AL STEWART『ZERO SHE FLIES』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1970年に発表された彼の3枚目のスタジオ・アルバムである。フォーク・アルバムであって、彼のアルバムとして初めてチャートインを記録したアルバムとなったことで、彼自身にとっても記念となるアルバムである。アコースティック・ギターを中心とした音作りはシンプルであるが、聴きやすく、彼の能力の高さが出ているアルバムにもなった。尚、チャート成績は、彼の本国イギリスで最高位40位を記録している。
収録曲はオリジナル盤では全10曲であったが、2007年に再発されたときに3曲のボーナス・トラックが追加収録されて、現在では全13曲の収録となっている。収録曲は以下の通りである。『My Enemies Have Sweet Voices』『A Small Fruit Song』『Gethsemane, Again』『Burbling』『Electric Los Angeles Sunset』『Manuscript』『Black Hill』『Anna』『Room Of Roots』『Zero She Flies』。(以下、ボーナス・トラック)『Stormy Night』『News From Spain』『Lyke-Wake Dirge』。
尚、この中からシングル・カットされたのは『Electric Los Angeles Sunset』であるが、特に大きなヒットにはなっていない。
お薦め曲は、シングル曲でもある『Electric Los Angeles Sunset』、そして本アルバムの中ではシングル曲と同様にロック色のある『Zero She Flies』、そして『My Enemies Have Sweet Voices』『Manuscript』『Black Hill』という所をピックアップしておく。
フォーク調のアコギを中心としたシンプルな曲が中心であるが、ロック色のある曲、後の彼の一つの柱となる戦争に対する考えを歌った曲など、初期作品であるが彼らしいところがしっかりと出ているアルバムでもある。また、シンプルなサウンドの中にもしっかりとした芯になる所が出ているため、アルバムとしても纏まりのあるものに仕上がっている。
後の彼の活躍を考えても、彼のキャリアに於いて一つのステップになった本アルバムは、彼の曲を聴く場合には外すことの出来ないものである。'70's前半には'60'sとはまた違ったフォークを中心とした音楽が世界的にヒットをすることもあるだけに、'60'sの雰囲気も持ち合わせていながら、'70'sらしい要素もある本アルバムは、'70'sの音楽シーンを語る上でも聴いておきたいアルバムである。
コメント 0