TOM WAITS『CLOSING TIME』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1973年に発表された彼のデビュー・アルバムである。セールスの方は全くであって、チャート成績の方もBillboardの部門別チャートにすらランクインすることは無かったが、当時からそれなりに評価され、他のミュージシャンが本アルバムの収録曲をカヴァーしたことで、彼の持っているセンスなどは高く評価されることになったアルバムでもある。
収録曲は以下の全12曲である。『Ol' '55』『I Hope That I Don't Fall In Love With You』『Virginia Avenue』『Old Shoes (& Picture Postcards)』『Midnight Lullaby』『Martha』『Rosie』『Lonely』『Ice Cream Man』『Little Trip To Heaven (On The Wings Of Your Love)』『Grapefruit Moon』『Closing Time』。
お薦め曲としては、翌年にEAGLESがカヴァーしたことで彼自身が注目されることにもなった『Ol' '55』、やはり後にカヴァーされて注目されることになった曲である『I Hope That I Don't Fall In Love With You』『Martha』『Ice Cream Man』『Grapefruit Moon』、更にアルバム・タイトル・ナンバーでもある『Closing Time』をピックアップしておく。
彼自身が歌う曲としては、チャートを賑わすこともなく、セールスもさっぱりだったという本アルバムは、そのまま忘れ去られてしまうのが普通である。しかし、全ては本アルバムの発表された翌年にEAGLESが『Ol' '55』を取り上げたことででそれが大きく変わることになった。現在では名盤の一つとされているが、セールスやチャート成績がアルバムの評価の全てではないという例としても必ず取り上げられるアルバムの一つになっている。(逆に、セールスやチャート成績が良くても「名盤」とされない内容のないアルバムも結構あるが、セールスとチャート成績がさっぱりとものは希少性からコレクターズ・アイテムになってプレミアが付きやすい。)現在ではCD化もされているが、本アルバムのアナログ盤は中古市場では高額で取引されるアルバムの一つとしても有名であった。(CDの方は特にプレミアは付いていない。)
彼のアルバムがセールスやチャート成績の点で良くなったのは、欧州では1983年に発表した「SWORDFISHTROMBONES」、アメリカでは1999年の「MULE VARIATIONS」以降ということになる。しかし、本アルバムはセールスは伸びなかったものの内容的に評価されているということで、隠れた名盤であるというのは誰も疑う余地はない所である。また、彼の長いキャリアに於ける原点となるアルバムでもある。ということで、一度は耳を傾ける価値は十分にあるアルバムである。
尚、本アルバムの収録曲の内、何曲かはカヴァーされた方で有名になっているだけに、違った新鮮さを受ける可能性もありますよ。(オリジナルは彼ということで、再評価することにもなるでしょう。)
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