「SONATINE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1984年のカナダ映画「ソナチネ」である。(同名の日本映画が1993年に製作されているが、全く関係ない別作品である。)本作は、2人の少女が自殺するまでの経緯を3話構成(第1楽章から第3楽章としている。)で描いた人間ドラマである。また、カナダ映画であるが、ケベック州で製作されたため、英語ではなくてフランス語での作品である。
作品データを記しておくと、時間は91分、監督と脚本はミシュリーヌ・ランクト、撮影はギイ・デュフォー、音楽はフランソワ・ランクトである。そして出演は、パスカル・ビュシエール、マルシア・ピトロ、ピエール・フォト、ポーリーヌ・ラポワント、クリメント・デンチェヴ、ピエール・ジャール、テレーズ・モランジュ。たちである。
「第1楽章」:寒い冬のモントリオール。シャンタルは、毎週金曜日の夜、背骨の治療を受けるとバスで帰宅することになっている。毎週のこともあって、彼女はバスの運転手と親しくなる。そして無邪気な姿を見せることもあったシャンタルだった。そんな中、交通ストの是非を巡り、バスの運転手たちは話し合いの場を持つが、彼はその会合に加わろうとはしなかった。そして金曜日の夜、治療を終えたシャンタルがいつものようにバスに乗ろうとするが、その日の運転手はいつもの運転手ではなく、新顔の運転手だった。で、呆然となったシャンタルだった。
「第2楽章」:ルイゼットは、今でなければ出来ないことを使用として家を飛び出して、モントリオール港に停泊中のブルガリア漁船に忍び込んだ。が、見張り役の船員に見つかってしまう。しかし、その船員はフランス語が理解できず、ルイゼットと船員は英語、ブルガリア語、そしてゼスチャーを交えて意思疎通を行う。やがて、ルイゼットの考えが通じたが、その無謀な計画にあきれ果てる船員だったが、優しく接してくれた。2人は心が通い合うが、結局ルイゼットは下船するしかなかった。
「第3楽章」:地下鉄のフォームのベンチに座っているシャンタルとルイゼット。ルイゼットの父は地下鉄の車掌をしていて、その父の乗った電車がやってきた。ルイゼットは手を振るが、父は何の反応も示さない。家でも両親と口論となるだけに、親子の会話は無い状態であった。そんな中、ルイゼットとシャンタルは医務室に忍び込み、睡眠薬を盗み出した。そして「私たち、誰も止めなければ死んでしまいます」と書いたプラカードを持って地下鉄に乗り込んだ。しかし他の乗客たちは誰もそのプラカードを見ようとしない。また、例え見たちしても何の反応も示さない。ということで2人は睡眠薬を飲んだ。電車は終点に到着したということで、車掌が車内を見て回る。が、その途中で「スト突入」のアナウンスが流れたため、車掌はそれ以上見回りをすることなく、運転手たちと肩を抱きあって去ってしまう。で、車内には意識を失った2人の少女だけが残されていた...
最初の2つの物語は、何処にでもありそうな青春物語の一コマであるが、第3楽章が急激に重くなる。まあ、この第3楽章の前段として前の2つの物語があり、その構成がクラシック音楽的な展開となって最後の物語に繋がっている。そのため、もの凄くドラマティックに感じられることになる。現代社会を上手く捉えているのだが、表現手法はストレートではなく変化球としている所も面白いところである。
ということで、じっくりと見てみるべき作品の一つであるのだが、ソフトの方が無いというのが悲しいですね。(同名の邦画の方は色々とあるのですがね...)かつてはLDでリリースされていただけに、何とかリリースすることを考えて貰いたい作品の一つである。
↓一応、こういうものを意識しての作品です。
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