CHRIS REA『ON THE BEACH』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1986年に発表された彼の8枚目のアルバムである。スライドギターと独特のしゃがれ声(ハスキー・ボイスであるが、彼の場合は「ハスキー・ボイス」というよりも「しゃがれ声」と言った方が雰囲気が合います。)が魅力のシンガーソングライターである彼は、これまでもそれなりのヒット曲を生んでいるアーティストであり、実績はあったのだが、日本では1982年の『Loving You』がAORブームの時に知られたぐらいであった。(そのため、彼はAORのシンガーという認識が日本にはある。)そんな彼が(日本で)久しぶりに名前が出たのが本アルバムであり、アルバム・タイトル・ナンバーがまたもAORの一曲としてヒットすることになる。ということて、日本では「お久しぶり」となったアルバムである。
とは言っても、本国イギリスでは前作が全英アルバム・チャートで初めてTOP 20入り(15位)となって、全盛期に突入した時期に発表されたアルバムである。本アルバムはイギリスで最高位12位、(西)ドイツで最高位2位を記録している。
収録曲は以下の全13曲である。『On The Beach』『Little Blonde Plaits』『Giverny』『Lucky Day』『Just Passing Through』『It's All Gone』『Hello Friend』『Two Roads』『Light Of Hope』『Auf Immer Und Ewig』『Freeway』『Bless Them All』『Crack That Mould』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。まずは『It's All Gone』がイギリスで最高位69位を記録し、続いてアルバム・タイトル・ナンバーの『On The Beach』がイギリスで最高位57位、フランスで最高位48位を記録した。そして改めてレコーディングされた『Hello Friend』がイギリスで最高位79位を記録している。爆発的な大ヒットにこそならなかったが、これらが黄金期の前触れとなったことと、しっかりとしたファンがいることを証明することになった。
お薦め曲は、アルバム・タイトル・ナンバーの『On The Beach』と、シングル・カットされている『It's All Gone』と『Hello Friend』、そして『Lucky Day』『Crack That Mould』をピックアップしておく。
日本では彼はAORのシンガーとして知られているが、スライドギターのテクニックの方もなかなかのものであり、ギタリストとしても注目して貰いたいところであり、独特のしゃがれ声と綺麗なメロディラインによってAORのボーカリストという認識に留まっているのが残念な所である。
本アルバムはアルバム・タイトルにあるように、海岸で耳を傾けるのにはピッタリというような楽曲が集まっていて、哀愁を感じながら、夕暮れから夜の浜辺の雰囲気を堪能するにはもってこいでもある。ということで、じっくりと耳を傾けたくなるアルバムである。
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