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「DEAD RINGERS」 [映画(洋画)]

表題の作品は1988年のカナダ映画「戦慄の絆」である。日本での劇場公開は1989年6月であった。カナダの鬼才・D・クローネンバーグによるサイコ・サスペンスである。実際に起こった事件を元にした物語でもある。また、本作はアボリアッツ・ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得したのをはじめ、ニューヨーク批評家協会賞ではジェレミー・アイアンズが男優賞を、ロサンゼルス批評家協会賞では、デヴィッド・クローネンバーグが監督賞、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが助演女優賞を獲得している。

作品データを記しておくと、時間は116分、原作はバリ・ウッドとジャック・ギースランドの2人、製作、監督、脚本はデヴィッド・クローネンバーグ、撮影はピーター・サシツキー、音楽はハワード・ショアである。そして出演は、ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ハイジ・フォン・パレスケ、バーバラ・ゴードン、シャーリー・ダグラス、スティーヴン・ラック、ジリアン・ヘネシー、たちである。

瓜二つの一卵双生児の兄弟のエリオットとビヴァリーは幼少時からいつも一緒にいたが、性格は正反対だった。兄・エリオットは社交的で野心家だったが、弟・ビヴァリーは内気で繊細な努力家だった。現在はトロントで婦人科医として名声を得ていて、経営するマントル・クリニックも好調で共同生活を送っていた。ある日、ビヴァリーは女優のクレア・ニヴォーを診察するが、これが兄弟のバランスを崩すことに繋がった。彼女の子宮は常識を外れたものであり、エリオットは彼女に子供を産めない体であることを告げ、関係を持った。翌日、ビヴァリーが彼女の元を訪ねると、クレアはいきなり抱きついた。彼女はエリオットとビヴァリーが双子であることを知らず、エリオットが訪ねてきたと思ったのだった。そして、エリオットと思ったまま、自分の過去を話し、ビヴァリーをベッドに誘い、関係を持った。が、このことはエリオットには秘密となった。とバラクは平穏な日々を過ごしていたが、クレアが、2人が双子であることを知った時、クレアはビヴァリーの元を去り、ビヴァリーは精神的にショックを受けて薬に依存するようになる。そんな中、街中でばったりと再開し、再び関係を持つ。そんなビヴァリーは、国外ロケに行ったクレアのことが心配で、宿泊先に電話を入れたが、それに出たのがマネージャーだったが、それを浮気と誤解して、更に薬に深く入ってしまう。そんな中、突然倒れてしまったビヴァリーをエリオット手術して助けるが、以後、ビヴァリーは妄想に取り憑かれることになる。錯乱して患者を傷つけてしまうが、クレアが帰国すると、誤解が解けて元に戻っていく。しかし、今度はエリオットのセス維新が破綻してしまって、ついに悲劇が起こって...

クローネンバーグらしい彼の世界が描かれていて、傑作と言うことの出来る作品である。'80年代前半からは彼独特の世界を描いた作品が世界的にもヒットしていたが、本作は正に脂の乗った時期でもあっただけに、流石と言ったところである。これは絶対に見ておきたいサイコ・サスペンスである。

 

戦慄の絆 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: キングレコード
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戦慄の絆 <デジタルリマスター版> [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東北新社
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「THE DECLINE OF THE AMERICAN EMPIRE」 [映画(洋画)]

表題の作品は1986年のカナダ映画「アメリカ帝国の滅亡」である。日本での劇場公開は1987年10月であった。登場人物がセックス談議を繰り広げるという作品であって、アングラ芝居のような作品である。また本作は、カンヌ国際映画祭では国際映画批評家連盟賞を、ニューヨーク批評家協会賞では外国映画賞を受賞している(アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされたが受賞はならなかった。)というように、そのセンスが高く評価されている作品でもある

作品データを記しておくと、時間は102分、監督と脚本はドゥニ・アルカン、撮影はギイ・デュフォー、音楽はフランソワ・ドンピエールである。そして出演は、ドミニク・ミシェル、ドロテ・ベリマン、ルイーズ・ポルタル、ピエール・キュルジ、 レミー・ジラール、イヴ・ジャック、ジェヌヴィーエーヴ・リウ、ダニエル・ブリエール、ガブリエル・アルカン、たちである。

大学で歴史学を教えているピエール、レミー、クロードの3人と、小学校の代用教員のアランの4人は、モントリオール郊外の美しい湖の側の別荘に集まって、夕食を共にする準備をしていた。そして4人はそれぞれがセックス・ライフについてしゃべり始める。一方、モントリオールのジムでは、独身のドミニク、レミーの妻・ルイズ、ディアーヌ、ダニエルという面々が体を鍛えながら、男のことを語り合っていた。やがて、別荘に女たちも集まり、ディナーが始まる。一同の会話は続き、様々なことを語り合っていく。やがて、ドミニクの書いた社会・政治デカダンス時代における結婚の価値の崩壊を論じた「アメリカ帝国の滅亡」のことが話題となるが...

兎に角、議論していくという所が中心になっているが、主な登場人物が学者先生であることから、(ここで話されている内容はともかく)議論と言うことでは流石と感じさせられる。また、よくもこんな話をするな、という所まで言ってしまう。が、中流社会に生きる人の本音というところを上手く描いているということで、見方によっては面白い作品である。(議論に弱いという方は、素通りした方が宜しいかと...)

アメリカに近い国であるカナダであるが、こういう作品を生み出すという所はなかなか面白いですね。

 

↓輸入版ばかりです。(DVD/BDはリージョンコードに注意が必要)

The Decline of the American Empire [VHS] [Import]

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Decline of the American Empire (Blu-Ray) [Import]

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The Decline of the American Empire [DVD] [Import]

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「DOGS IN HEAVEN」 [映画(洋画)]

表題の作品は1990年のイタリア、フランス、スペインの合作映画「ドッグ・イン・パラダイス」である。日本での劇場公開は1991年6月であった。1989年の「ニュー・シネマ・パラダイス」での少年役でその名を知られることになったS・カシオの主演作品であり、しかもどんな名優も負けると言われる「犬」を扱ったハートフルな人間ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は97分、原作はレモ・フォルラーニ、監督はドゥッチオ・テッサリ、脚本はエンニオ・デ・コンチーニ、ドゥッチオ・テッサリ、マナヘム・ヴェラスコ、マルチェロ・コスチアの4人、撮影はマルコ・オノラート、カルロス・スアレスの2人、音楽はデット・マリアーノである。そして出演は、サルヴァトーレ・カシオ、ピーター・ユスティノフ、ロベルト・アルピ、メルセデス・アロンゾ、デルフィーネ・フォレスト、たちである。

ミラノに住んでいるトムは9歳の少年である。ある日、トムは、母のジョバンナとその恋人・ボブと共に、トスカーナ州にあるカバルビオ城に出かけることになる。というのは、ボブが親戚のエミリア伯爵夫人から城を相続したためだった。ボブは、都会住まいと言うことで城を売るつもりでいたが、3人はそれぞれ城で出会った人たちとの拘留が気に入ったことで、暫く滞在することになる。また、城が広いこともあって、ジョバンナは犬を預かるというビジネスが出来ると考えて、それを始めた。で、新聞広告を出すと、次々と犬を預けたいという人たちが城にやってきて、40匹の犬に囲まれることになる。犬との拘留を通して、ボブやトムはこの土地が気に入るが、この土地を都市計画事業の計画地区にと考えるダンテスカ不動産が動き出し、近隣の城をあくどい手段で次々と買収していく。当然、ボブの元にも買収話が持ち込まれる。しかし、都市計画事業は、城を全て壊し、森を切り開き、犬たちは全て殺し、リゾートマンションを作るというものだとボブは知ると、城、森、犬たちを守るために、ぜったてに城を占いと決意した。それを知ったダンテスカは、その夜、犬小屋に火を放った。で、ボブとトムは必死になって犬を守り、火を消すことに務めた。また、そんなボブのことをトムは「パパ」と呼ぶようになった。が、ボブにはもはや計画を止める手立ては無くなっていた。で、城は強制競売に掛けられる。が、競売の時、ダンテスカの人間が持っていたライターに、犬たちが飛びかかった。で、放火したことを告白し、ボブの城は守られることになった。

前半は、これぞとばかりに、田舎の大きな城、犬たち、という要素を前面に出して、売れ筋を狙っているとしか思えない展開で物語が進んで行くが、悪徳業者が画策するようになってからは作風が完全に変わる。が、クライマックスはヒューマン(&ドッグ)ドラマというところが強く出ていて、分かっているとはいえ、言い展開である。

尚、トトの名前が定着してしまったS・カシオは本作では犬に負けてしまったようになってしまって、「天才子役も動物には適わない」といった感じでした。(そういうこともあるのか?、かつてはLDでリリースされていたのに、現在ではソフトに恵まれていないのがちょっと残念な作品である。)

 

↓ビデオです。


「DISPARA!」 [映画(洋画)]

表題の作品は1993年のスペインとイタリアの合作映画「愛よりも非情」である。日本での劇場公開は1995年5月であった。ハリウッドでブレイクする前のA・バンデラスが、母国スペインの作品に出演しているということで、後に知られるようになった作品である。ヒロインの復讐を描いた悲恋のアクション・ラブストーリーである。

作品データを記しておくと、時間は108分、原作はジョルジオ・シェルバネンコ、監督はカルロス・サウラ、脚本はカルロス・サウラとエンツォ・モンテレオーネの2人、撮影はハビエル・アギーレサロベ、音楽はアルベルト・イグレシアスである。そして出演は、フランチェスカ・ネリ、アントニオ・バンデラス、ワルター・ヴェダルテ、ラリ・ラモン、チェマ・マーゾ、ダニエル・ポーザ・ロペス、アチェロ・マナス、コーク・マーヤ、ロドリゴ・ヴァルヴァーデ、たちである。

新聞記者のマルコスは、マドリッドの郊外で公演しているサーカス一座の取材を行い、そこで一座の花形スターで、射撃の名手・アンナに魅せられる。彼女は一座で生まれ育ち、幼い頃から腕を磨いた花形スターであり、彼女もマルコスに惹かれ、恋人同士になった。そんな中、マルコスがバルセロナに出張となった夜、アンナが3人のチンピラに暴行されてしまう。アンナは復讐を誓い、翌日、ライフルで3人のチンピラを探し出して射殺した。そのニュースを見たアンナは、自分の犯した罪に恐怖を覚え、マルコスに連絡するが、マルコスは不在で、連絡が付かない。で、孤独と絶望の中、アンナは逃走した。しかし、この時彼女は、犯された子宮から血を流していた。逃走中に札を受けると、大きな病院で早く治療しないと出血多量になって危険と言われる。そんなアンナは、車を走らせるが、ハイウェイで警官に職務質問された時、反射的にライフルを構え、警官を殺してしまった。更に逃げるが、車が故障してしまい、荒野の一軒家に逃れる。そこには親切な親子がいて、彼女を休ませてくれた。一方、出張から戻って来たマルコスは、留守番電話にあったアンナのメッセージを聞いて不吉な予感を覚え、アンナを捜し始めた。警察はアンナを追い、荒野の一軒家を包囲した。これにアンナは、そこに住む親子を人質にして立てこもった。マルコスもアンナが立てこもっていることを知り、駆けつけ、アンナを説得し、親子を解放させ、自分はアンナの元に残った。あるコスの腕に抱かれたアンナは安心したように、そっと息を引き取った...

自分の気持ちを上手く言葉に出来ないことから悲劇を招いてしまうヒロインをF・ネリが熱演し、A・バンデラスも良い味を出している。ただ、ストーリーとしては悲劇性を演出するためなのか、少し乱暴な所(突拍子もない所)があるのも事実である。そのため、悲恋の物語が今一つというように感じられてしまうのが残念である。

ある意味では、これも現代のレイプ問題と銃社会の悲劇を描いた作品ということになるが、それならばもう少し社会性を出しても良かったように感じられるのですがね...

A・バンデラスの熱心なファンを自認する方は見ていてもと思うが、そうで無い方は、ソフトの点でも恵まれていない(かつてはLDでリリースされていたものの、DVD化されていない)だけに、そのままで宜しいかと...

 

↓ビデオですが...

↓映画のパンフ

《シネマスクエアとうきゅう》カルロス・サウラ監督 フランチェスカ・ネリ/アントニオ・バンデラス愛よりも非情 …映画パンフレットCINEMA SQUARE MAGAZINE vol.119 【中古】afb


「DER SUMMER DES SAMURAI」 [映画(洋画)]

表題の作品は1985年の西ドイツ映画「ベルリン忠臣蔵」である。日本での劇場公開は1987年12月であった。邦題から分かるように、ベルリンを舞台にしたとんでもない映画である。が、アメリカ映画だと、イメージだけで現実とは大きくかけ離れたとんでもない武士が出てくるのだが、ドイツ映画はそういうことはなく、時代考証などは良く出来ている。(が、ストーリーとしてはやはり「とんでもない」作品ですけど...)

作品データを記しておくと、時間は105分、監督はハンス・クリストフ・ブルーメンブルグ、脚本はスザンヌ・ニッシヴィッツ、撮影はウォルフガング・ディクマン、音楽はヒューベルト・バルトローメである。そして出演は、ヴォジェックス・プュショナック、コーネリア・フローボッシュ、ハンス・ピーター・ホールウォッシュ、ナジャ・ティラー、ピーター・クラウス、たちである。

大石内蔵助の末裔に恩を受けたドイツ青年が夜のベルリンの街を恐怖に陥れた。黒装束に「大石」の文字が染め抜かれた鉢巻き姿で、経済界の大物、有力政治家といった要人の元に忍び込み、そこに日本語(漢字)で忍び込んだ証拠を記していく。その文字は「矢頭」「寺坂」「赤垣」…というような文字だった。当局はこれが何を意味するのか、全く解読できなかった。一方、この事件を追う女性レポーターはそれを解こうとする。やがて警察は、一連の事件をジャパン・バンデの仕業と断定して追っていく。が、狙われた要人たちには共通点があって、過去に日本を訪れた時に、ある秘剣を盗み出し、それによって大石家が破滅していた。青年は、恩を受けた大石家に忠義を尽くすために、復讐しようとしていたのだった。要人の大元締めは、身の危険を感じ、刺客として忍者を雇い、正体不明の敵を倒そうとしたが...

結局の所、C級作品にありがちなとんでもない映画である。まあ、そういうとんでもない映画ということが理解できる方だけが頭を抱えながら楽しむという作品である。ただ、内容としてはコメディに走ること無く、アクション・サスペンスとして(真面目に)作られている。が、アイデアが余りにも「とんでもない」ものであるので、思わず笑ってしまうような所が多々ある作品に見えてしまう作品である。

 

↓LDでリリースされていたものの、DVD化されていません。ビデオです。

ベルリン忠臣蔵 [VHS]

  • 出版社/メーカー: バンダイ・ミュージックエンタテインメント
  • メディア: VHS

ベルリン忠臣蔵 [VHS]

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • メディア: VHS

「DER STERN VON AFRIKA」 [映画(洋画)]

表題の作品は1957年の西ドイツ映画「撃墜王 アフリカの星」である。日本での劇場公開は1960年10月であった。第二次大戦で、撃墜王として知られるドイツ軍の英雄・ハンス・ヨアヒム・マルセイユの半生を綴った作品である。第二次大戦を取り上げた作品では、連合国側から描いた作品は数多いが、枢軸国側を取り上げることはそれほど多くない。本作はドイツが自国の英雄を描いている作品である。

作品データを記しておくと、時間は107分、白黒作品である。監督はアルフレッド・ワイデンマン、脚本はヘルベルト・ライネッカー、撮影はヘルムート・アシュレイ、音楽はハンス・マーティン・マジェウスキーである。そして出演は、ヨアヒム・ハンセン、マリアンネ・コッホ、ホルスト・フランク、ハンスイェルク・フェルミー、カール・ラング、ヴェルナー・ブランズ、アレクサンダー・クレスト、たちである。

時は1939年の夏。ドイツ空軍士官学校の生徒たちは、訓練の日々の中、青空を飛び廻っていた。その生徒の一人・ハンス・ヨアヒム・マルセイユは規律無視の常習犯て、青春を謳歌していた。それからまもなく、第二次大戦が勃発し、生徒たちは前線に送られていく。ハンスはアフリカ戦線に赴いた。アフリカ戦線では、常にイギリス軍との戦いが続いていて、ハンスは愛機のメッサーシュミットで活躍し、イギリス軍のスピットファイアーを次々と撃墜させて、撃墜王として敵から恐れられる存在となった。そんなある日、ドイツ本国から新しくパイロットがやってくるが、そのパイロットが砂漠に墜落してハンスの腕の中で死んだ。これによってハンスは、今まで考えたことも無かった「死」について、その意味を知ることになった。そして、これまでに撃墜してきた敵機の数だけ、彼は人を殺していたことを痛感した。そんなハンスは、少尉に昇進し、ベルリンに呼び戻されて「空の英雄」として国民的な英雄となった。何処に行っても歓迎される彼は、ある日、母校の小学校に講演に行き、そこでブリギッテという美しい女教師と知りあい、恋に落ちた。同盟国・イタリアに招かれたハンスはブリギッテを同伴し、深く愛し合う。そんな2人はローマに身を隠して、ひとときの幸せを得た。しかし、まもなくハンスは領有に発見されて、彼女と別れさせられて軍に戻り、アフリカ戦線に向かった。再び撃墜王として活躍したハンスは、158機もの敵機を撃墜していて「アフリカの星」と賞賛されるようになっていた。が、そんな彼にも最期の日がやってきた。出撃した機体が呼称し、失速していく機体から脱出使用としたが、パラシュートが開かず、撃墜王は22歳で散ったのだった。

米英の第二次大戦を扱った作品では、ドイツ軍は殆ど悪役として描かれているが、本作は一人の若き人間として描かれている所がポイントであって、新鮮さがある。また、白黒作品と言うところが時代を感じさせていて、良い方向に繋がっている。但し、空中戦のシーンなどは物足りなさがあるのも事実ですが...

米英の映画でもハンス・ヨアヒム・マルセイユが登場することがあるが、母国ドイツの作品であるだけに、米英作品とは違って人間らしく描かれているだけに、見ておいても宜しいかと...

 

撃墜王アフリカの星 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ケンメディア
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「DU MICH AUCH」 [映画(洋画)]

表題の作品は1986年の西ドイツ映画「イカれたロミオに泣き虫ジュリエット」である。日本での劇場公開は1991年10月であった。ベルリンの街を舞台にして、一組の恋人が奇妙な人物たちとすれ違いながら繰り広げる冒険物語である。ベルリンでは2年間のロングラン・ヒットとなったことでも知られる作品である。

作品データを記しておくと、時間は89分、白黒作品である。監督と脚本はアンニャ・フランケとダニー・レヴィの2人、共同監督がヘルムート・バーガー、撮影はカール・フリードリヒ・コシュニック、音楽はニキ・ライザーである。そして出演は、アンニャ・フランケ、ダニー・レヴィ、イェンス・ナウマン、マティアス・グネーディンガー、レギーネ・ルッツ、ヘルマ・フェールマン、カーリーン・ルザフォード、たちである。

東西統一前のベルリンのクロイツベルク地区。ここはアナーキーな若者たちが集まっている場所だった。スイスからこの地に流れてきた青年ロメオと、生粋のベルリン娘のユリアは恋人同士だったが、最近はうまくいっていなかった。そんな中、ある政治家の家で開かれるパーティで、ロメオがギター、ユリアがサックスの演奏をしている最中に殺人事件が発生した。2人は驚いて外に飛び出し謎の2人組の男に追われることになる。一緒に逃げるロメオとユリアの2人の心は再び1つにまとまり、力を合わせていく。難とか男をまいてアパートに帰った2人だったが、翌朝、ユリアは連れ去られてしまい、ロメオは難とか脱出した。実はユリアのサックスに、政治家のスキャンダルが映ったフィルムが紛れ込んでいたのだった。ロメオはユリアを救うべく、ピストルを持って一味のアジトの娼館に乗り込み、ユリアを救い出そうとした。が、射たれてしまったロメオは、最期の瞬間に、翼をつけてユリアの手をとってベルリンの上空を舞う自らの姿をみたのだった...

青春映画として描かれていたのが、突如巻き込まれ型のサスペンスになり、悲恋のラブ・ストーリーという形になるが、全体を通してアナーキーな所、スラップスティックな所があって、これはこれで面白い所である。(が、描き方を変えたら、また違った味わいが出たことでしょうね...)また、白黒映像という所がポイントになっていて、これが本作の独特の世界観を醸し出している。

ちょっと変わった作品であるが、チェックしておきたい作品である。が、DVD化されていない...(LDではリリースされていましたが...)

 

↓ビデオです。

イカれたロミオに泣き虫ジュリエット [VHS]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: VHS


「DER SCHONSTE TAG MEINES LEBENS」 [映画(洋画)]

表題の作品は1957年の西ドイツ映画「野ばら」である。日本での劇場公開は1958年8月であった。ハンガリー動乱によってオーストリアに逃れてきた孤児の少年が、ウィーン少年合唱団員となるまでの姿を描いたハートフルな人間ドラマである。

作品データを記しておくと、時間は95分、監督はマックス・ノイフェルト、脚本はマックス・ノイフェルトとカール・ライターの2人、撮影はヴァクラフ・ヴィッキ、音楽はハインツ・ノイブラントである。そして出演は、ミヒャエル・アンデ、パウル・ヘルビガー、エリノア・イェンセン、ヨゼフ・エッガー、パウル・ベジガー、リチャード・イェブナー、トーマス・ホルビガー、たちである。

1956年、ハンガリー動乱によって乱れたハンガリーから脱出してオーストリアに辿り着いた少年トニーと愛犬のフロッキ。しかし、収容所に向かうバスに乗り遅れ、途方にくれていた。そんな所を、元ドナウ河の汽船の船長というブリュメル老人に助けられ、一緒に暮らすようになる。ある日曜日、トニーは教会のミサでウィーン少年合唱団の歌うミサ曲の調べを耳にして魅せられ、合唱団に入りたいと思うようになる。トニーには音楽の才能があると見抜いたブリュメル老人は、それを叶えてやろうとして試験を受けさせて、合唱団に入ることになった。トニーは誰からも愛される団員になるが、他の少年たちと違って、家族がいないことを寂しく思うようになる。寮母のマリアはそんなトニーを優しく見守った。やがて、合唱団はアメリカ公演に備えて東チロルの山荘で合宿をした。そんなある日、マリアの部屋にあった千シル紙幣が紛失し、その前晩に、マリアの部屋に行ったトニーが一枚の紙きれを持出したのを見た団員がいたことから、トニーは疑われた。しかしトニーは何も言わず、飛び出して行くが、橋から落ちて怪我をして危険な状態になる。そんな中、紛失した紙幣が見つかり、トニーが持ち出したのはマリアの写真だったことが分かり、誤解は解けた。やがて意識を取り戻したトニーは、合唱団の一員として演奏旅行に出発し、ブリュメル老人と愛犬フロッキは合唱団のバスをいつまでも見送っていた。

「天使の歌声」と言われるウィーン少年合唱団であるが、劇中で聴かれる合唱はやはり素晴らしく、聴き所・見所の一つになっている。(但し、音楽を中心とした映画ではないことから、本格的な合唱シーンでは無いですが...)

物語としては派手なものではないが、心に届くものがある作品である。半世紀以上昔の作品であるが、現在でも十分通用する作品であるだけに、見ておきたい名作の一つである。

 

野ばら [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
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  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
  • メディア: DVD
野ばら [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
  • メディア: DVD

「DER GOLEM, WIE ERIN DIE WELT KAM」 [映画(洋画)]

表題の作品は1920年のドイツ映画「巨人ゴーレム」である。日本での劇場公開は1923年10月(大正時代である。)であった。何度か映画化されている中世のユダヤ伝説の映画化作品であって、日本では「大魔神」の原形になった作品として知られている作品であり、古典としてその名を広く知られている作品でもある。

作品データを記しておくと、時間は63分、白黒、サイレント映画である。原作はパウル・ヴェゲナー、監督はパウル・ヴェゲナーとカール・ボエゼの2人、脚本はパウル・ヴェゲナーとヘンリック・ガレーンの2人、撮影はカール・フロイントとグイド・セーベルの2人である。そして出演は、パウル・ヴェゲナー、アルベルト・スタインリュック、エルンスト・ドイッチュ、リディア・サルモノワ、ハンス・スツルム、マックス・クロネルト、オットー・ゲビュール、たちである。

中世のプラハ。ユダヤ人はゲトといち区域に押し込められていて、皇帝の圧政に苦しめられていた。そんな中、ユダヤ教の法律学者が泥人形として作られたゴーレムに命を吹き込んだ。ゴーレムは動き出して、人々を解放するように皇帝に求め、その解放を得た。しかし、博士の僕がゴーレムを悪用したことから、ゴーレムは暴れ出し、人々は解放してもらったゴーレムのことを恐れるようになってしまう。しかし、子供の無邪気なイタズラから、ゴーレムは生気を失うことになって、人々は救われたのだった。

物語としては、このジャンルの古典として広く知られているが、作品としては実際に目にすることというのは少ないものと思われる。実際、90年以上昔の作品ということで、見ようとしても難しい所があるのも事実である。

また、タイトルこそ「巨人」となっているが、劇中に登場するゴーレムは人間の等身大という大きさであるため、決して「巨人」というものではない。しかし、90年も昔にこういう作品が製作されているという歴史的な価値が大きいだけに、物語を楽しむというではなく、映画の歴史として、それを学ぶという視点で見るというのもまた面白い所である。

現在では、撮影機材の発展で、素人でも編集ソフトを使えば本作よりも高度な撮影技術を使った作品が製作できるものの、先人の知恵と職人の魂が籠もった手作り作品と接することで、得られる者も色々とありますよ。

 

巨人ゴーレム 新訳版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 有限会社フォワード
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巨人ゴーレム [DVD]

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「DOMANI ACCADRA」 [映画(洋画)]

表題の作品は1988年のイタリア映画「イタリア不思議旅」である。日本での劇場公開は1989年8月であった。19世紀半ばの革命前のイタリアを舞台にしたコミカルなロードムービーであり、当時28歳だったD・ルケッティ監督のデビュー作でもある。

作品データを記しておくと、時間は91分、監督はダニエレ・ルケッティ、脚本はダニエレ・ルケッティ、フランコ・ベルニーニ、アンジェロ・パスクィーニの3人、撮影はフランコ・ディ・ジャコモ、音楽はニコラ・ピオヴァーニである。そして出演は、パオロ・ヘンデル、ジョヴァンニ・グイデッリ、アニェーゼ・ナーノ、アンジェラ・フィノチアーノ、マルゲリータ・ブイ、チッチョ・イングラッシア、ウーゴ・グレゴレッティ、ダリオ・カンタレッリ、たちである。

時は1848年、革命前夜のイタリア・トスカーナ地方マレンマの牧童・ルーポとエドの2人は、病気の仲間を助けようとして、地主のデル・ギアナの集金人・テルミニオを襲った。が、満足な金を得ることはできなかった。それどころか2人は凶悪犯としてデル・キアナの息子・ディエーゴとオーストリア軍の3人組に追われることになってしまい、放浪の旅に出ることになってしまった。やがて2人は大盗賊・ジャンロレート一味の巣窟に迷い込み、その一味の仲間となった。が、エドは一味が誘拐しようとした貴族の傭兵に射たれて怪我をする。ルーポはエドを背負って逃亡し、辿り着いたのは川岸の城館だった。その城主・ルチーフェロ侯爵の娘・アレーグラと恋に落ちたエドは、そのまま城館に留まり、ルーポは旅に出る。そしてルーポは、発明家エネア・シルヴィオが創設した「調和の図」という森の中の理想郷に辿り着き、その発明家の姪・ヴェーラに一目惚れし、幸せの日々を得た。しかし、その日々は長く続かず、楽園の炭焼人によって追われるように旅に出ることになってしまう。その頃、革命が起こり、その今楽の中、ルチーフェロ伯爵たちは馬車で逃げ出し、その馬車とルーポは出会い、エドと再会した。が、デル・ギアナの追っ手に発見されてしまい、またまた逃亡の旅に戻ることになる。そしてミラノの見える国境に辿り着き、革命軍に救われて、そこから船に乗り、脱出の旅に出た。

ロードムービーということから来るテンポの良さと、コメディ仕立てであることから来る軽快さ、痛快さがあることから、リズムがあってなかなか面白く仕上がっている。時代設定は19世紀中頃であるが、そういうことも気にならずに楽しめる作品である。

ただ、ソフトということで恵まれていないのが残念である。(かつてはLDでリリースされていたのですが...)

 

↓ソフトが無いですが、こういうものがありました。

映画パンフレット 「イタリア不思議旅」 監督 ダニエレ・ルケッティ

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  • 出版社/メーカー: アットワンダー
  • メディア: おもちゃ&ホビー

映画スチール 「イタリア不思議旅」白黒3枚

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  • 出版社/メーカー: アットワンダー
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