「合家歡」

表題の作品は1989年の香港映画「ミスター・ココナッツ」である。英語でのタイトルは「MR. COCONUT」であり、日本での劇場公開は1992年1月になってからのことであった。香港版の「クロコダイル・ダンディ」とか「ブッシュマン」と言った雰囲気のある作品であって、それに香港得意の人情ストーリーを絡めたコメディ作品である。

作品データを記しておくと、時間は97分、製作と監督はクリフトン・コー、製作総指揮はマイケル・ホイとレイモンド・ウォン、脚本はマイケル・ホイ、クリフトン・コー、レイモンド・ウォンの3人、撮影はサンダー・リー、音楽はリチャード・ユエンである。そして出演は、マイケル・ホイ、オリヴィア・チェン、レイモンド・ウォン、ジョイ・ウォン、サイモン・ヤム、リッキー・ホイ、マリア・コルデロ、レオン・カーウェイ、ロレッタ・リー、たちである。

中国・海南島でココナッツと魚を捕って暮らしているナムは、香港に住む妹・アーピンに招かれて、香港にやってきた。が、田舎で暮らすナムにとっては、香港のような都会には馴染まない。妹の夫・ウォンや、夫の妹・ジョイ、更に2人の娘たちには煙たがられることになるナム。そんな中、ウォンはナムを働かせようとして、自分が勤める靴屋に連れていった。店の女主人に気があると誤解されたことで、ナムは雇われることになったが、都会の仕事になれず、直ぐにヘマをしてしまい、クビになる。仕事を変えても同様で、直ぐにクビになるということを繰り返すナム。更に、スチュワーデスをやっていて、結婚話が進んでいたジョイの目の前でも失態をしてしまい、ジョイの結婚話は無いものになってしまう。そんな中、ナムはひょんなことからテレビの我満大会に出場することになり、優勝してロンドン旅行を手に入れた。ウォンたちはこれで厄介者を追い出せると思い、ナムを快く見送った。ナムが旅立った直後、ナムが乗ったはずの飛行機が墜落したというニュースが流れた。ナムが死亡すれば多額の保険金が下りるのだ、その金で高級マンションが帰ると喜んだウォンたちは、ナムに感謝して、冥福を祈った。が、それからまもなく、ナムがウォンの家に戻ってきた。話を聞くと、彼は飛行機を乗り間違えて、ロンドンではなくてアフリカに迷い込んでいたのだった。しかし、ウォンにすれば、今、ナムが生きていたと分かれば保険金が下りず、マンションも消えてしまうので、保険金が下りるまでは姿を隠すようにナムに頼むのだった。が、そんな所に保険会社の抜き撃ち調査で調査員がやってきた。ナムは窓の外にしがみつくことで身を隠した。しかし、今のウォンには保険金よりもナムの命の方が大事だった。で、調査員の目の前でナムを助けたウォン。ということで、保険金は下りないことになって、ウォンたちのマンション購入は夢と消えた。しかし、ウォンの一家とナムの間には鐘よりも大切な絆を得た。で、ナムは故郷の海南島に帰っていった。

コメディとしては、香港映画特有のドタバタものではなく、人情喜劇というものである。笑い転げる作品では無いが、こういう作品では日本映画でも、黄金期には多数製作されていただけに、身近な作品としても見ていられる。

尚、本作では「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」でブレイクしたジョイ・ウォンがそれほど大きくない役（ウォンの妹・ジョイ）で出演しているが、あどけなさがまだ残っていて、それだけで目の保養になりますね。

 

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