(追悼)・CORA VAUCAIRE『LES MEILLEURS DE CORA VAUCAIRE』 [音楽(洋楽)]
「サン・ジェルマン・デプレの白い貴婦人」という異名を持つシャンソン歌手のCORA VAUCAIREが亡くなったと言うことで、追悼ということで彼女のアルバムを取り上げることにします。1999年に歌手を引退しているので、今回は久しぶりに彼女の名前を耳にしたことになったのだが、引退して12年にもなっていたのですね。筆者は、引退当時に80歳を超えていたと記憶しているので、現在は90歳は超えているはずと思って調べてみたら、引退時が81歳で、93歳で亡くなったということでした。(1918年生まれなので、日本では大正の生まれと言うことになります。)90歳を超えていると言うことでは、本当に長寿だったと言うことですね。
あらためて、ご冥福をお祈り致します。
で、取り上げるのはコンスピレーション・アルバムと言うことになる。邦題は彼女の代表曲である『枯葉』から、そのまま「枯葉」というタイトルが付けられている。また、リリースは1992年である。しかし、1941年から歌手として活動を始めている彼女にとったら、デビュー50年という時期にリリースされたことになるベスト盤ということになる。
収録曲は以下の全22曲である。(原題よりも邦題の方が分かりやすいので、邦題で記します。)『枯葉』『いつ帰ってくるの』『ソフィー』『三つの小さな音符』『ある日愛の終わりが』『つむじ風』『ルフラン』『グレゴリー』『学校の帰りに』『愛し合う子ら』『バルバラ』『二匹のかたつむり』『悪魔と奇蹟』『恋の痛手』『鯨捕り』『オーマルシェデュパレ』『さくらんぼの実る頃』『ルノー王の哀歌』『さようならエルネスト』『フレデ』『白いバラ』『モンマルトルの丘』。
代表曲の『枯葉』をトップに持ってきているのと。『モンマルトルの丘』を結びに持ってきているところは文句の付けようがないが、『さくらんぼの実る頃』と『三つの小さな音符』についてはもう少し良いポジションに収録されていても良いのではと思ってしまう。とは言っても、彼女のボーカルをたっぷりと堪能出来るということでは、内容もあるアルバムである。(曲順は、再生時にプログラムを組めば解決できますし...)
ところで、代表曲の『枯葉』であるが、オリジナルは彼女ではなく、歌手が歌ったものとしてはイヴ・モンタンがオリジナルと言うことになる。そしてジュリエット・グレコがカヴァーして大きなヒットとなった。それからまもなく、コラ・ヴォケールがカヴァーしている。特にコラ・ヴォケール版の評価が高いのは、彼女のボーカルによる解釈が優れていて、同時に「フランス語の美しい発音のサンプル」として使われているということが大きい。つまり、彼女はシャンソンの1曲としてだけではなく、「フランス語」という言語の見本にもなったのである。
そうなると、誰もが取り上げるようになるのは当たり前であって、現在ではフランスではスタンダード・ナンバーの中でも定番のスタンダード・ナンバーになっていて、シャンソンというと「枯葉」というようになっている。(それだけ素晴らしい曲であるということである。)
日本でシャンソンというと、名曲『枯葉』は知られていて、イヴ・モンタン、コラ・ヴォケール、ジュリエット・グレコのバージョンはいずれもが余りにも有名である。(三者三様の味があって、甲乙付けがたいですが...)それだけに、その『枯葉』を中心にして、じっくりと聴いてみるのも良いんじゃないですか。
コメント 0