アザミ嬢のララバイ#9 [ドラマ]
今回の物語は、本シリーズに於いて登場人物の多い物語でした。(エキストラの花嫁行列を含む。)但し、台詞のある人物はいつものように少なかったですが... 確かに物語としては華やかさが無いのだが、昔ながらのお伽噺を見ているような感じの作品でした。ただ、「きつねの嫁入り」という話(物語自体)については、現在ではどれだけ分かる人がいるのでしょうかねぇ...???
派手なデコレーションしたトラック(この物語では「トラック野郎」と言った方がより雰囲気が出るでしょう。)を運転している若いドライバーの健と、その横に座っているベテランの安。夜道を進んでいるが、田舎道と言うこともあって対向車もなく、色々と話をしながら走行していた。そんな中、突然トラックが止まってしまった。良く見ると燃料計が空を示している。少し前に満タンにしたはずなので、おかしいと思って燃料タンクを見るが、空だった。
そんな時、安は提灯の行列を目にした。彼はきつねの嫁入り行列と思い、トラックの下に身を隠し、健にも見ないようにしてやり過ごそうとする。暫くして、行列は通り過ぎたと判断して、トラックの下からそっと様子を見ようとした安だったが、そこには花嫁の介添人が立っていた。
介添人は「婿殿」と呼びかける。安は違うと言うが、婿殿とは健のことだった。しかし健も何のことか全く分からなかった。で、花嫁が健に話しかける。今の姿は違っているが、前々の姿の時から結婚を約束しているのだと言う。しかし、やはり健には全く覚えがない。人間になる前世の時のことなど覚えているはずがない。
で、花嫁と健は色々と話をする。その内に彼女に惚れたことを思い出した健。が、「キツネ」ということが引っかかっていた。安に相談し、花嫁と結婚することを決意した健。が、時間は流れていて、夜明けが近かった。今宵の内に花嫁の村で婚礼を挙げないと、次は64年の間婚礼は出来ないと言う。で、介添人が不思議な力を使い、トラックに乗っていくことになる。安は燃料が空だと言うが、介添人の迫力に押され、分からないことは気にしないことにした。
健が荷台を整理して、花嫁行列を中に乗せようとするが、行列の一同はトラックの荷台の屋根の上に正座して座っていた。で、出発する。しかしやがて車が停まった。川に架かっている橋がなかったのだった。このままでは村に到着できない。が、健はトラックを進めることにした。川の途中で止まってしまったら、と心配する安だったが、その時はみんなを肩に乗せていけばいいと健は言い、再びトラックを走らせていった。
物語は昔ながらのお伽噺に「トラック」という現代のものを融合させた上手い寓話であった。全体的には昭和のテイストの感じられる物語ということで、味があるものに仕上がっていた。しかし、物語の中にはこれという華がなかっただけに、地味なままで終わってしまったのがちょっと残念でした。
ただ、今回の物語では、何と言っても花嫁の介添人が全てを喰っていました。(演じたのは木野花)「婚礼」、特に「花嫁行列」ということでは花嫁が主役であるのに、完全に介添人が主役ということの出来る存在感でした。(こちらを主役にして、別の方向に物語を持っていっても面白い作品になったでしょうね。但し、その場合はコメディになるでしょうけど...)
また、花嫁行列ということとファンタジックなところから、黒澤明監督の「夢」を思い出したのだが、そちらとはスケールが全然違うのは低予算ドラマだから仕方のない所ですね...
次回は最終回となるが、このまま終了というのは勿体無いですね。こういう形の30分枠のオムニバス・ドラマというのが他にないだけに、この点が残念です。(しかも、後番組が「MM9-MONSTER MAGNITUDE」ということで、全く毛色の違う作品になってしまうだけに...)
↓主題歌
↓参考まで
夢 Akira Kurosawa's DREAMS [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: DVD
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