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「THE EMERALD FOREST」 [映画(洋画)]

表題の作品は1984年のアメリカ映画「エメラルド・フォレスト」である。日本での劇場公開は1985年9月であった。南米・アマゾンのジャングルで、一人息子をインディオに拐われ、それ以来10年間捜し続ける父。そんな父の前に、インディオの戦士として成長した息子が現れた。そんな父と息子の冒険アドベンチャー作品であり、同時に文明批判と環境問題を取り込んでいる作品である。

作品データを記しておくと、時間は114分、監督はジョン・ブアマン、脚本はロスポ・パレンバーグ、撮影はフィリップ・ルースロ、美術はマーコス・フラクスマンとテリー・ピッチャードの2人、音楽はジュニア・オムリッチとブライアン・ガスコーンの2人である。そして出演は、パワーズ・ブース、チャーリー・ブアマン、メグ・フォスター、ジラ・パエス、エスティ・チャンドラー、ピーター・マリンカー、エドゥアルド・コンデ、アリエル・コエロ、ティッチー・アグバヤーニ、ディエラ・パエス、ルイ・ポロナ、クラウディオ・モレノ、たちである。

アマゾンでダム建設に従事しているアメリカ人技師のビル・マーカムは、妻のジーン、7歳の息子・トミー、幼い娘・ヘザーと共に現地で過ごしていたが、ある日、一人息子のトミーが何者かによって掠われてしまう。以来、彼は息子の行方を追い続けた。それから10年が流れた1983年、ビルはジャーナリストを併って、トミーの探索行に出ていた。これまでの調査で、幻の種族と呼ばれるインディオがトミーの失踪に関わっていることは確かということで、希望を持っていた。が、その一行が大滝の前でインディオに襲われて、ジャーナリストは殺された。が、ビルは若いインディオに救われたが、その若きインディオの少年戦士はトミーだった。トミーは負傷した父をインディオの村に連れて行った。村ではトミーは、酋長の息子・トメーとして育てられていた。「一緒に帰ろう」という父に、「ボクの家はここだ」と言う息子。そしてトメーはカチリという娘と結婚の儀を行い、トメーとワナディは、ビルを建設現場まで送って別れた。トメーとワナディが村に戻ると、凶悪な戦闘族に襲撃されていて、売春宿に売るために若い娘を除いて全員が殺され、娘たちは戦闘族が武器を得る金になって売られていた。トメーたちは夜の闇に紛れて襲撃したが、機関銃で逆襲されて、ワナディは射殺されてしまった。で、トメーは町へ行き、ビルに全てを話した。ビルから武器を調達したトメーは、売春宿に行き、娘たちを取り戻し、続いて、インディオたちの生活を破壊してしまう建設中のダム建設現場に行き、団を崩壊させたのだった。

前半は冒険もの、中盤からはアクションを含んだ復讐劇という形になって、「アドベンチャーもの」らしい要素がたっぷりと出てきて盛り上がるが、終盤に鳴門一点して環境問題を前面に押し出したものに豹変してしまう。しかも、文明社会を批判するアンチテーゼになっていて、完全に作風が変わっている。こういう所はJ・ブアマン監督らしいと言ってしまえばそれまでであるが、底が本作のポイントである。

尚、本作の物語は完全なフィクションではなく、実際に発生した類似事件を元にして構築されているものである。(脚色されている部分も当然ありますが...)

 

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「EMBRYO」 [映画(洋画)]

表題の作品は1976年のアメリカ映画「エンブリヨ」である。日本での劇場公開は1977年10月であった。ジャック・W・トーマス原作小説の映画化作品で、科学実験によって怪物化していく女の悲哀を描いたホラー作品である。

作品データを記しておくと、時間は104分、原作はジャック・W・トーマス、監督はラルフ・ネルソン、脚本はジャック・W・トーマスとアニタ・ドゥーハンの2人、撮影はフレッド・J・コーネカンプ、音楽はギル・メレである。そして出演は、ロック・ハドソン、ダイアン・ラッド、バーバラ・カレラ、アンヌ・シェディーン、ロディ・マクドウォール、ジョン・エレリック、ジャック・コーヴィン、ヴィンセント・バジェッタ、たちである。

胎児の成長促進の研究をしているポールは、ある雨の深夜の帰宅中に犬をはね、その犬を自宅に連れて帰り、自宅の実験室で治療をる。しかし、犬は死亡、腹の中にいた3匹の胎児を人工子宮の容器の中に入れる。しかし、その3匹も1匹だけが生命をとりとめただけだった。ポールは生き残った1匹に研究中の成長ホルモンを与えた。すると、胎児は2日と15時間で大きく成長したことで、研究に自信を持つことになった。で、ポールは人体実験に取りかかることにした。そして、友人・ジムが院長ほ務める病院から、自殺未遂の女性の胎児があると連絡を受け、その胎児を貰ってきて、実験を開始した。まもなく人工子宮から産声を上げた胎児は、成長ホルモンの投与を止めても急速に成長し、1日で1年分もの成長を遂げた。それから4週間、すっかり成人になった胎児の成長は止まり、美しい女性になっていた。ポールは彼女にビクトリアという名前を与えたが、ビクトリアは姿は大人であっても知能は赤ん坊だった。しかしビクトリアは、ポールが想像した以上だった。ビクトリアに色々と教えるポールだったが、ビクトリアは男を求める行動を始めた。が、そんなビクトリアに原因不明の腹痛が襲う。それは細胞が老化しているためだと分かると、色々と調べ始め、それを防ぐには未出産胎児から抽出される脳下垂体液が必要と言うことが分かる。こうしてビクトリアは胎児を求めて妊婦を襲っていく。失敗を重ね、ビクトリアの老いも激しくなっていく。遂にポールは、ビクトリアを殺す決心をして、ビクトリアを追う。もはや老女になっていたビクトリアを追いつめて殺そうとしたポールだったが、警官たちにそれを止められる。が、ビクトリアは化け物のようになっていて、1人の赤ん坊を残して死んでいった...

アイデアは面白いが、ストーリー展開としては今一つの所がある。しかし、B・カレラの変貌ぶりが見所であって、それを魅せるだけの作品になっている。(こういう作品では、魅せる役者がいることが重要であるが、彼女であれば十分である。)ただ、大作志向の方にはどうかと感じられる所もあるため、「超一級のB級作品」と言った方が良いかも...

 

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「ELECTRA GLIDE IN BLUE」 [映画(洋画)]

表題の作品は1973年のアメリカ映画「グライド・イン・ブルー」である。日本での劇場公開は1974年1月であった。アメリカン・ニューシネマの傑作の1本として知られている青春映画である。また、J・W・ガルシオ監督の監督第1作でもある。

作品データを記しておくと、時間は113分、原作はルパート・ヒッツィグとロバート・ボリスの2人、製作、監督、音楽はジェームズ・ウィリアム・ガルシオ、脚本はロバート・ボリス、撮影はコンラッド・L・ホールである。そして出演は、ロバート・ブレイク、ビリー・グリーン・ブッシュ、ロイヤル・ダーノ、ミッチェル・ライアン、ジャニーン・ライリー、エライシャ・クック、たちである。

アリゾナのサバ口井多を管轄する警察で白バイ警官として働いているジョン・ウィンターグリーン。彼殺人課の刑事として活躍したいと常々思っていて、いつもウエスタン・スーツを着込んでいる男である。一方、ジョンの同僚のデイビスは、最高級のオートバイであるエレクトラ・グライド・スペシャルを手に入れたいと願っている警官だった。ある日、道路脇の草むらから老人が逃げ出してきた。老人を捕まえてみると、ウイリーと名乗り、友人が小屋で自殺していると証言した。で、翌日、現場検証を行った。ジョンは他殺だと主張したが、平凡な自殺事件として処理されてしまう。これに不満を持ったジョンは、死体の解剖を主張する。その声に腕利きの初老のハーブ刑事が聞き入れ、再調査をすると、「他殺」と判断された。で、ハーブはジョンを補佐としてコンビを組み、事件に当たることになる。夢に半歩近づいたことでジョンは興奮することになった。しかし、捜査を進めていくにつれて、ハーブが不能者であることをジョンは知り、ハーブは自分の弱みが握られたことに対して病的な苛立ちを見せて、ジョンを元の白バイ警官の職務に戻してしまう。そしてこれはジョンに取っても人間としてのハーブの魅力を失ってしまったためでもあって、ジョンもそれら同意した。そんなジョンは、ロックコンサートの警備をしていると、事件の真相を掴んだような気がしてウイリーの元を訪ねると、ウイリーは事件について告白した。翌日、既に退職したデイビスの元を訪れたジョンは、エレクトラ・グライド・スペシャルを見せられた。が、デイビスがこれを帰るとは思えず、忠告を与えた。しかしデイビスは聞き入れずに銃を向けた。その瞬間、ジョンは思わず銃を抜いて撃ち、デイビスを殺してしまった。こうして友だちを失って孤独となったジョン。数日後、怪しげな車が通過したため、追跡し、車を止めさせた。しかし、見逃して行かせる。しかし、男が免許証を忘れたため、後を追った。すると、車から銃弾が飛んできて、ジョンは崩れ落ちてしまった...

アメリカン・ニューシネマの中では後期の作品であるが、栄光、挫折、幻滅、苦悩という若さからくるほろ苦さを上手く描いていて、ある意味ではアメリカン・ニューシネマを代表する作品の「イージー・ライダー」の対極に位置する作品と言うことが出来る。それ故、じっくりと見ておきたい作品である。

 

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「EL PATRULLERO」 [映画(洋画)]

表題の作品は1991年のアメリカ、日本、メキシコの合作映画「PNDCエル・パトレイロ」である。日本での劇場公開は1993年7月であった。後にビデオ化された時に「サウス・ボーダー/ハイウェイパトロール」と改題されている。理想に燃える若きハイウェイ・パトロールマンが、不正の側に足を踏み入れてしまっていく姿を描いていく人間ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は103分、監督はアレックス・コックス、製作と脚本はロレンツォ・オブライエン、撮影はミゲル・ガルソン、音楽はマーク・アイシャムである。そして出演は、ロベルト・ソサ、ブルーノ・ビシール、ザイーデ・シルヴィア・グティエレス、ヴァネッサ・バウチェ、ペドロ・アルメンダリス・Jr.、マレーナ・ドリア、トゥイ・イズラス、エルネスト・ゴメス・クルズ、マイク・モロフ、クラウディア・ベッカー、たちである。

理想主義者であるメキシコ人青年・ペドロ・ロハスとアニバル・グエレロはナショナル・ハイウェイ・パトロール・アカデミーを卒業後、ハイウェイ・パトロールに入隊し、2人は厳しい砂漠の勤務となる。ある日、ペドロはパトロールで、グリセルダの運転する不法労働者を乗せたトラックを止めたことから、彼は変わっていく。グリセルダの誘惑に負けたペドロは彼女と結婚したが、正義感の強いペドロはハイウェイで賄賂を受け取ることを拒み続けていて、収入が少ないことを妻から不平として言われるようになる。また、仕事の方も養豚トラックで混雑する街道に左遷されてしまう。で、ペドロは、無許可のトラックを止めたものの、その運転手から賄賂を受け取ってしまい、彼の倫理感は変わってしまった。こうして、賄賂を受け取るようになったペドロは、アニバルや同僚たちと一緒に売春宿に出かけた時にマリベルと出会って、彼女に魅せられてしまう。更に、交通違反者に銃撃されて負傷し、その療養中には父を亡くした。そんな中、麻薬密輸者を追跡していたアニバルからSOSが入り、駆けつけたものの、アニバルは息絶えてしまう。アニバルの為にもということで、麻薬の売人を追ったペドロは売人の名前と車のナンバーをつきとめ、密売人を追いつめ、説得しようとしたが、銃撃戦の中、撃ち殺してしまった。遂に退職したペドロは、グリセルダの牧場を任される。ある日、麻薬中毒患者となったマリベルを訪ねたら、一緒に住んでくれるよう頼まれ、マリベルを養うことにしたのだった...

理想と現実のギャップに悩み、落ちていくという姿を描いているが、なかなか上手く描かれた作品である。また、メキシコ流の視点と、結構ブラック度の高い風刺を用いているなど、見所も多い作品であり、見ておきたい作品の一つである。

 

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「EL MARIACHI」 [映画(洋画)]

表題の作品は1992年のアメリカ映画「エル・マリアッチ」である。日本での劇場公開は1994年2月であった。R・ロドリゲス監督のデビュー作であり、超低予算作品として製作された作品である。(そのため、R・ロドリゲスがスタッフの方で七役もこなしている。)また、本作は1995年に、R・ロドリゲス監督自身でリメイクされていて、「デスペラード」という作品になった。また、本作は、サンダンス・フィルム・フェスティバルで観客賞を、インディペンデント・スピリット賞では新人作品賞を受賞している。

作品データを記しておくと、時間は80分、原案、監督、脚本、撮影、編集はロバート・ロドリゲス、製作はカルロス・ガラルドーとロバート・ロドリゲスの2人、SFX はロバート・ロドリゲスとカルロス・ガラルドの2人、音楽はマーク・トゥルヒージョ、アルバロ・ロドリゲス、ファン・スアレス、セシリオ・ロドリゲス、エリック・ガスリーの5人である。そして出演は、カルロス・ガラルドー、コンスエロ・ゴメス、ジェイム・デ・ホヨス、ピーター・マルカルド、レーノル・マルティネス、マニュエル・アコスタ、たちである。

メキシコの小さな田舎町・アクーナにマリアッチという男が仕事を求めてやってきた。彼は黒い衣装で、黒いギターケースを持っていた。それと同じ頃、刑務所を脱獄したアズールは、盗んだ金を独り占めした昔の仲間・モーリシオの配下を皆殺しにしていた。アズールも黒い衣装で、黒いギターケースの中にマシンガンを入れていた。手下が殺されたことで、モーリシオは激怒し、アズールの行方を追い、町中に黒服で黒いギター・ケースを持った男を探し出すよう命じ、殺し屋たちが町に探しに行った。そんなことを知らないマリアッチは、町のホテルにチェックインした。フロント係が黒い服・黒いギターケースの男と言うことで、モーリシオに知らせたので、殺し屋たちがホテルにやってきた。マリアッチは殺し屋に狙われていることを知ると、難とかホテルを脱出したが、大事なギターケースを忘れてきたため、一旦戻る。この時、殺し屋に見つかるが、機転を利かせて4人の殺し屋を倒した。そんなマリアッチは、弾き語りの仕事を得るためにあるバーに立ち寄る。それはモーリシオの愛人・ドミノのバーだった。ドミノは彼を匿ったが、モーリシオの手下が、黒服・黒いギターケースの男を探していることを伝える。しかし、ドミノはマリアッチに歌わせて、駆れば本物の歌手と信用した。その頃、アズールは、ドミノを利用してモーリシオに接近しようとしていて、ドミノの店で、マリアッチのギターケースを間違って持っていき、マリアッチはマシンガンの入ったギターケースを抱えてアズールを追いかけた。しかし、モーリシオの手下に見つかり、マシンガンが入ったギターケースを持っていたことから捕らえられ、モーリシオの元に連れて行かれる。が、モーリシオはマリアッチを見ると人違いと言うことに気づき、マリアッチは無事に釈放された。その頃、アズールはドミノを捕らえ、モーリシオの家に向かっていた。マリアッチはドミノを救うためにモーリシオの家に行く。敵を倒したマリアッチだったが、自分も打たれて負傷した。しかも銃弾は彼の指を襲い、マリアッチはギターを弾くことが出来なくなってしまった。そんなマリアッチは、マシンガンを提げて町を去って行った。

映画は金を掛けて制作すれば良いというものでは無いと言うことを教えてくれる作品である。ストーリーの面白さだけでなく、テンポも良く、演出も良く、非常に良く出来ている作品である。これが7000ドルの予算だったとは信じられないほどの出来である。(逆に、7万ドルの予算で製作されたリメイク作の「デスペラード」が今一つに感じられてしまうほどである。)それでいて、低予算作品と思わせることも無い。

「デスペラード」を見ている方は本作をしっかりと見ておきましょう。逆に、「デスペラード」が未見という方は、本作を見たら、「デスペラード」は見なくても良いんじゃないですかね。

 

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「EL NORTE」 [映画(洋画)]

表題の作品は1983年のアメリカ映画「エル・ノルテ 約束の地」である。日本での劇場公開は1988年11月であった。夢を求めて「北(エル・ノルテ)」へと流離う兄妹の希望と苦悩の日々を描いた人間ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は139分、監督はグレゴリー・ナヴァ、脚本はグレゴリー・ナヴァとアンナ・トーマスの2人、撮影しジェームズ・グレノン、音楽はザ・フォルクロリスタスとメルシオ・マルティネスの2人である。そして出演は、ザイーデ・シルヴィア・グティエレス、デヴィッド・ヴィラルパンド、アーネスト・ゴメス・クルス、アリシア・デル・ラーゴ、ルーペ・オンティヴェロス、トニー・プラナ、ダイアン・キャリー、たちである。

中米・グァテマラ。その北部に住んでいるインディオの小作人たちは、地主の圧制に苦しみながら、いつかは自由な暮らしを夢見て過ごしていた。エンリケとロサという兄妹も誰もと同じで、豊かな北・アメリカ(=エル・ノルテ)への思いを募らせていた。ある夜、兄妹の父は、村外れにある廃墟で行われる密会に出席したが、そこに政府軍が乱入して惨殺された。更に母も軍隊に連行されていき、行方不明となってしまう。兄妹は身の危険を感じ、村を捨てて北へと行くことを決意した。難とかメキシコのティファナに到着した2人は国境を越えようとするが、国境案内人に騙されて密入国に失敗してしまう。メキシコに戻った2人は、村人ラモンの紹介で、ライモンドという案内人を頼り、地下水道を潜り抜けて、難とかアメリカに入国をした。そして、ロスに行き、新生活を初めて2人は、次第にその生活に馴染んでいく。エンリケはウェイターに、ロサは家政婦の仕事に就き、次第に豊かさを感じるようになっていた。そんな中、エンリケはシカゴでの仕事を依頼された。しかし、この仕事は妹の同行が許されないため、断った。すると、エンリケの出世をねたむ同僚が移民局に密告し、エンリケは職を失ってしまう。で、シカゴ行きを改めて考えるエンリケだったが、ロサがチフスで重体になったという知らせが入る。ロサの病床に向かったエンリケは、仕事か妹かを悩むエンリケだったが、彼の姿を見たロサは静かに息を引き取った...

中米とアメリカでは、貧困からくる移民問題は現在では大きな社会問題となっているが、その問題に比較的早く着目して描かれた社会派ドラマであり、兄妹愛を絡めてじっくりと描かれた作品である。

日本では、この問題に関しては今一つ認識されないこともあって、ソフトには恵まれない状況になっているが、こういう問題こそじっくりと考えておくべきであるだけに、問題を知るためにも見ておくべきかと...(但し、本作はドキュメントではなく、フィクションであるだけに、あくまでも参考資料の一つにしかなりませんが...)

 

↓リージョンコードが「2」ではないので注意が必要です。

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↓ビデオです。

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「EL NIDO」 [映画(洋画)]

表題の作品は1980年のスペイン映画「エル・ニド」である。日本での劇場公開は1987年3月であった。妻に先立たれた初老の男と、13歳の少女との交流・無償の愛を描いたドラマである。

作品データを記しておくと、時間は110分、監督と脚本はハイメ・デ・アルミニャン、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はフランツ・ヨセフ・ハイドンである。そして出演は、アナ・トレント、エクトル・アルテリオ、ルイス・ポリティ、アグスティン・ゴンザレス、パトリシア・アドリアー二、ルイザ・ポンテ、たちである。尚、本作でA・トレントはモントリオール映画祭で主演女優賞を獲得している。

スペイン中部ある小さな田舎町。妻に先立たれた初老の男・アレハンドロは、日々の暮らしでオペラとチェスに明け暮れる孤独な生活をしていた。ある日、彼は森の中で謎の署名の付いた紙片を見つけ、その署名の主を探すために村の教会にやってきた。そして、そのは小鳥をこよなく愛する13歳の少女・ゴジータだと言うことが分かる。祖父と孫という様な年の差があるにも関わらず、アレハンドロは、大人びた表情の彼女を愛するようになり、二人は互いに愛を誓い合った。しかし、2人の噂が村中に広がり、ゴジータは遠くの親戚の家に預けられることになり、アレハンドロから引き離されることになる。アレハンドロは彼女に、愛の証として「認識票」を渡されるが、それを父の上司である警察署長に取り上げられてしまう。別離の日、ゴジータは、アレハンドロの胸で泣きながら「あいつを殺して」と訴えるが人は殺せない、と言うアレハンドロ。そして彼は永遠の別れへと導いていった...

スペインの田舎の美しい風景を堪能できるということでも、十分価値のある作品である。ただ、主人公の初老の男と13歳の少女では、恋愛者としてはどう考えても、という考えが頭にあるため、物語としてはこんなものか、と思えてしまうのは仕方が無いのかも...

 

↓LDです。(ビデオもDVDもありません...)

 

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「EL DORADO」(1987) [映画(洋画)]

表題の作品は1987年のスペイン、フランス、イタリアの合作映画「エル・ドラド」である。日本での劇場公開は1989年4月であった。尚、本作と同名タイトルの1966年の作品(ハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演、西部劇の名作である。)の方がはるかに有名であるが、本作はその作品とは全く関係ない別物語(時代も舞台となる場所も異なっている。)であって、16世紀の南米・黄金の国を求める男の冒険物語である。→そのため、タイトルに製作年を記すことで、H・ホークス作品と区別することにしておく。

作品データを記しておくと、時間は151分、監督と脚本はカルロス・サウラ、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はアルハンドロ・マソである。そして出演は、オメロ・アントヌッティ、ランベール・ウィルソン、エウセビオ・ポンセーラ、カブリエラ・ロエル、イネス・サストレ、たちである。

黄金郷・エル・ドラドの存在を信じて、1560年9月、400名という大所帯の遠征隊はペルー・のサンタ・クルース・デ・カポコヴァールを出航した。遠征隊は司令官ペドロ・デ・ウルスアが指揮を執り、一癖も二癖もある連中が、黄金郷を信じて参加していた。特にロペ・デ・アギーレは娘のエルヴィラと共に最後の勝負に出ていた。遠征隊はアマゾンの密林を進んでいくが、次第に彼らの欲望は狂っていき、遂にウルスア司令官に不満を持つ者が増えていく。そんな中、インディオたちに包囲されてしまい窮地に陥る。これを救ったのはアギーレであって、これを期に、ウルスアは信頼を失い、暗殺されてしまう。新たな司令官としてフェルナンド・デ・グスマンが任命される。しかし、遠征隊は既に精神的にずれが生じていた。そして次第に、陰謀によって、一人、また一人と処刑されていき、人数も減っていく。そして、陰謀と欲望の渦巻く中、アギーレは指導者となるが、娘の裏切りもあり、処刑してしまうが、その直後、国王派に暗殺されてしまう...

冒険ものであるが、それに欲望と陰謀が渦巻く権力闘争という要素が複雑に絡んでいる物語である。確かに最初は冒険ものという雰囲気が強いが、途中からは冒険ものという部分が薄くなってしまい、終盤は狂気の世界を描いたものになっている。こういう展開はなかなか面白いのであるが、冒険ものという手に汗握るものが失われていくのはちょっと残念な所もある。

結局は「黄金郷」に取り憑かれた男たちの野望と陰謀を描いたドラマであって、アドベンチャーというのは副次的なものだったと思えば、これはこれで良かったのかも...(冒険アクションということを期待すると、裏切られます。)が、ソフトに恵まれていないので、殆ど忘れられている作品なので、見ようとしても苦労します。(→本作は別の邦題を付けるべきですね。)

 

↓ビデオです。

エル・ドラド【字幕版】 [VHS]

  • 出版社/メーカー: 東北新社
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「EL CID」 [映画(洋画)]

表題の作品は1961年のアメリカ映画「エル・シド」である。日本での劇場公開は1962年4月であった。フレドリック・M・フランクの原作を映画化した70ミリの大作であって、11世紀スペインの救国の闘将エル・シドの生涯を描いた歴史スペクタクルである。劇場版は190分といあように3時間を越えているが、ビデオ・リリース時には172分の短縮版でリリースになるなど、いくつかのバージョンが存在していることでも知られている作品である。

作品データを記しておくと、時間は190分、原作はフレドリック・M・フランク、監督はアンソニー・マン、脚本はフレドリック・M・フランクとフィリップ・ヨーダンの2人、撮影はロバート・クラスカー、音楽はミクロス・ローザである。そして出演は、チャールトン・ヘストン、ソフィア・ローレン、ラフ・ヴァローネ、ジュヌヴィエーヴ・パージュ、ジョン・フレイザー、ゲイリー・レイモンド、ハード・ハットフィールド、マッシモ・セラート、ハーバート・ロム、マイケル・ホーダーン、ラルフ・トルーマン、アンドリュー・クルックシャンク、チュリオ・カルミナチ、ジェラール・ティチー、たちである。

11世紀のスペインは、ムーア人はアフリカから欧州の侵略の機会を伺っていて、その侵略の危機に脅かされていた。そんな中、ムーア人の大公たちはカスティールの若き武将・ロドリーゴに捕らえられる。が、彼の思いやりから大公たちは全員釈放される。感激した大公の1人は彼に「エル・シド」の称号を贈った。が、彼はそのことで、国王をはじめ、恋人・シメンを含め、周囲から激しく非難される。更に、そのことでシメンの父・ゴルマスト争いになって、剣で殺してしまう。シメンは父の死の直前に復讐を頼まれて苦悩することになる。エル・シドは、戦いにでると勝利をもたらしてくることから英雄となっていくが、シメンはことごとくエル・シドを陥れようとする。そんな中、エル・シドはシメンとの結婚を王に願い出る。婚儀の日、シメンは夫にすべてを許さないことこそ復讐と決心して、翌朝、修道院へ籠もってしまう。が、王の急逝によって、王子・サンチョとアルフォンソが王位継承で争うことになり、アルフォンソが王位に就く。そして、事の真相を知るエル・シドを追放する。が、追放されたエル・シドの偉大さをシメンは知ると、彼の後を追った。数年後、エル・シドは再び英雄となっていた。バレンシアではムーア人との間で戦いが起こっていた。旗色が悪くなった王は、エル・シドを呼び戻し、エル・シドの活躍でバレンシアは陥落した。この成果によってバレンシア大公から王冠を受けるエル・シドだった。しかし、ムーア人の一隊は残っていて、エル・シドの軍との間で戦いが始まる。エル・シドは愛馬にまたがって指揮をしていたが、戦いの中で胸に矢を受け、命を落としてしまう。が、翌朝、死んだはずのエル・シドが馬上にまたがっていた。その姿を見た敵は浮き足立ち、エル・シドの軍は勝利を納めた。それは、エル・シドの遺言で、彼の死体を馬上にすえていたのだった。勝利を掴んだスペインは、侵略者を撃退し、エル・シドは救国の英雄として歴史に刻まれることになった。

歴史スペクタクルであるが、正しい歴史を描いている訳ではなく、歴史考証に関しては問題ありという作品である。(大筋では誤りではないものの、部分的におかしい所がある。)そのため、当時の正しい歴史を知らないという方には、誤った歴史がインプットされてしまう可能性があるだけに、注意が必要である。(見る前に、正しい歴史を勉強しておいた方が良いでしょう。)

一方、豪華キャストと70ミリの大作と言うことで、スケールの大きなダイナミックな映像を楽しむことが出来、娯楽作品ということでは十分楽しめる。ただ、3時間を越えることから、見る方としてはちょっと辛いところが出てくるかも...

とは言っても、70ミリならではのスケールの大きな作品であるだけに、やはり見ておきたい作品の一つである。(同時に、その分、歴史についても正しく勉強しましょう!)

 

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「ELENI」 [映画(洋画)]

表題の作品は1985年のアメリカ映画「哀愁のエレーニ」である。日本での劇場公開は1985年12月であった。N・ゲイジの小説の映画化作品であって、ギリシャを舞台にしたサスペンス・タッチの人間ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は118分、原作はニコラス・ゲイジ、監督はピーター・イエーツ、脚本はスティーヴ・テシック、撮影はビリー・ウィリアムズ、音楽はブルース・スミートンである。そして出演し、ケイト・ネリガン、ジョン・マルコヴィッチ、リンダ・ハント、オリヴァー・コットン、ロナルド・ピックアップ、ロザリー・クラッチェリー、グレン・ヘドリー、ディミトラ・アーリス、アルフレッド・モリナ、スティーヴ・プリータス、たちである。

第2次世界大戦終結直後ギリシャは、政権政府軍と革命派の共産ゲリラとの内乱が続いて混乱していた。アルバニアとの国境近くにある寒村・リアでは、若妻・エレーニが、アメリカに出稼ぎに行っている夫・クリストスの留守を守ッテ、4人の娘と1人息子・ニックと共に暮らしていたが、内乱に巻き込まれてエレーニは死んでしまう。それから30年後、ニューヨーク・タイムズの記者となっていたニックは、亡き母・エレーニの死の真相を知りたいという思いから、アテネ支局へ単身赴任した。妻・ジョーンは反対したが、老いた父は何も言わなかった。ニックは直ぐに調査を開始して、故郷の村などを訪ねていく。

30年前、内乱が激しくなり、ゲリラ軍はリア村を占領した。エレーニの家は占拠され、村人たちは強制労働に、ある年齢以上の子供は兵役に回される。そんな中、エレーニは長女に大火傷を追わせ、兵役を免れたが、それに代わって次女がゲリラ軍に取られてしまう。エレーニの親友・カティナは子供を取られることを絡めてゲリラ軍の指揮者・カティスを非難したため、銃殺されてしまう。エレーニは村人たちと共に村を脱出する計画を練った。しかし、実行の前夜、彼女はカティスに呼ばれたことで、脱出は子供たちだけで行われ、成功した。それを知ったカティスはエレーニを拷問し、銃殺刑にしたのだった。こうしてニックは母の死の真相を知った。で、ニックは、年老いて、現在はアテネに住んでいるカティスの元を訪ねた。そして銃口を彼に向けたものの、カティスの幼い孫娘を目にすると、彼はカティスを殺すことを諦めた。母は我が子を愛するために殺され、その愛に報いることは復讐ではなくて自らの妻や子たちを愛することだと悟ったのだった。こうしてニックは、母の気持ちを初めて理解して、ニューヨークヘ帰っていった。

謎解きの部分をサスペンス・タッチで描いていることが物語に緊張感を与えることになって、メリハリに繋がっている。しかし、映像的には派手な所がなく、人間ドラマとしてじっくりと描くことに力が注がれている。それだけに、人間ドラマとしての深みが出ている。

また、所々に見られる美しいギリシャの景色も見所の一つとなっているだけに、色々と見所のある作品である。ただ、ソフトの点で恵まれていないのが残念である...

 

↓輸入版のビデオです。(DVD化されていない...)

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  • メディア: VHS


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