WANG CHUNG『WARMER SIDE OF COOL』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1989年に発表された彼らの5枚目のスタジオ・アルバムであり、かつ、ラスト・アルバムである。(本アルバムを発表した翌年の1990年に解散した。)1984年の2nd.アルバムは確かに傑作であったが、じり貧状態となって、遂にその時が来たという感じになってしまったものの、'80'sの最後に'80'sの前半のサウンドのアルバムを放ったという所がまた面白い所であった。尚、チャート成績は、Billboardで最高位123位に留まって、2桁順位には届かなかった。また、本国イギリスではチャートインを果たせなかった。
収録曲は以下の全11曲である。『Praying To A New God』『What's So Bad About Feeling Good?』『Snakedance』『Swing』『When Love Looks Back At You』『Games Of Power』『At The Speed Of Life』『The Warmer Side Of Cool』『Logic And Love』『Tall Trees In A Blue Sky』『Big World』。
この中からシングル・カットされたのは『Praying To A New God』であって、カナダで59位、Billboardで最高位63位を記録したが、本国イギリスではチャートインしていない。
お薦め曲は、シングル曲の『Praying To A New God』と、『Snakedance』『When Love Looks Back At You』『Tall Trees In A Blue Sky』、そしてアルバム・タイトル・ナンバーでもある『The Warmer Side Of Cool』をピックアップしておく。
本作がヒットしなかったのは、何と言っても'90'sという時代を目前にした時期に、'80's前半のサウンドをやっていて、当時の中心的なサウンドとかけ離れてしまっているためであるのは、聴いたら直ぐに分かるところである。確かに、当時のサウンドとはかけ離れているのだが、発表から20年以上の歳月が流れた現在では、そういう所もまた違って聞こえるようになる。というのは、'90'sが混沌の時代となって、絶対的な「'90'sサウンド」と云うものがなかった(慌ただしく次々と変遷していったことで、そのようになってしまったということである。)が、「'80'sサウンド」というものはこれだ、というものが'80's中盤には確立しており、本アルバムはその「'80'sサウンド」であるため、安心して聴くことが出来るのである。
ということで、本アルバムは'80'sサウンドがお好きな方には特に違和感なく楽しむことが出来るものである。その一方で、'90'sという次の時代には合致していないこともあって、'90'sサウンドをという方には辛いところばかりですね。
当時は酷評されたが、今だからこそ、改めて「'80'sサウンド」ということで聴き直してみることをお薦めするアルバムの一つである。
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