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名曲探偵アマデウス#70 ムソルグスキー「交響詩『はげ山の一夜』」 [ドラマ]

月に3本ペースで進んでいるが、今月の2本目はムソルグスキー「交響詩『はげ山の一夜』」でした。また、今回で話数も70に達したということで、この番組を録画保存しているBD-R-DLも10枚目が埋まることになりました。(DRモードで7話収録可能。1層DISCだと3話しか入らない2層を使うと7話入る。→BS-2の放送だとSD放送なので1層で8話、2層で16話入るが、HDでは無いですし...)

この曲は、色んな所で耳にすることの多い曲でもある。特に、恐怖を感じる演出が必要な場合には、この曲がバックに使われることが多いですよね。ということで「ホラー音楽の元祖」とも言うべき曲というのは上手い表現ですね。

今回の物語では、所長の弱点が分かったということで、カノンさんにしてみると良いネタが入ったと言うことになるのでしょうが、カノンさん自身も半分怖がっていたということで、どっちもどっちですけど...

冒頭、仕事を終えて帰ろうと行ったカノンさんだったが、突然、灯が不安定になって消えてしまった。所長は「電気代払ってなかったからか」と言うと「アッ、それか」とカノンさん。変なことにあっさりと納得してしまうのは面白い所です。で、ロウソクに火を点けるカノンさん。用意が良いですね。(と言うことはしょっちゅう電気が不安定になるということで、貧乏事務所だけではなく、オンボロ事務所でもあるということですね。(今更ですが...))

が、ロウソクを手にしたカノンさんが突然悲鳴を上げた。見知らぬ人が暗がりにいたからだった。所長も声を挙げて「お化け」ともらした。で、大騒ぎになるが、次の瞬間、灯りが点いた。で、落ち着きを取り戻したカノンさん。見知らぬ男は依頼人であって、みちのく夢の国遊園地(家族経営の小さな遊園地)の専務だった。経営が厳しく、限界と言うことで相談に乗って欲しいと言うことだった。

新しいアトラクションとしてお化け屋敷をすることにしたが、その準備が進んでいない。で、依頼人がアイデアもないのに手を上げてしまったのだった。で、死んだばあちゃんのことを思い出し、ばあちゃんがいつも聴いていた曲がムソルグスキー「交響詩『はげ山の一夜』」だった。この曲にアイデアがあるのでは?ということで、所長は依頼を受けることにした。(が、「お化け屋敷」を怖がっていている所長が楽しい所です。)

カノンさんは「他にどんなアトラクションがあるのですか?」と尋ねて、興味を持ったようで、いつもとおなじであるが、所長は怖がっていることがモロに出ていて、取り繕いながらいつものように進めていくという固い表情が対称的だ面白い所でした。

で、曲を聴き始めると「怖い~」と漏らすカノンさん。が、所長の表情の方がもっとこわばっていて、更に面白いことになっていました。

使っている音階の工夫や、同じ旋律を半音だけ上げて使っているなどは、言われてみると「なんだ~」となってしまうが、それを実践しているのが凄い所です。また、オスティナートの説明で、ホラーの常套手段と言っていたが、恐怖に対する人間の感じ方というのは、ムソルグスキーの時代でも、現代でも変わっていないということですね。

で、依頼人はこんな感じと言って語り出すが、ここではカノンさんの悲鳴と、それに続いて風になびく髪、バックには人魂が飛び交うという演出がユニークでした。が、それなりに怖がっているカノンさんだったが、所長はそれ以上で、狼狽えているという感じのアクションが楽しませてくれる。で、依頼人がシーツを被ってお化けだぞ~と野郎とすると、カノンさんはそのシーツを奪い取ってしまった。「怖くないの?」と言う依頼人に「ちっとも」と言い捨てるカノンさん、場を盛り上げると言うことは分かっていますね。で、怖がっている所長を指差して「この人みたいに怖がる人もいるかも知れないですけど、今時小学生でもこれじゃあね...」と、ダメ出しをする。すると所長は恐がりながらも「ただ何だか分からないものが出てくるだけじゃあ、町内会のお化け屋敷レベルなんですよ」、カノンさんに続いてダメ出しをするが、その表情が何とも言えない面白いものになっていました。

で、魔物を表現している、ということで、野本先生がその解説をしてくれる。(いつもながら、野本先生の説明は分かりやすいです。)種々の魔物から魔物の王が登場、という展開は正にドラマティックですね。トランペットを使っているというのも実に上手いところです。

更に、1940年のディズニー製作のアニメ映画「ファンタジア」がこの曲の世界を表現していることに触れていたが、この映画「ファンタジア」は世界初のステレオ音声方式の作品ということでも知られている作品です。また、1940年にカラー・アニメとして製作されているが、その動きも素晴らしい作品です。また、「はげ山の一夜」だけでなく、これまでに「名曲探偵アマデウス」で取り上げられた曲(「くるみ割り人形」「春の祭典」)も使われている。(まだ取り上げられていない曲もあります。→いずれ取り上げられることを期待しています。)

で、キャラクターを際立たせることが重要と依頼人は言うと、「最初にドラキュラが登場」と言って、ドラキュラになる。そして「そこに幽霊が襲いかかる」と言ってカノンさんに「はい、あんた」と言うと、カノンさんが三角頭巾を頭に付けた白絹の幽霊の姿になる。で、2人で所長を怖がらせる。依頼人は「夜空には満月が」で、所長が狼男になった。が、何か気まずい雰囲気が漂い、灯りが点くとカノンさんが「これじゃだめですよ」とまたもダメ出しをする。三角頭巾を外し、白絹を脱ぐと「お化けの地域も時代もみんなバラバラじゃないですか」と厳しいことを言っていた。

依頼人は「どうしたら良いんですか」と尋ね、所長が「物語を作ってみてはどうですか」と提案し、そのヒントになる部分の説明へ。で、民謡のように狭い音域の中で同じようなメロディが繰り返されることから素朴な感じが伝わる、という説明がある。更にロシア民謡の「カリンカ」と「一週間」が取り上げられるが、有名な曲も素朴な作りだったんですね。

で、ロシア語五人組の説明からロシアを大事にしていたムソルグスキーが語られる。で、ロシアのお化けをと言い出す依頼人に「ロシアのお化けって、例えば?」とカノンさんが問うが、「どんなんでしたっけ?」と分からなかった。→確かに、ロシアのお化けと言われると思いつきません。(北欧、東欧、ギリシャ(神話)などでは思いつくのですがね...)そこに所長がゴーゴリの名前を出し、ゴーゴリの「イワン・クパーラの前夜」の解説へ。夏至の前夜の祭であり、古くから伝承されているものということで知られているが、こういうものが出てくるというのは、如何にもというファンタジックなところですね。

で、所長は「地元に伝わる昔話」と口にした。依頼人は(みちのくにお馴染みの)座敷童子の話をする。(カノンさんの悲鳴に続いて、所長の恐怖に満ちた顔がまたも面白い所でした。)で、その恐怖がおばあさんが計画したものだと言う。が、おばあさんは20年前に民話を元にしたお化け屋敷を試みだが、流行らず、一週間で止めてしまったという過去があった。が所長は「たった一度の失敗で諦めて良いのですか。何故、もう一度挑戦してみようと思わないのですか?」とまたまた人生相談の様になっていく。そして、この曲も最初は認められなかったことが語られる。

この曲は、ムソルグスキーは何度か世に出そうとするが、結局生前には陽の目を見なかった。彼の死後、ロシア五人組の一人でムソルグスキーの友人のニコライ・リムスキー・コルサコフがオー軽トラ曲として完成させたことが説明される。(この話も有名ですよね。が、最近はムソルグスキーの減極の知名度も上がってきていますね。)  で、ムソルグスキーとコルサコフの関係から完成されたものということ、おばあさんにとってのコルサコフは依頼人になるということで、依頼人は何をしたらいいのかが分かった。で、やる気が出てきた依頼人は、所長と握手をし、カノンさんに頭を下げて帰って行く。ドアの前でもう一度所長とカノンさんに頭を下げ、違う方向を向いて「バイバイ」と言って小さく手を振ると出ていった。カノンさんは依頼人が最後に手を振った方向を見てから所長を見るが、それが何だったのかは分からなかった。

今回は、ドラマ部分は35分強、曲が8分弱、ラストのオチの所が1分強という構成で、最近のものとしたらドラマ部分がやや短め(初期と比べると標準的)という構成でした。尚、曲の部分は冒頭から始まって、たっぷりと聴かせてくれるが、この時間では全曲は無理であって、劇中で解説のあった部分を中心にしたダイジェストとなっていました。

ラストのオチは、依頼人から手紙が届いたということでカノンさんがやってきて、手紙を読み始める。新しいお化け屋敷「みちのくニュー・ホラー・ハウス リビングルーム・チルドレン」カセ完成し、評判も上々だ、と報告していた。で「探偵さん、響さん、そして赤いちゃんちゃんこを着た小さい子もどうもありがとう。」と手紙を読んだカノンさん。が、「えっ?赤いちゃんちゃんこを着た小さい子供?」と、訳が分からなくなる。所長も「何のことを言っているのかな?」と訳が分からない。するとまたも照明が不安定になって暗くなる。で、キョロキョロするカノンさんは赤いちゃんちゃんこを着た子供の姿を目にして「座敷童子!」と叫んでいた。

ホラー仕立てという展開だけでなく、カノンさんや所長のコスプレがあったというサービスもあって、楽しめた物語でした。特に、怪談話は夏の風物詩でもあるだけに、季節的にも良かったですね。ただ、「座敷童子」に関しては、福の神のように扱われている地域もあるだけに、それを見て怖がっているようだと、出て行ってしまうような気がします。で、座敷童子が出てしまった家は衰退するとされていることを考えると、何とかして座敷童子にはいて貰わないと、完全に事務所が潰れてしまうことになるのでは...???

また、今回の曲「はげ山の一夜」は様々なドラマや映画の音楽に使われているが、この曲の主題をはじめ、特定の部分を元にして、それをアレンジ(編曲)した曲も多数存在していて、やはり数多くの映画やドラマで使用されている。(例えば「スターウォーズ」でも編曲したものが使われている。)それだけに、この曲のメロディは誰でも知っているものであるが、「はげ山の一夜」と言う曲のタイトルは意外と忘れられていたりするのが面白い所でもある。が、誰でも知って異曲って、意外とそういうものなんですよね...

来週は「スターウォーズ」関係の特番のためにお休みで、今月の3本目となるファイルNo.071は7/26ということになります。取り上げられるのはシベリウス「交響曲第2番」です。そのあとは、今年も夏休みということで、8月は全てお休みとなって、ファイルNo.072は9/6まで飛ぶことになります。(去年は6週空いたのに、今年は5週空くという形です。)ということで、このペースだと、9月も3本で、半年で15本というペースが続くようですね。

尚、大相撲中継が生は無くて録画したものをダイジェストとして放送することになった関係上、BS-2の放送が、日曜日の夕方が休止となって、こと-2の再放送枠である木曜日の夕方の放送がBS-2では初放送になっているので、BS-2で見ているという方はご注意を。

 

はげ山の一夜/ロシア名曲集

はげ山の一夜/ロシア名曲集

  • アーティスト: ムソルグスキー,ボロディン,チェイコフスキー,シノーポリ(ジュゼッペ),ヤルヴィ(ネーメ),プレトニェフ(ミハイル),ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団,エーテボリ交響楽団,ロシア・ナショナル管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/11/08
  • メディア: CD

ムソルグスキー:展覧会の絵&はげ山の一夜

ムソルグスキー:展覧会の絵&はげ山の一夜

  • アーティスト: レイボビッツ(ルネ),ムソルグスキー,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2002/04/24
  • メディア: CD
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)/交響詩「はげ山の一夜」/他

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)/交響詩「はげ山の一夜」/他

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2003/05/01
  • メディア: CD
ムソルグスキー:展覧会の絵、はげ山の一夜 ボロディン:中央アジアの草原にて(CCCD)

ムソルグスキー:展覧会の絵、はげ山の一夜 ボロディン:中央アジアの草原にて(CCCD)

  • アーティスト: ムソルグスキー,ボロディン,クチャル(テオドレ),ナザレス(ダニエル),ウクライナ国立交響楽団,スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
  • 発売日: 2003/12/03
  • メディア: CD

↓これも拾っておきます。

ファンタジア [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • メディア: DVD

ファンタジア 【日本語吹き替え版】 [DVD] ANC-003

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  • 出版社/メーカー: コスモコーディネイト
  • メディア: DVD

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