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ケータイ刑事銭形雷1話[裏ネタ編]PART 7 [ケータイ刑事]

銭形雷」の第1話「カミナリ刑事登場! ~お天気クイーン殺人事件」の「裏ネタ編・増補」の6回目(通算で7回目)となる今回で終了です。(このペースだと、全40話あるだけに、何処まで伸びることになるやら...)で、今回はこの物語でポイントになった気象関係のものから「百葉箱」について、「逆転層現象」について、「トンネル現象」について記します。

また、BS-iの本放送時に記した記事は2006/1/2付けで、MBSでの放送時に記した[改訂版]は「ここをクリック」(ここにはBS-i本放送時に記した記事へのリンクもあります。)してご覧下さい。

百葉箱」:一般的には「ひゃくようばこ」と読むが、「ひゃくようそう」と読むこともある。地上での気象観測の溜めに設置される施設であり、通風の良い小形の木箱であり、中に温度計や湿度計を収容している。また、百葉箱と雨量計を設置した気象観測定点のことを「露場」と言う。

二重の鎧戸で四方を囲まれていて、大きさは一編が1m程度である。開閉扉は北半球では北面、南半球では南面とする。(直射日光が入らないようにするためである。)壁面は日光を吸収しないように白色に塗られている。内部に設置される温度計の高さは、地上から1.5mになるように設置される。(世界では1.25m~2mの間と言うことになっているが、日本では1.5mと定められている。)また、地表は太陽光の反射を防ぐために芝生を設けるのが一般的で、箱は地上から約1mほどの高さに床面をもつのが一般的である。

白い木箱を用いるのは、太陽光を反射して、熱を閉じ込めないようにするためであり、木は熱伝導が良くない素材であるため、これが用いられる。また、内部に雨や直射日光が入らないようにする目的で鎧戸になっている。

現在の百葉箱が登場したのは1873年である。それ以前でも19世紀中期に百葉箱は登場しているが、箱ではなかった。(「百葉窓」と呼ばれていた屋根付きの板であった。)日本では1874年に導入された。但し、当時は「板簾」と呼ばれていて、「百葉箱」と呼ばれるようになったのは1886年からである。また、小学校や中学校の校庭に設置されるようになった。

1993年に気象庁は百葉箱での観測を廃止したが、これは自動観測機器が普及したためである。それ以後は老朽化などのため、百葉箱は次第に撤去されていくようになり、現在では百葉箱の無い小中学校も多くなった。(ちょっと寂しいですよね...)

逆転層現象」:気象現象の一つであり、大気の高度による気温の変化が通常とは違う現象のことである。通常は、高度が上昇するに従って気温は下がっていくが、特定の高度の気温がそれよりも低い高度の気温よりも高くなる現象のことである。(こういう状況になった温度差の層のことを「逆転層」と言う。)これが発生すると、空気の対流が停止するため、高度差によって起こる空気の拡散が停止してしまう。

原因は、冬場などによく起こるのは、放射冷却によって地表の温度が下がると、それにつられて地表近くの大気が冷却されて、それよりも高度の大気よりも温度が下がることで発生する。または、冷えた地表に暖かい(南からの)大気が流れ込んで発生することがある。(これらはいずれも地表に近いところで起こる場合で、前者を「接地逆転層」、後者を「移流逆転層」という。)

上空でも逆転層は発生し、高気圧によって下降気流が発生し、その際に断熱圧縮が起こり、その部分の気温が上昇し、結果的にそれよりも高度の低い大気よりも温度が高くなることがある。(これを「沈降逆転層」という。)

尚、寒冷前線や温暖前線では、暖かい空気と冷えた空気とがぶつかり合い、当たり前のように逆転層が起こっている。(前線で発生する逆転層は「前線性逆転層」と言う。)

逆転層が発生すると、濃霧が発生したり、空気の対流が止まってしまうことから空気中の不純物の拡散が止まり、スモッグが発生しやすくなったりする。

また、この物語に登場したトンネル現象も逆転層が発生したことが原因で起こる現象であり、この物語のように、音源からの距離が近い所に音が届かず、それよりも遠いところに音が届くという現象、及び、近くの音よりも遠くの音がより大きく聞こえるということが発生する。

この物語では、(ちゃんが説明してくれたが)大晦日の夜の天候から、地表で放射冷却が起こり、これによって地面が冷たく上空が暖かいという接地逆転層が起こったということである。

トンネル現象」:音の伝搬に関する現象である。逆転層が発生した時に起こる現象として知られている。(劇中でちゃんが説明した通りです。)

音は媒質の中を伝搬して伝わるが、大気中では空気を媒質として伝搬する。また、大気の温度は高度が高くなるほど下がる。音は温度が高いところから低いところに曲がるという性質があり、通常(高度が上がるほど気温が下がった状態)はある所で上空に向かって発生した音は気温の低い上空に向かって行くため、地表に戻ってこない。そのため遠方には音が小さくなり、届かなくなる。が、逆転層が発生した状態で上空に向かった音は、温度が高い層に届くと、そこよりも温度が低い高度の低い方に反射されることになる。地表から上空に向かい、そこで反射した音は、当然ながら地表に向かって降りてくる。そのため、通常では届かないような遠方の音が遠くに届くことになる。また、地表で音源に近い所は、通常は音が直進して伝搬されるが、減衰していくため、あまり遠くまで届かず、距離が離れると音が伝わらない。上空の逆転層で反射した音が再び届いた地点の方が音源よりも距離は遠いが音は届き、それよりも音源に近い地点では音が届かないということになる。これを「音のトンネル現象」と言う。

量子力学の世界で「トンネル効果」という現象があるが、こけと現象も出るは同じである。トンネル効果は粒子の持つ全エネルギーよりも高いポテンシャルの壁をその粒子が通り抜ける確率がゼロではないということである。(これを「音のトンネル現象」に当てはめると、本来は届かない地点ら音が届くということである。本来は直進して伝搬される音には減衰して届かないという壁があるが、逆転層によって上空に向かって発せられた音が反射して届くということで、確率がゼロではないということになる。)

尚、「トンネル現象」と言うのは、量子力学の「トンネル効果」と同様に、乗り越えられないポテンシャルの壁を山に見立てて、あたかもその山にトンネルを掘って突き抜ける現象ということから名付けられたものである。

ということで、「銭形雷」の第1話は気象現象についてある程度の知識を持っていないと解けないトリックを利用していたということで、学術的にもレベルの高い物語でもありました。

 

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