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「THE YOUNG ANIMALS」 [映画(洋画)]

表題の作品は1968年のアメリカ映画「ヤング・アニマル」である。日本での劇場公開は1970年10月であった。アメリカで問題になっている有色人種に対する偏見、それによって生じる感情的な対立、忌まわしい暴力行為、差別に対する不満から展開される学園紛争という止めるアメリカの姿を田舎の高校を舞台にして描いた社会派ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は100分、監督はモーリー・デクスター、脚本はジェームズ・ゴードン・ホワイト、撮影はケン・ピーチ、音楽はレス・バクスターである。そして出演は、トム・ナルディーニ、パティ・マコーマック、デヴィッド・マックリン、ジョアンナ・フランク、ゾーイ・ホール、たちである。

メキシコ国境に近いカリフォルニア州南部のある町。この町の高校に通う白人系の学生とメキシコ系の学生の間は人種差別の感情によって複雑にもつれていて、険悪な状態になっていた。そして喧嘩が日常茶飯事になっていて、今日もメキシコ系学生のパコと恋人のラケルが、白人系の学生で町の大実業家の息子・ブルースとその仲間たちに喧嘩をふっかけられ、パコは殴り倒され、ラケルは犯される。で、パコは復讐を誓う。そんな中、メキシコ系のへトニーが転校してきた。彼は人種間のいざこざを全く知らず、白人女子高生のジャネットをデートに誘った。が、ブルースがこのことを知ると、2人のデートにまとわりつき、さんざん嫌がらせをして、ジャネットから手を引くように脅した。これによって事情を理解したトニーは、メキシコ系の学生たちと共に、白人学生や教師たちの差別を改めるように動き出した。トニーはメキシコ系学生の父親の経営するクラブで集会を開き、平等の権利を要求する陳情書を検討し、メキシコ系学生は揃いの色シャツを着ることにして、その要求が成就するまで統一行動をとることを決めた。が、ブルースたちはこれに黙っていることはせず、トニーたちの集会の場所に現れると、放火して逃げていった。それにも関わらず、翌日、メキシコ系学生たちは揃の色シャツで登校し、校長に陳情書を提出した。しかし校長はそれを拒否した。するとトニーたちはストに入った。そんな中、ジャネットは白人学生たちに、メキシコ系学生たちと協力するように呼びかける。そして、学生の間に協力するような動きが出てこようとした時、ブルースたちはメキシコ系学生たちが集まっている所に殴りこみを掛けた。これにパコは怒り、ブルースの仲間を襲撃するが、逆にやられ、車の事故に見せかけて殺されてしまった。事態は膠着状態となって、全く進展しなくなったある日、トニーとジャネットはブルースたちに追い回されて逃げ回る。追いつめられた時、電話を見つけたジャネットが警察に助けを求めた。それによってブルースたちの非行があからさまになり、トニーたちには白人学生たちからも同情が集まり、一つに纏まっていった。好調もこの動きに逆らうことが出来ず、遂にトニーたちと交渉することを受け入れざるを得なくなった。

アメリカ社会に根強くある人種差別を中心に描いているが、白人とヒスパニック系という比較的新しい部分だけということで、これはこれで良いのだが、今一つ、問題を描き切れていないように感じられる。(人種問題を更に複雑にして3つ、4つ、…というグループの間の対立にしてしまうと、描ききれなくなってしまうと言うこともあるのでしょうが...)こういう問題は都会よりも田舎の方が根強く残っているために、舞台を田舎にしたのは良かったが、もう少し考えて貰いたかったところである。

ただ、学校や警察という権力のある側は、日本でもアメリカでも同じようなものということはよく分かるところであって、アメリカに根強くある問題を知るのに役立つ作品の一つということにはなりますね。

 

↓かつてLDでリリースされていたのに、DVDもビデオもありません。ということで、こういうものを拾っておきます。

アメリカ人種差別の歴史

アメリカ人種差別の歴史

  • 作者: C.V. ウッドワード
  • 出版社/メーカー: 福村出版
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本

傷だらけの黒人―アメリカの人種差別とセックス (1968年)

  • 作者: 横山 一雄
  • 出版社/メーカー: 芸文社
  • 発売日: 1968
  • メディア: -
アメリカの人種隔離の現在(いま) (世界人権問題叢書)

アメリカの人種隔離の現在(いま) (世界人権問題叢書)

  • 作者: ジョナサン コゾル
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 1999/08/17
  • メディア: 単行本

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