「BEACH RED」 [映画(洋画)]
表題の作品は1967年のアメリカ映画「ビーチレッド戦記」である。日本での劇場公開は1967年11月であった。太平洋戦争のある南の島での戦いを通して描かれた反戦映画である。
作品データを記しておくと、時間は108分、原作はピーター・ボウマン、製作と監督はコーネル・ワイルド、脚本はクリント・ジョンストン、ジェファーソン・パスカル、ドナルド・A・ピータースの3人、撮影はセシル・R・クーニイ、音楽はアントニオ・ベナヴェンチュラである。そして出演は、コーネル・ワイルド、リップ・トーン、パトリック・ウルフ、ジーン・ウォーレス、バー・デベニング、ハイメイ・サンチェス、小山源喜、デール・イシモト、ノーマン・パク、たちである。
1943年、アメリカ軍の反撃によって戦局が大きく変わった時期、南太平洋のある島に、マクドナルドが指揮する海兵隊の部隊が上陸作戦を開始した。しかし、この部隊は、ジャングル戦のエキスパートのハニーウエルを除いては戦闘経験の無い新兵ばかりであった。また、この島には杉山大佐が率いる日本軍が占領していて、直ちに日本軍の攻撃が始まり、部隊は海岸で釘付けになる。が、戦車部隊や火炎放射部隊がやってきて、日本軍の攻撃を突破してジャングルに進軍していく。しかし、ジャングルではゲリラ戦として日本軍との戦いが繰り広げられ、犠牲者も次々と出てくることになる。マクドナルドも負傷するが、部隊はジャングルの奥地へと進んでいく、一方、杉山大佐も、分隊が次々と全滅していくという報告を受け、部隊を結集して敵の背後に回り込み、特攻攻撃を仕掛けることを決断した。が、この作戦はアメリカ軍に察知され、特攻攻撃は失敗、日本軍は殆ど全滅となり、杉山大佐は自決した。その頃、ジャングルの中では、日本軍の中野、アメリカ兵のイーガンとクリフが白兵戦を繰り広げていた。激しい戦いの末、イーガンは戦死、クリフと中野は重傷を負って倒れた。激闘を交えた2人の間には感情が通じ合っていて、クリフは中野に水筒の水を与える。それを飲んだ中野は、お礼としてタバコを投げた。が、次の瞬間、中野は射殺された。タバコを手榴弾と勘違いしたハニーウエルが撃ったのだった。負傷兵として担架で運ばれていくクリフは涙を流していた。その涙の意味を理解したのは戦いの空しさを知るマクドナルドだけだった。
派手な戦争映画ではなく、新兵の目を通して戦争の疑問点、兵士たちの心情を描いた人間ドラマである。ビッグネームと呼べる俳優が出演していないことが特別な世界では無いことを上手く表現することに繋がっている。しかも、両軍兵士の心情も描いていて、一方に偏っていない所は良いところである。(ただ、日本兵の描写には「?」と感じられるところもなきにしもあらずですが...)
派手さが無いことから本作は知名度と言うことでは今一つであるが、こういう作品を「隠れた名作」と呼ぶのである。じっくりと見ておきたい1本である。(かつてはLDでリリースされていたが、DVD化されていないのが残念なところです。)
↓ビデオです。
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