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名曲探偵アマデウス#64 シューベルト「歌曲『魔王』」 [ドラマ]

今回はシューベルト「歌曲『魔王』」が取り上げられたが、これでシューベルトの曲は5曲目となって、単独トップになりました。(これまでは4回で、ショパン、チャイコフスキー、ベートーベン、モーツァルト、と共にトップ・タイでした。→トップ・グループの作曲家の曲は今後もまだまだ取り上げられるのは間違いないでしょうが...)

今回の依頼人は中学の美術教師ということで、久しぶりの教師が依頼人となりました。人生相談をしていると言っても良い所長が学校の先生の指導まで行った形になるというのもまた凄い所ですね。

また、冒頭の部分では所長が葛飾北斎の浮世絵集の本を見ていて、そこに「神奈川沖浪裏」が登場したが、これは「銭形海」でお馴染みのあの浮世絵である。ということで、細かい所に「ケータイ刑事」に繋がる仕掛けがありました。

冒頭、カノンさんがコーヒーを入れて所長の所に持っていくと、所長は北斎の本を見ている。で「今日は楽譜ではなくて絵の鑑賞ですか?」とカノンさん。所長は「絵画と音楽には深い関係がある」と言い、「神奈川沖浪裏」がドビュッシーに影響を与えて『交響詩「海」』が作られたと語る。で、絵と音楽は深い関係があるということに納得したカノンさん。すると「やっぱり」と言って依頼人が現れた。依頼人は島の中学の美術教師で、授業で写生に行ったが、教え子のたけし君(中3で、彼の担任でもあった)が風景を書かずにとんでもない絵を書いたこと、またある曲を歌ったこと、前日に進路指導の面談を行っていたこと、この絵を書いてからたけし君は学校にも来なくなった、ということを語る。で、歌った曲と絵の謎を解いて欲しいという依頼だった。また、たけし君が歌った曲はシューベルトの歌曲「魔王」であった。依頼人は所長の手を握って依頼を受けてくれるように頼み、所長はその依頼を受けた。(依頼人が教師ということで、カノンさんも安心しているのですかね。普通、女性の依頼人が所長の手を握っていたら、ヤキモチを焼きそうなのに、今回はそう言うことはありませんでした。)

いつものように、「曲を聴いてみましょう」ということで入って行く。最初はホラー仕立ての演出で、冒頭の旋律の解説へ。この時、カノンさんの怖がっている表情が見られたが、相変わらず表情豊かなカノンさんですね。

この曲はゲーテの詩を元にしたものということの説明から、詩の内容についても語られるが、今回は時間がたっぷりとあることもあるのだろうが、じっくりと説明が行われていたのは良いところでした。また、詩に登場する3人のキャラクター(父、子供、魔王)を、最初は依頼人が一人三役で、続いてカノンさんも加わって、寸劇風に歌詞を台詞として行っていたのは面白い所でした。

曲の方では、3人のキャラクターの違いを、音域の幅(音程の高さ)で描き、感情表現を長調と短調を使って描き分けたというのは上手いところであるが、なるほでという上手いところですね。

それにしても、短調から長調への転調と、長調から短調への転調という言葉にすれば「転調」ということで片付けられてしまうことでも、心理的な不安の描写と、魔王が正体を現したという全く異なる表現が出来てしまうのは、音の魔術ですね。

所長の解説はいつものように人生相談になっていき、カノンさんのさりげない一言がステップになっているというのも上手いところであるが、所長とカノンさんのコンビも、コンビネーションもバッチリ決まっていて、良いコンビです。で、所長は、たけし君の気持ちと伝えたかったことを解き、アドバイスをして、依頼人も納得してといういつものパターンになっていき、無事に解決しました。

今回は、ドラマ部分は39分弱、曲が4分強、ラストのオチの所が1分という構成で、曲が短いということもあって、ドラマ部分が長くなっていました。こういう曲だと、ダイジェストにする必要が無いですからね...

ラストのオチは、カノンさんが(いつものように)「大変ですよ」と言うことで、依頼人が話していたたけし君が中学生ながら個展を開き、作品が高値で売れ、しかも完売したと語る。この時、カノンさんは慌てながら書棚で何かを探していた。所長が「いくらで」と尋ねると、指を1本立てた。所長は「1万円か?」と言うが、カノンさんは違うと良いながら書棚を探している。「10万円か?」と所長が言うがカノンさんは同じ状態で、「100万円か?」と所長が言うと、首を縦に振ったカノンさん。すると所長も呆然となって、「この絵が100万円?」と行って立ち上がり、手にはたけし君が書いて依頼人が置いていった絵を持っていた。するとカノンさんはそれを目にすると「何だ、所長が持っていたんじゃないですか」と行って所長の方に近づいて行く。で、「その絵、わたしに下さい」と言うと、所長との間で奪い合いが始まる。所長は「落ち着くんだ、響くん」と言うが、絵を手から放さない。カノンさんは「だって、給料未払いじゃないですか」と行って絵を奪おうとする。で、エンドマークになってから、ビリッと紙が破ける音がした。所長は「響くん、糊...」と言っていた。→カノンさんが指を1本立てたのが100万円だったというのはよくある表現ですね。(100万円の札束が1つということで、「1本=100万円」というのは常識でもある。)所長は最初「1万円か」と口にしたが、この発送は1万円札が1枚という発想であるのは言うまでも無いが、絵の売れた値段ということでは貧弱な発想(子供的な発想)でした。で、一桁ずつ上げていくが、これも子供の発想である。ということで、こういう所でも音楽のことはやたらと詳しい所長であるが、世間のことは余り分かっていないということと、カノンさんの方がしっかりしている、ということを上手く描いていました。ただ、破けてしまったというのは当たり前過ぎるオチでした。

また、「給料未払い」とカノンさんが口にしたが、そういうことならばカノンさんのものになる可能性は十分ありますね。また、給与未払いがあるのなら、これはこれで別の問題に発展する可能性があるが、「所長ラブ」のカノンさんは所長の下に永久就職を狙っているので、我慢できると言うことですかね。

ただ、寂れた探偵事務所だから指1本が100万円と考えるのは分かるが、これが世界的に名前が通った画廊であれば、指1本は1億円を意味するのだが、将来が期待される有望な画家の絵に1億だったら異常です。ただ、何十年後には億単位で取り引きされるような偉大な画家に成長しているかもしれませんが...

今回の依頼人は学校の先生であったが、学校関係者が依頼人の場合はとんでもないキャラの持主であることが多かったのが今までである。そのことを考えると、今回の依頼人は普通の範囲に収まる教師であって、キャラクター的にはちょっと物足りなさを感じました。が、島からわざわざ大きな荷物を持って出てきて依頼しに来たことを考えると、やっぱり普通ではないように思えますが...

冒頭で「神奈川沖浪裏」が出てきて、ドビュッシーの「交響詩『海』」が少しだけ流れたが、いずれはこの曲も取り上げて貰いたいですね。(その時の依頼人を演じるのは、是非とも大政絢ということでお願いします。→本家と分家の次女同士の顔合わせということになります。)

来週はファイルNo.065のヨハン・シュトラウス「ワルツ『美しき青きドナウ』」の登場で、5月の新作はそこまでとなります。(31日は何かの再放送の予定となっている。)で、ファイルNo.066のラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」は6/7です。

 

野ばら~魔王/シューベルト:歌曲集

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  • アーティスト: レヴァイン(ジェイムズ),マルティノー(マルコム),フォシュベリ(ベンクト),ガーベン(コード),ヤンセン(ルドルフ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/09/05
  • メディア: CD

18人の名歌手によるシューベルト:魔王

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
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  • メディア: CD
魔王 ― ベスト・オブ・シューベルト

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  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
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  • メディア: CD
菩提樹/シューベルト歌曲名曲集

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  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1997/10/08
  • メディア: CD
死と乙女、魔王〜シューベルト歌曲集

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  • アーティスト: シューベルト,モル(フィリップ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
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  • メディア: CD
シューベルト:名歌曲集

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  • アーティスト: シューベルト,ムーア(ジェラルド)
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: CD
シューベルト:ゲーテ歌曲集

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  • アーティスト: シューベルト,デムス(イエルク),ムーア(ジェラルド)
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1999/07/01
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↓一応、これも。
日本の凧 北斎 神奈川沖 浪裏

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パズルの超達人 2016ピース 神奈川沖浪裏<冨嶽三十六景> 23-531

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立版古 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

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ぬり絵ミュージアム 神奈川沖浪裏 NM-001

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  • メディア: おもちゃ&ホビー

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