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名曲探偵アマデウス#57 ピアソラ「リベルタンゴ」 [ドラマ]

今月の新作は2本だけであるが、その2本目となるのが今回でしたが、今までとは少し感じが違い、かなり新しい曲(1974年に発表された曲)であるピアソラ「リベルタンゴ」が取り上げられました。しかも、クラシック音楽というよりはポピュラー音楽(ワールドミュージック)という気もするのだが、今までにこういう曲が取り上げられなかっただけに、ちょっと新鮮でした。

タンゴということで、基本となるバンドネオンの解説があったが、アコーディオンとの音の違いまで語られていたのは良かったですね。(前回の古楽器についても、聞き比べての解説だけに、実によく分かるところでした。)

そんな中、カノンさんは冒頭でゼスチャーで所長に語りかけていたが、傑作として知られている「銭形泪」の第17話(2nd.4話)を思い出させてくれるところがありました。しかも、所長の解釈ということでは「銭形泪・29話(2nd.16話)」や「銭形愛・18話」「銭形舞・11話」などを思い出させてくれました。また、小ネタの方は色々とあったが、カノンさんと依頼人とがタンゴを踊っていた所は、画面の方にも一工夫されていて、細かい所まで凝った演出をしていたが、やはり「ケータイ刑事」でも見られた演出と同じということもあって、やっぱり意識していますね。まして、依頼人の過去の大ヒット曲『黒い涙を流した女』という曲名であるが、どことなく「銭形泪」をいじっているようですし...

冒頭では、声が出なくなったカノンさんがゼスチャーでそれを所長に伝えようとする。が、所長は高村さんや五代さんと同様に、(カノンさんの言いたいことと)全く違うように解釈する。所長とカノンさんのコンビの波長が合っているからこそ、こういう面白いことが出来るのですよね。

そんな所に依頼人が登場するが、まずはカノンさんに対してのど飴をといって、(依頼人が)通販でやっている「プロフェッショナルのど飴」を渡。で、口にしたカノンさんは元の声が出るようになった。それにしても、声が出るかのテストをするカノンさんが「本日は晴天なり」って、マイクのテストでお馴染みの台詞を口にするのは楽しいですね。

依頼人は、演歌歌手で、かつて『黒い涙を流した女』という曲のヒットを飛ばしていた。(自分で「これ一曲だけ」と言っていたが、一発屋ということですね。が、最近のように「懐メロ」が色々と取り上げられる用になると、たくさんのヒット曲を持っている人よりも一発屋の方が逆に目立つのですよね...)所長がEPレコードを取り出してサインを頼んでいたというのは面白い所でした。(あの所長もミーハーなところがあったのですね。)

依頼人は、最近では通販番組をやったり、ブログに力を入れているなど、新しいことを色々とやっているが、それらはマネージャーが取ってきた仕事ばかりであった。で、その新人マネージャーをちょっとしたことでクビにしたが、その彼から「リベルタンゴ」のCDが送られてきた。が、その意味が分からないということで、相談にやってきたのだった。

ということで、所長は依頼を受け、「リベルタンゴ」についての簡単に説明から入っていくことになる。いつものように「聴いてみましょう」ということになるが、カノンさんが聴いたことがあると言ったのはヨーヨー・マのものだったが、それを「日本人」と思っていたという所はカノンさんらしいところであり、それを「中国人」と直ぐに訂正する所長も所長らしいところでした。

で、この曲にはヒット曲の要素がある、ということで、それが語られる。「単純・シンプル」というのは何でもそうだが、「オスティナート/リフ」というのもそうですよね。確かにヒット曲というのは単純なメロディをちょっとした工夫によって頭に残るようにしたものが多いですよね。それにしても、リフの話の所でROLLING STONESの『Jumpin' Jack Flash』が出てくるとは思いませんでした。(ピンクレディの『UFO』の方は、所長の年代を考えたら分かりやすい曲と言うことになるので難無く理解できますけど...)

更に、「ギザギザの旋律」について語られる。これは、今までにも何度か語られたことでもあるが、楽譜に於いての視覚的な楽しみとして仕掛けられていることでもありくすね。が、名曲と呼ばれる曲って、何故かこういうことが多いと言うのは面白い所です。

で、依頼人は元マネージャーからのメッセージとして「この曲を歌えってことかしら」ということで歌い出すが、少し歌ったところで「カーン!」という音が響いた。カノンさんが茶目っ気たっぷりに、のど自慢の「不合格」ということをやってくれるが、楽しいカノンさんですね。(また、「銭形雷・33話(2nd.7話)」を思い出すところでもありました。)

そして、グレイス・ジョーンが歌った「リベルタンゴ」が流れるが所長のノリノリと、冷静さを保っているカノンさんの対比が面白い所でもありました。また、カノンさんは「タンゴというと」ということから依頼人と目があって、タンゴ(「ラ・クンパルシータ」)を依頼人と踊るところでは、古ぼけた映画をイメージした画面になっていたが、細かい所に拘るのは好きです。

続いてピアソラの独特の「3-3-2のリズム」について語られる。確かに「3+3+2=8」であり、「4+4」とは違ったアクセントによって違うものというのは興味深いところでした。

で、特徴を前面に出したら、ということで、依頼人が歌舞伎のようなキメポーズ(本人は青森のねぶたを意識した、と言ってましたが...)をするが、カノンさんは冷静に「何なんですかそれ?」と口にしたり「一発ギャグとして流行らせろ」という発想はやっぱりカノンさんですね。

これに続いて所長が、「(依頼人の)大きな体」ということを言っていたが、確かに所長は細身で小柄であるだけに、インパクトがありました。

続いて、タンゴについてと、タンゴには切っても切れない楽器であるバンドネオンについての解説がある。単語の歴史は約120年ということになっているが、日本では明治になっていたことになるが、思ったよりも歴史が浅いのはトリビアですね。また、バンドネオンについては、アコーディオンの仲間であるが、アコーディオンとは音色が違っている(違う楽器だから当たり前ですけど...)が、その特徴を活かせる曲があるからこそ、現在でも使われているということですよね。

また、この時にアコーディオンとの音の違いを実際に音の違いを聴かせてくれていて、とても分かりやすかったですね。(いつもながら、こういうところは分かりやすく解説してくれます。)

更に、ピアソラの人生について語られる。1921年生まれ(1992年没)ということで、写真や彼自身の演奏を録音したものが残っていて、それらを聴かせてくれるというのは親切です。→ベートーベンとかモーツァルト、バッハなどになると、彼の実際の演奏を録音したものは存在していないし、写真もまだありませんでしたからね。

また、タンゴの革命児と言われるピアソラであるだけに、ピアソラ研究家がいるというのも凄い所ですね。

また、所長は色々と語っていたが、慣れ親しんだもの、革新的なものについて語ったが、説得力がありますね。で、曲のタイトルに込められた意味についての解説で「自由なタンゴ」というのは、やはり単純なタイトルであるが、色々と億に秘めたものがあって、奥深さを感じました。

最終的にこの曲は「自分への応援歌」という結論に達し、依頼人は新天地に出る事を決意した。ということで、やっぱり今回も人生相談にもなっていた所長でした。

今回は、ドラマ部分は約36分45秒、曲が6分半、ラストのオチの所が45秒ほどということで、ドラマ部分がやや長めという構成でした。また、曲の所では異なる編曲の「リベルタンゴ」を2曲と言うことで、同じ曲が編曲によって全く違う曲となったものを聴かせてくれました。が、「リベルタンゴ」がスタンダード・ナンバーとして色々と姿を変えていることを思うと、心憎いことをやってくれるものです。あとは、HRアレンジや現代風ダンス・ミュージック・アレンジなどでも聴きたくなりました。

ラストのオチは、所長が読んでいるスポーツ新聞に「MURAKI」という文字を見つけたカノンさんが「ちょっと貸して下さい」と言って新聞を手にしてその記事を声を出して読んでくれる。ブロレス会場に謎の覆面レスラーが登場した。入場曲は「リベルタンゴ」だった。巨体を活かして勝利を納めたMURAKIは依頼人の往年の名曲『黒い涙を流した女』を熱唱すると去っていた。で、所長は「そっちへ行ったか...」と漏らしていた。

今回は、この番組では(普段では)流れることがないストーンズやピンクレディの曲が少しだけとはいうものの流れたというのは、ロックファンや歌謡曲ファンにとっても親しみやすくなるところでしたね。また、考えてみると、音楽がクロスオーバーしていき、「クロスオーバー」というジャンルとして扱われるようになったのが1970年代になてからで、「リベルタンゴ」の発表時期に近い。そして'70's終盤には「フュージョン」という言葉が生まれることになり、様々な音楽を融合させた新たな音楽は'80年代になると色々と登場しました。そしてそれらは'80's後半のワールド・ミュージックのブームを生み出した。そういうポピュラー音楽の歴史を考えると、「リベルタンゴ」は音楽が融合して発展していくことになったハシリとなった時期に生まれた曲ということになり、クラシック音楽というよりも現代音楽の流れに含まれた名曲だったと思える。そんな曲を「クラシック」ということを言っていた扱うこの番組が取り上げたというのはとても大きなポイントですね。→この番組も「新天地に向けて新たなスタートを切った」と解釈出来ますし、今回の物語は色々と奥深いものがあった物語でした。(当然、所長とカノンさんのコンビで3年目に突入してくれますよね?)

次の新作(ファイルNo.058)は3/7まで間に2週間空きます。ということで、再放送となる来週(2/21)は、ファイルNo.021のチャイコフスキーの「くるみ割り人形」です。これは2008/12/6が初放送だったので、1年以上前のものということになります。内容もクリスマス・プレゼントでくるみ割り人形が送られてきたということから繰り広げられる物語でした。また、2/28も何かの再放送ですが、そちらは比較的最近のものの再放送になることと思います。で、3/7になって、ファイルNo.058のストラヴィンスキー「バレエ曲『春の祭典』」の登場となります。

 

ピアソラ:リベルタンゴ

ピアソラ:リベルタンゴ

  • アーティスト: アストル・ピアソラ
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2008/02/06
  • メディア: CD

リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 1999/09/03
  • メディア: CD

↓ピアソラ以外の「リベルタンゴ」も拾っておきます。

リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト: ラ・クァルティーナ
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2006/10/24
  • メディア: CD

ベスト・アルバム

ベスト・アルバム

  • アーティスト: ヨーヨー・マ,ピアソラ,オコーナー,バッハ,ドヴォルザーク,ポーター,プレヴィン,モーツァルト,ボッケリーニ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2004/11/17
  • メディア: CD
リベル・タンゴ

リベル・タンゴ

  • アーティスト: アル・ディ・メオラ,マリオ・パルミザーノ,ジョン・パティトゥッチ,アート・タンクボヤチオアン,ハーマン・ロメロ,グンビ・オーティズ,ジラード,トロント交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: CD
リベル・タンゴ ~タンゴ・フォー・4

リベル・タンゴ ~タンゴ・フォー・4

  • アーティスト: タンゴ・フォー・4
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/03/23
  • メディア: CD
哀愁のリベルタンゴ

哀愁のリベルタンゴ

  • アーティスト: マーク・ヴァン・ローン,フランス・ホーヴァン,ロイ・ダッカス,チャーリー・マリアーノ
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1999/12/17
  • メディア: CD
リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト: ジャンニ・ベドール,ジュゼッペ・プレスティピーノ,ジャンニ・ジリオリ,マーレーン・ケシック,アンドレア・ポッギ,フィリッポ・ダッコ,アンベルト・ベネデッティ・ミケランジェリ,エルサ・パッラビチニ,パオロ・セイビ,フェリス・ダ・ビア
  • 出版社/メーカー: キング・インターナショナル
  • 発売日: 1999/01/22
  • メディア: CD

↓「ケー刑事」で思い出した物語が収録されているものを拾っておきます。

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD
ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: TBS
  • メディア: DVD
ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 3

ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 3

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

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