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名曲探偵アマデウス#79 モーツァルト「ピアノ・ソナタ イ長調 トルコ行進曲付き」 [ドラマ]

今回は所長の「ばあや」が登場ということで、所長の過去がまた少し明らかになるというように、面白い物語でした。しかも曲の方が余りにも有名でお馴染みの曲(モーツァルト「ピアノ・ソナタ イ長調 トルコ行進曲付き」)であるということで、いつも以上に楽しめた内容でした。(いつも以上に「洒落」が幅を利かせていましたね。)

ただ、何となく予感があったのだが、所長の「母上」と「ばあや」による狂言だったというオチは、どことなく「ケータイ刑事THE MOVIE」(=「M1」)を意識しているのかな?なんて感じました。

演出的には、説明をしてくれる人の姿を、画面を数分割してそこに静止画(写真)を使うという演出があったが、時にはいつもと違った演出というのは面白いですね。→今回は所長の身内が依頼人ということで、いつもと違った物語だということに合わせたのでしょうね。

冒頭、所長がデスクでコーヒーをカップに注いでいて、カノンさんがそれを眺めている。で「それが本場のウインナーコーヒーなんですね」と言うカノンさん。所長は「一杯ずつ豆を挽いて入れるのが本格派」と言ってカノンさんにもやるように言うが「インスタントではダメなんですか?」と面倒臭そうな表情をするカノンさん。所長はウインナーコーヒーを飲んで、鼻の頭に少しだけクリームを付けて「相変わらずいい味だ」と自画自賛していた。そんな所に「相変わらずですね、坊ちゃま」と言う声がした。事務所の入口には、ウィーンからやってきた天出家の教育係であるばあや・室家良子(しつけ・よいこ)がいた。で、ウィーンの天出家ではあるレコード(とある王家から賜ったゴールドディスクであって、天出家の家宝)が盗まれたと言うことで、犯人捜しを坊ちゃま(=所長)にしてもらいたいということであった。所長の母・みね(世界的なピアニスト)は内部の者の犯行で、レコードの曲に拘りのある人物に違いないということだった。で、その曲はモーツァルトの「トルコ行進曲」だった。

まずはカノンさんがばあやに、どんなことを教えていたのかを尋ねる。で、マナーと語学(ドイツ語、フランス語、ラテン語、イタリア語、スワヒリ語)を教えていたと言う。(「スワヒリ語」と言うところが浮いているのですが...)また、所長は天出家が授かった100年に一度の天才であって、産声がドレミの音階になっていたということも語られた。→やはりただ者ではない所長ですね。

まずは第1楽章から。カノンさんも「聴いたことがある」と言っていたが、この部分も良く耳にしますね。で、この部分は変奏曲ということで、その説明がされる。しかも5つの音だけで構成し、隣同士というなめらかな旋律で覚えやすい曲調であることが語られ。そこから第1、2、3変奏について語られる。そして主題の骨格となる音と、第3、4変奏について比較して説明していた。

で、所長は、「この曲を人に例えると、会う度に異なる楽しさを感じさせてくれる人」と語ると、ばあやは所長がそうであって、4歳の時のエピソードを語った。所長は、「この曲がクラシックの楽しさを教えてくれた曲」と語った。で、カノンさんは「この曲に拘りを持っているのは所長?」と口にした。この時のばあやの笑みが何とも言えなかったですね。

所長はカノンさんに「ピアノソナタの定義を言ってみてくれ」と話題を変える。カノンさんは「ピアノソナタ。その他。ピアノあなた」と呆けていたら、ばあやが「第1楽章が速いアレグロから始まるソナタ形式を持った曲」と言う。するとカノンさんは「でもこの曲、最初はゆっくりだった」と口にする。(ボケても曲の方はしっかりと聴いているのがカノンさんですね。)で、所長は「この曲は極めて珍しいピアノソナタ」と語った。

で、この曲が作られた背景として、当時のモーツァルトの境遇が説明された。(ウィーンに拠点を移した、変わったことをやりたいということ、曲の意外性が受け入れられた。)更に、モーツァルトが使っていたピアノである「ヴァルターのピアノ」について語られる。→如何にもアナログというところがでていて、面白い所ですね。(ある意味ではピアノの古楽器と言っても良いですし...)

で、カノンさんは「自由になったモーツァルトの新しい挑戦の曲でもあった」と言って、犯人はモーツァルトみたいにお尻を蹴られて天出家をクビになった人、と言うが「そんな人はいません」とばあや。が、手を叩いて「1人だけいました」と言った。「誰ですか?」とカノンさんが問うと「坊ちゃまです」とばあや。で、高校生になった頃、クラシックの伝統を重んじる父とよく対立していて、ある晩、尾尻を蹴られて追い出されたのだった。所長は、当時流行っていたプログレに傾倒していた、と言った。で、友達とバンドを組んでロンドン辺りのライヴハウスを回っていたそうです。→プログレとクラシックには結構色んな共通点があるんですね。筆者もプログレは好きな方ですし、所長の気持ちも分かります。

そんな中、カノンさんは「さっきから思い出話ばかりですね。ちゃんと犯人像を探り当てなきゃ」と、脱線していることに気づいていて、道を習性させようとしているか、こういう所はやっぱり息のあった助手でもありますね。

所長は「最も有名な第3楽章を聴いてみましょう」と言って、曲の続きへ。「トルコ行進曲」ということで、この曲が作られた当時はウィーンではオスマントルコ戦勝利100年ということで、トルコの音楽が大流行していたということで、その背景が説明される。→戦時中ならば敵の音楽として切り捨てられるが、戦勝100年という記念の都市となると逆になって流行するというのも、歴史的には面白い所ですね。

この曲はモーツァルトにしては珍しいことを殺っていて、右手はオクターブの連続、左手は分散和音を用いてトルコ風にということで、「短前打音」での弾き方が支持されていて、それでの演奏で説明される。→聴き慣れた者と違うと新鮮な感じがしますね。

カノンさんは「モーツァルトは異国への憧れを表現しようとした」ということから犯人像を考えようとするが、ばあやが「それも坊ちゃまのことみたいね」と言った。で、所長はロックを卒業したら世界中の音楽を聴いてくると言って、民族音楽を尋ねる旅に出たのだった。(その後所長は、クラシックの世界に戻って来た、ということだった。)で所長の話になるが、カノンさんは「流れが変ですよ。犯人像を割り出すためにこの曲を聴いているのに...」と道を修正させようとする。所長は「もしかして母上は私を疑っているんですか?」するとカノンさんは「絶対に違いますから」と言うが、「第一、ウィーンに行くお金もないですし...」という自虐的なフォローが楽しいですね。これにばあやは「誰も坊ちゃまが犯人だなんて申しておりません。ただ奥様は、坊ちゃまにこの曲を聴いてもらいなさい」と言った。所長は、このピアノ曲から様々な楽器の音色が聞こえてきた日のことを思い出したということで、今度はその「オーケストレーション」についての説明へ。

ここでは、管楽器、打楽器、弦楽器がイメージされると言うことで、該当する部分をピアノとピッコロ、トルコシンバル、小太鼓、バイオリン、フルートでの演奏との比較がされる。(→なるほど、と感じられますね。)しかも、これが誰でも分かるようになっていて、これがプロ中のプロの手法だと説明される。→「難しくしてしまうのがプロ」というのではないということですね。

所長はも「やはりモーツァルトは天才だ」と口にする。更に、「このような高みに登りたい」と口にすると「それでこそ坊ちゃま」とばあや。そして「クラシックの世界に戻って音楽を極めるべきなんです」と語った。すると「そういうことだったのか」と所長は気づいた。で、「全て読めましたよ」と口にした。カノンさんは「えっ?何なんですか一体?坊ちゃま?」と言って尋ねた。

で、とょ調は、今回の盗難事件は母上とばあやの狂言芝居、と結論づけた。ばあやは惚けるが、所長は昔のことを思い出させると、ウィーンに帰ってくるはずだと考えた、と言って「そうですね、ばあや」と問い糾した。すると「流石坊ちゃま、よく見破りましたね」とばあやは口にした。更に、父が亡くなって20年以上が経っているが、もう一度指揮者としてクラシックを極めて欲しい、と言う。しかし「私には戻れない理由があるんですよ」と所長は言う。そして、名曲探偵は指揮者にも勝る大切な仕事だと思う、と自信を持って言った。するとカノンさんが「そうですよ。所長はこれまでいっぱい色んな人を救ってきたし、これからもいっぱいいっぱい色んな人にクラシックの大切さを教えるんですから」と続けた。で、ばあやは「残念ですね。でも安心しました」と言って、「坊ちゃまは世界一の名曲探偵だとご報告しておきます」と言うと、帰って行った。

今回は、ドラマ部分は約35分弱、曲が8分強、ラストのオチの所が1分弱という構成で、前回とほぼ同じような時間配分でした。(まあ、標準的な時間配分ということです。)尚、この時間では全曲というのは無理であって、やはりダイジェスト的なものになっていたが、解説の無かった部分の演奏もありました。(流れたのは第1楽章からは第1主題と、第1、2、3、5、6変奏と、第3楽章でした。)

ラストのオチは、ウィーンの(所長の)母から小包が届いた。カノンさんは「妙に重たい」と良い、大きさ、重さから考えて「もしかして…」、所長も「もしかして…」、そして2人がハモって「ゴールドディスク」。所長は、客が来なくても最低5年は食っていける、と言い「母上も気が利くなぁ」と言って蓋を開けた。が、中に入っていたのは「ウインナーソーセージ」ということで落胆する所長。が、「母上が皮肉屋だったことを忘れていたよ」と投げやりに言う。しかしカノンさんは「これだけあれば最低一週間は食べていけますよ」と言う。で、ソーセージを手にする。すると目の色が変わ李、玩具をいじっているようになって「全部繋がってますけど...」と言って、クビに巻き「面白~い」と言って気に入ったようだった。が、所長は呆れてしまって、目をつぶってしまった。カノンさんは「茹でます?焼きます?」と訪ねていたが、所長の返事はなかった。

所長の過去として、プログレ、そして民族音楽にハマっていた時期があったというのは面白いですね。その中でもプログレというと、クラシック音楽との融合を目指したロックということで、クラシック音楽と同じ楽しみ方が出来る所もある。そのため、クラシック音楽愛好家の中には、ロックはダメだがプログレはOKという人もいるぐらいですからね。しかも、プログレが流行したのが1970年代であるだけに、その当時が高校生だったということで、所長は1960年前後の生まれと考えていいですね。また、これだと世界的な民族音楽のブームとなった'80's後半は20代後半ということになって、ちょっと間がありすぎることになるが、'80'sの声と共にほぼ絶滅したプログレ変わって台頭してきたレゲエを中心としたワールドミュージックの走りの時期に民族音楽を求めた旅に出たと考えると、大学生ごろの年令になるということで、やはり1960年前後の生まれという計算が合う。(これからすると、所長は50際になるかならいかという年令になりますね。)

所長の過去が色々と出てきたが、指揮者を止めた理由に付いては以前から秘密のママになっているが、この部分も明らかにして欲しいですね。それにしても、プログレに傾倒していたとしいうことで、PINK FLOYDをはじめ、EL & P、イエス、キングクリムゾンなども取り上げてくれないですかね... いや、それは無理か...が、EL & Pが取り上げたことでも知られている「展覧会の絵」はファイルNo.016で取り上げられているので、プログレ・バンドが取り上げたことのあるクラシック曲を取り上げて欲しいですね。

ここのところ、所長の過去が少しずつであるが色々と登場してくるが、カノンさんの秘密についてもまた登場して貰いたいですね。

それにしても、ディープ内藤の時に「臼夫ちゃん」と呼ばれていつもと違う表情を見せていた所長が「坊ちゃま」と呼ばれるのもまた面白い所でした。カノンさんももっと「坊ちゃま」って言いたかったように感じられただけに、ばあやの再登場、更には母上の登場ということも期待したいところです。

来週(11/29)はファイルNo.080のチャイコフスキー「バレエ『白鳥の湖』」の登場です。この曲は余りにも有名な曲であり、ようやく登場といった感じですね。その後、12/6はファイルNo.081のヘンデル「メサイア」と続きます。(年内の新作はここまでのようです。)

 

トルコ行進曲 : ブーニン~モーツァルト・ピアノ名曲集

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モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付」

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ第5番、第11番《トルコ行進曲付き》、幻想曲

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モーツァルト : ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲付」

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