ケータイ刑事銭形泪23話(2nd.10話)[裏ネタ編]PART 12 [ケータイ刑事]
「銭形泪」の2nd.第10話(通算では第23話)「ミステリー作家の挑戦状 ~犯人は私だ!殺人事件」の裏ネタ編・増補は今回が4回目(この物語では通算12回目)となるが、この物語については今回で打ち止めです。で、今回はこの事件の犯人と被害者が「日本ミステリー界のこれ」ということから、「双璧」について、「重鎮」について、桃白が被害者にこれをしていたということから「足蹴」について、そしてこの物語では(前半で)ポイントになっていた「原稿」について記します。尚、「原稿」については「泪・15話(2nd.2話)[裏ネタ編]PART 9」で記したものをベースにして加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事については「ここをクリック」してご覧下さい。(この物語についての「裏ネタ編」は、2009/4/23、25、27、28、30、5/2、5、6日付けで記しています。)
「双璧」:優劣付けがたい2人の優れた人のこと、または2つの物のことである。尚、この言葉は「優れた人/物」に対して使う言葉であるため、悪いことや悪人に関しては使用しない。英語では「The Two Greatest」という言葉が使われる。
様々な分野で2人の優れた人がいると、「○○の双璧」と呼ばれることが多い。(どの世界でもそうであるが、トップ1という存在がいる世界よりも、双璧と呼ばれる人材が競い合っている世界の方が何かと発展するものである。)「双璧」として名前が挙がることが多いのは、明治の文壇の「森鴎外と夏目漱石」ですかね。(他にも多数あるが、言葉の説明と言うことでは、なぜか鴎外/漱石の名前が挙がりますね...)
語源は中国の北史であって、落陽の長官が2人の息子のことを讃えて「双璧」と呼んだことから来ている。尚、「璧」は環状になった宝物であり、宝玉のことである。「双」は対になっている、2つのと言う意味である。ということから、優れた双つ(2つ)の宝玉のことを指す。尚、「璧」は古代中国では宝という認識であるが、祭事に使用するものでもあり、日本にも伝わっている。
よくある間違いとしては、「双璧」の「璧」を「壁」と記す間違いがある。「壁」も「へき」と読むが、2つの壁というのは何を言いたいのか意味不明となってしまいます。(当然、「宝」というような意味はなく、「障害物」という意味があるから「困難なこと」でも意味するというのでしょうかね???←「双壁」という言葉はありません。)ただ、近年ではワープロ使用が当たり前になっているため、こういう誤記は殆ど無くなっていますが...
「重鎮」:その方面に於いて重きをなす人のことである。「○○界の重鎮」という使い方がされる。尚、その方面に於いて、重鎮が何人までいるのか、ということは特に制限は無いが、基本的には数人の範囲である。ちなみに、類義語である「要人」は、重要な地位にある人のことを指すが、こちらはその方面に於いて、数人から数十人程度まで指すのが一般的である。(「幹部」という言い方になると、更に人数的には大きくなる。)それ以外では「お偉方」「有力者」という言い方もあるが、やはりいずれもが数人から数十人の範囲を指すため、「重鎮」が指す範囲よりは広くなる。
尚、「重鎮」の「鎮」も「重いもの」という意味があるため、この言葉は二重に「重きがある」ということが強調されている言葉でもある。
英語では「Person of Influence」や「The Important People」と言うが、普通、これらの言葉を日本語に訳すと「有力者」「お偉方」「幹部」「要人」という言葉が使われる。(「重鎮」とする場合は「Very」という言葉を付けることもある。)
「足蹴」:「あしげ」と読む。文字通り、足で蹴ることを言う。そこから転じて、「他人に酷い仕打ちをすること」を言う。
古語では「あしげ」と読んでいた。また「蹴る」という言葉は下一段活用であるため「蹴り」という活用は無かった。そのため、名詞としても「り」を送りがなとして記すことはなかった。しかし、「蹴る」と言う言葉が四段活用されることになり、現代語では五段活用となったことで「蹴り」という活用も生まれることになった。そのため「足蹴り」という表記も現在では正しいものである。(この場合でも「足蹴」の部分は「あしげ」と読む。)尚、「足蹴」と表記した場合はあくまでも「あしげ」と読み、「あしげり」とは読まない。「あしげり」と読むのは「足蹴り」と表記した場合だけとなる。
英語では「Kick」と言うが、これは「足で蹴る」ということであって、酷い仕打ちをする、という意味は無い。
この物語では、桃白が蒲団の中に綺麗に寝かされた黒沼の遺体を足で蹴っていたが、「足で蹴る」という本来の意味と、遺体に対して「蹴る」という酷い仕打ちをしているということで、両方の意味を実践(?)していることになる。見た目では一言で片付けられてしまうが、言葉の意味を調べてみると、二重の意味を具現化していると言うことで、面白い所でもある。→本家四姉妹の物語では、このような言葉遊びとも言うことの出来る仕掛けが色々とあったが、分家になってからはこういうものが減ってしまったのが残念な所でもありました。
「原稿」:出版物(印刷物)の元になる文章や写真、絵などを記したもののこと、または印刷や口頭発表によって発表する内容を記した下書きのことである。また「草稿」と言う場合もある。尚、「下書き」と言うと「試し書き」という意味もあるため、ボツになって全く陽の目を見ることが無いものも含まれるが、「原稿」と言うと、基本的に陽の目を見たものの元になったものである。
基本的には手書きされたものというのが一般的であるが、近年ではワープロ(パソコンのワープロ・ソフト利用を含む)使用が当たり前になっているため、手書きではない原稿や、紙を使っていない原稿(所謂「電子化原稿」)も当たり前になっている。
以前は、特に小説家が原稿用紙に原稿を記すことが文章を書く者のシンボルのようになっていて、万年筆を使って原稿用紙に文字を記すというのが一般的であった。また、小説家の直筆の文字の中には読みにくい特徴的な文字が書かれていたこともあって、その癖字を解読するというのが難しい所でもあり、面白い所でもあった。現在では電子ファイル化されているというのが一般的になっているだけに、そういう個性的な文字が無くなってしまったのは寂しい所でもある。(電子データー化されたことで、誤読の可能性が無くなり、出版社としては出版過程の作業効率が上がることになったが、時には誤変換されているのがそのまま印刷物になることもあるようで...)
尚、英語では、印刷用の原稿のことは「Copy」、手書きやタイプ打ちの原稿は「Manuscript」、草稿のことは「Draft」、下書きのことは「Sketch」と呼んでいて、それぞれ区別されている。また、文字ではなくて絵である場合は「Rough」と言うこともある。(パソコンを使った電子データとしての原稿は「Draft」または「Manuscript」と呼ばれている。)
↓参考まで
デジタル原稿の編集技能―Wordを使った原稿編集のノウハウ (講義ノート)
- 作者: 小林 敏
- 出版社/メーカー: 日本エディタースクール
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
常用漢字字体一覧―デジタル原稿の漢字の知識〈1〉 (日本エディタースクール講義ノート)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 日本エディタースクール出版部
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
コメント 0