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名曲探偵アマデウス#72 ハイドン「弦楽四重奏『ひばり』」 [ドラマ]

6週ぶり(1ヶ月半ぶり)となった新作の登場だが、本当に「夏休み」と言う感じでしたね。で、久しぶりの新作となった今回は、ハイドン「弦楽四重奏『ひばり』」の登場でした。

いきなり、埃が溜まっている事務所ということで、夏休みということで完全に休業していたと感じさせるような展開だったのは面白い所でしたね。(が、本作は1話完結であるのが基本であり、季節感も殆ど無いだけに、再放送などで見ていたら、ちょっと信じられないような埃の量ということで、変な感じになったかも...)

冒頭、髪の手入れをしているカノンさん。所長が戻ってくると、埃が溜まっているのを確認するが、カノンさんはそんなことは気にすることなく、お洒落に気を取られている。で「たまには掃除などしてみたら」と所長。これに「この前、やったばかりなんですけどね...」とカノンさん。所長は「つべこべ言わずにやりなさい」と行って雑巾を投げる。で、それを受け取ったカノンさんは仕方なく雑巾がけを始めようとして、バケツに雑巾を入れ、絞ろうとしていた。そんなカノンさんの背後にある男が現れて「お嬢さん、その絞り方、違います」と指摘する。それをみたカノンさんは「なんだぁ、ビルの掃除の方ですね」と解釈して、「来たついでにやって下さい」と行って雑巾を渡した。で、掃除を始める男。カノンさんはその手際に喝采を挙げていた。

が、「やっぱり出来ない、こんなこと」と男は言うと、所長が声を掛けた。で、「このままでは結婚できない」と言う男に「お話を伺いましょう」と所長。

この男は日比野かじお。オーストリア出身のやり手の弁護士(クリスティーナ)と結婚することになっていて、結婚契約書の内容で専業主夫となるとあり、そうしようとして会社を辞めた。が、主夫をやり始めたら、大変でつまらなく、毎日こんなことは出来ないと感じた。すると彼女から「ひばりを聴きながら家事をすれば楽しくなる」と言われた。で、美空ひばりの歌をウタリ始めたが、今度は家事どころでは無くなってしまった、ということだった。これにカノンさんは「うち、クラシック専門なんですけど」と言うが、日比野は「美空ひばりの名曲ですよ」と言うが、「帰ります」と言う。すると所長が「待って下さい」と引き止め、フィアンセはオーストリア出身と言うことで、彼女の言った「ひばり」はハイドンの『ひばり』のことではないか、と言い、依頼を受けたと言うよりも以来にしてしまったという形でスイッチが入った。

いつものように「聴いてみましょう」ということで第1楽章から。カノンさんの感想はいつもの如くであるが、綺麗なメロディということで、まずは「ひばり」のモチーフについての説明へ。「鳥の雲雀」のようにということで、カノンさんは「楽しく家事をしなさいってことですよ」と言うと、放棄を持って歌いながら掃き掃除をしようとするが、歌を歌っているだけで掃除にはなっていない。で依頼人から「掃除になっていない」と突っ込まれていた。

依頼人は「同じことの繰り返し」と言うと、所長がそこから、5つのモチーフが繰り返し用いられていることを語り、5つのモチーフの説明から「探し物ゲーム」のような音楽ということが説明される。で、それを受けてカノンさんは「組合せに問題が」と言う。依頼人は毎日の家事がどういうものかを語ると、「暗い」と半泣きになるカノンさん。で「明るく楽しくやってみれば」と言うと、ラップでノリノリになって、楽しくやる組合せを歌う。→本当に楽しむところは楽しむカノンさんです。

が、依頼人は、家事は自分だけがやることと言って落ち込むだけだった。底に笑顔の所長が「第2楽章を聴いてみましょう」と言って「第2楽章」へ。ここでは、第1バイオリンの唐突な「音の急下降」について、そして「装飾変奏」についてが語られる。→特に「装飾変奏」の説明はいつもながら分かりやすいですね。

4つの楽器が協力し合っているということからカノンさんは「家族みんなが協力して家事をやってくれることです」と言ってその実例を語る。まずは手の届かない高い所は踏み台をしっかりと支えているカノンさん。依頼人が踏み台に乗って手を伸ばしていた。更に「手の届かないこんな場所は」と言って、依頼人の足を持って窓から吊し、手の届かない窓ふきをする依頼人。「困ったときは」みんなが協力してくれるんですよ」と言うカノンさんだったが、「それ、本当ですか?」と依頼人は返していた。→どう考えても、手が滑って転落してしまいそうな依頼人でした。

所長は、家族の協力は大事だが、依頼人には足りないものがある、と言って「第3楽章」へ。ここでは楽しさを感じさせる仕掛けとして「メヌエット」が取り入れられていて、仕掛けがあるということの説明がされる。「アレグレット」と「前打音」の説明がされる。これを受けてカノンさんは「長い専業主夫生活には気分転換が必要だ」と言う。で「例えば?」と言われると「私だったら箒に乗ってハリー・ポッターごっこをしてみる」と言っていたが、依頼人は「箒でドジョウすくい」と返していて、どうも噛み合わない。しかし楽しくなってきたと言うことは共通していて、「そんな感じで前向きに」とカノンさん。

そんな所に依頼人の携帯が鳴った。クリスティーヌからだったが、依頼人はまたも不安になり、何で彼女が自分みたいな男と結婚しようと思ったのかが分からないと言うことを口にした。で、ここからはハイドンについての説明へ。ここでは二回りも年が違うモーツァルトが出てきて、ハイドン(=年上)とモーツァルト(=年下)との関係についてが説明される。あの天才・モーツァルトが弦楽四重奏はハイドンから学んだ、ということが新鮮な所でした。

で、彼女と依頼人との出会いが語られ、依頼人の誰にも負けない才能の話とハイドン&モーツァルトの関係とがオーバーラップしました。

所長は「家事は何のためにするのか?」と問い、「その答えは第4楽章にある」ということで「第4楽章」へ。ここでは「フーガ」についての説明がされ、各楽器が均等に役割を分担していく、というハイドンの用いた革命が語られる。(ハイドンが「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれる理由というのも分かりますね。)更に、最後にある仕掛けについても語られた。

で、「音楽も家事も、もしかしたら目的は同じかも知れない」と所長。依頼人は先ほどの命題の答えが見つかったはずと言うと「家族を楽しませるために」と答えた。で所長が説明し、依頼人は「やらなければイケナイと言う義務感に捕らわれて、それに押し潰されそうとしていた」と言うことに気づき、楽しく家事をして幸せな家庭を築いていくと誓った。

するとカノンさんは「まずは手始めに、この事務所の掃除からするって言うのはどうですか」と言ってバケツと雑巾を手にして示す。依頼人は「やりますよ」と言って、バケツと雑巾を受け取っていた。(→何だかんだと言って、しっかりしているカノンさんでした。)

今回は、ドラマ部分は37分強、曲が6分弱、ラストのオチの所が30秒という構成であって、ドラマ部分が長く、ラストのオチが短いというのは前回(ファイルNo.071)と同じでした。また、曲がこの時間では、全部というのは無理であって、第1楽章の途中まで誌第4楽章のダイジェストという形になっていました。

ラストのオチは、所長が、依頼人とフィアンセの出会いの状況を一人で再現していた。そんな所に外から戻ってきたカノンさんが所長を見て「はっ?」と漏らしただけで相手にしなかった。鞄をデスクに置くと、バケツの雑巾を手にし、雑巾を絞ると拭き掃除を始めた。その間、所長は一人は芝居を続けていた。が、カノンさんも所長が口にしていたのと同様に「アチョ!」と声を出したのだった。

カノンさんの豊かな表情と、普通ではない発想というのはいつもの通りであるが、何をするにも楽しんでいるというカノンさんが今回の依頼の回答だったように思う所です。カノンさんの笑顔はいつもながら明るい気持ちにしてくれますからね。が、そんな楽しいカノンさんでも、所長の(ラストのオチでの)暴走ぶりには相手にしないが、何だかんだで息が合っていて、所長が奇声を上げているのにつられてしまうというのは面白い所でした。→コンビとしても2年半になるだけに、すっかり名コンビになってますね。

本作では、作曲家の人物関係が依頼人に上手いこと重なり合っているが、今回のハイドンとモーツァルトとの関係と、やり手の女性弁護士と脱サラ・専業主夫の関係というのは、ちょっと違うんじゃないかという気がしたのですがね...→今回は、依頼人は逆玉狙いのダメ男・今一つ冴えない男(良い所があるのは言うまでも無いですが...)というような雰囲気があったが、ハイドンも高い評価をされていて「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれている立派な音楽家である。今回の依頼人のイメージに重ねると、ハイドンを二流扱いをしているように感じてしまうのですが...

ということで、夏休み明けで、今一つ冴がなかったと感じた物語でもありました。

来週(9/13)は、ファイルNo.073のウェーバー「魔弾の射手 序曲」(オペラの内容についても語られるでしょうが、楽しみです。)、再来週(9/20)はファイルNo.074のワーグナー「トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死」と続きます。で、3年目の上期(の新作)はそこまでということとなります。(9/27は何かの再放送の予定となっています。)で、またまた半年に15本というペースが継続しました。(2年目の上期が14本だったが、あとは半年に15本ずつということが続いている。)

 

ハイドン:弦楽四重奏曲第39番「鳥」&第67番「ひばり」:

ハイドン:弦楽四重奏曲第39番「鳥」&第67番「ひばり」:

  • アーティスト: スメタナ四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: CD

 

ハイドン:弦楽四重奏曲「ひばり」、「鳥」 モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番「不協和音」

  • アーティスト: スメタナ弦楽四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1996/08/21
  • メディア: CD
ハイドン:弦楽四重奏曲第17番&第67番&76番&第77番

ハイドン:弦楽四重奏曲第17番&第67番&76番&第77番

  • アーティスト: イタリア弦楽四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD
ハイドン:弦楽四重奏曲集

ハイドン:弦楽四重奏曲集

  • アーティスト: ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/03/21
  • メディア: CD
ハイドン:弦楽四重奏曲集(2)

ハイドン:弦楽四重奏曲集(2)

  • アーティスト: ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: MCAビクター
  • 発売日: 1996/09/21
  • メディア: CD
ハイドン:弦楽四重奏曲第67番

ハイドン:弦楽四重奏曲第67番

  • アーティスト: アマデウス弦楽四重奏団,ハイドン,モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2004/12/08
  • メディア: CD
ハイドン:弦楽四重奏曲67番

ハイドン:弦楽四重奏曲67番

  • アーティスト: スメタナ四重奏団,ハイドン
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1998/10/21
  • メディア: CD
↓来週以降の予習
ウェーバー:魔弾の射手 全曲

ウェーバー:魔弾の射手 全曲

  • アーティスト: ウェーバー,クライバー(カルロス),ドレスデン国立管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1998/05/13
  • メディア: CD
ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲

ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲

  • アーティスト: ワーグナー,クライバー(カルロス),ドレスデン国立管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: CD

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