は「夢オチ?作家が最も使ってはいけないテクニックだわ」と切り捨てる。が、3つの物語には共通点があり、それがラヴェルのコンプレックスに繋がっていて、自らを重ね合わせているという構成は、凄いですね。
で、飯久保からのプロポーズという結論を出した所長。これにディープ内藤も納得して返事をすることにして帰って行ったが、この時のカノンさんの嬉しそうな表情と安心した所長の表情は、目立たなかったものの、気持ちをしっかりと表現していましたね。
今回は、ドラマ部分は約36分半弱、曲が7分弱、ラストのオチの所が40秒ほどという構成でした。尚、曲の所では、第3曲の「パゴダの女王レドロネット」と第4曲の「美女と野獣の対話」の2曲でした。(7分弱という時間では全部というのは無理であるが、第1曲を聴かせなかったというのはちょっと意外に感じました。)
ラストのオチは、ソファーで眠っている所長にカノンさんが毛布を優しく掛ける。(冒頭と同じ展開ですね。)が、所長が「嫌~」っと声を上げた。所長は、野獣が美女から逃げ出す夢を見ていたという。するとカノンさんは「それって、内藤さんの結婚が破綻する前兆ってこと...」と口にした。で「また来るな、ディープ内藤」と所長。カノンさんは「うすおちゃん」と口にしていたが、2人とも迷惑だという顔をしていた。
ディープ内藤が登場すると、所長の秘密が暴かれるが、まさかディープ内藤の本名まで判明するとは思いませんでした。また、ディープ内藤に対抗心を燃やすカノンさんも、今まで以上の反応をしていて、面白い所でした。
今回は、いつもは曲を耳にして豊かな表情を見せるカノンさんが、ディープ内藤という(恋の)ライバルがいるということで、対抗心に満ちていたということで、いつも以上にコミカルな一面が出ていて、楽しませてくれました。それにしても、所長の秘密も気になるところですね。
また、日本語ではなくてローマ字にしてのアナグラムが2つも出てきたが、言葉って本当に面白いものだということも改めて教えられる物語でした。(ただ、「この脚本を書いた人って、よっぽど暇なのね」というような気もしますが...)
次回(来週)はファイルNo.056のバッハ「管弦楽組曲第3番」です。BS-hiの再放送とBS-2の放送もこれであるが、地上波の方は2/12までおあずけとなって、2/5は放送が飛ばされたファイルNo.042のボロディン「ダッタン人の踊り」です。その後、2/14のBS-hiはファイルNo.057のピアソラ「リベルタンゴ」と続きます。
ラヴェル:スペイン狂詩曲/組曲「マ・メール・ロア」道化師の朝の歌/序奏とアレグロ(XRCD)
- アーティスト: マルティノン(ジャン),ラヴェル,シカゴ交響楽団,ドルジンスキー(エドワード),ベック(ドナルド),ブロディ(クラーク)
- 出版社/メーカー: ビクタークリエイティブメディア
- 発売日: 2009/07/29
- メディア: CD
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