「THE SERPENT'S KISS」 [映画(洋画)]
表題の作品は1997年のイギリス、フランス、ドイツの合作映画「悪魔のくちづけ」である。尚、同じ邦題の作品として1967年の作品があるが、そちらの原題は「GAMES」というものであって、サイコ・サスペンスであって、本作とは全く関係ない作品である。(本作はそのリメイクというものではなく、たまたま邦題が同じになっただけである。)本作は愛憎ドラマである。
作品データを記しておくと、時間は112分、監督はフィリップ・ルースロ、脚本はティム・ローズ・プライス、撮影はジャン・フランソワ・ロバン、音楽はゴラン・ブレゴヴィッチである。そして出演は、ユアン・マクレガー、ピート・ポスルスウェイト、グレタ・スカッキ、カーメン・チャップリン、リチャード・E・グラント、ドナル・マッキャン、チャーリー・ブアマン、ジェラルド・マクソーリー、たちである。
17世紀末のイギリス。裕福な領主・スミザーは、美しい妻・ジュリアナに自らの富と権力を誇示して歓心を引こうとして、壮麗なオランダ式庭園の建設を計画した。で、メナーという若くてハンサムな庭園デザイナーを招聘して庭園造りがスタートした。しかし、ジュリアナは孤独な田舎暮らしに退屈していて、メナーに関心を寄せた。一方、メナーは夫妻の娘・テアに惹かれる。しかしテアは不吉なことを予知する能力を持っていて、疎まれる存在となっていた。造園作業が続くある日、ジュリアナの従兄で野心家のフィッツモリスが屋敷を訪ねてきて、造園計画に関与するようになる。そして彼は、メナーが実は本物の庭園デザイナーではないという秘密を知り、メナーを利用して、ある策略を考えていた。それは、造園を失敗させてかつては恋仲だったジュリアナを取り戻し、スミザー家を破産させようというものだった。が、彼の思惑通りには行かず、ジュリアナ、そしてテアは、メナーに恋心を抱くようになり、スミザーの不安は増大していく。フィッツモリスはスミザーを陥れると言うことでは成功しているため、計画は実現するものと思うようになる。そして最後の仕上げとしてスミザーを殺してしまうことを考えた。で、嗅ぎタバコに毒を仕込んだ。しかし、ちょっとした手違いから、その嗅ぎタバコを口にすることになったのはフィッツモリスであり、フィッツモリスは自分が仕込んだ毒で死んでしまった。それからまもなく、造園作業は完成し、見事な庭園が完成した。しかしスミザーは自分の虚栄心に気づき、態度を改めた。ジュリアナはそんな夫に対して再び愛情を取り戻した。また、メナーは全ての思いをテアに打ち明け、一緒に屋敷を後にした。
17世紀という時代を舞台にしていることで、原題には味わうことの出来ない壮大な華やかさを感じることが出来る。また、人間関係が一筋縄に行かない所は面白いところである。しかし、本作の謳い文句として「愛憎ミステリー」という言葉があるが、これには疑問がある。(「ミステリー」というのが嘘だ、ということである。)確かに、ドロドロとした人間関係から愛憎劇はあるのだが、ミステリーというものは強くなく、人間ドラマと言うべきである。
宣伝文句に偽りがあるということで、少なくとも邦題は変えるべきと思う('90's作品としては珍しく、原題をそのままカタカナにしていないが、「サーペンツ・キス」というタイトルで良いんじゃないの。)が、それ以外は、物語としては安心して見ていられる展開である。
尚、邦題に欺されないようにしましょう。(ホラーでもサスペンスでもありませんので...)
コメント 0