「緋牡丹博徒」(その2) [映画(邦画)]
懐かしの邦画ヒーロー(ヒロイン)・シリーズの第6弾として記している「緋牡丹博徒」シリーズ、その2回目はシリーズ全8作の内、第2作と第3作です。それにしても、藤純子さんにはしびれます。
まずはシリーズ第2作の「緋牡丹博徒・一宿一飯」です。
作品データを記しておくと、1968年の東映京都の作品であり、時間は95分である。監督は鈴木則文、脚本は野上龍雄と鈴木則文の2人、撮影は古谷伸、美術は石原昭、音楽は渡辺岳夫である。そして出演は、藤純子、若山富三郎、待田京介、村井国夫、菅原文太、城野ゆき、白木マリ、山城新伍、玉川良一、小島慶四郎、天津敏、遠藤辰雄、西村晃、水島道太郎、鶴田浩二、たちである。
上州で恩義のある戸ヶ崎組が笠松一家のために全滅したと知ったお竜は、四国から上州に戻り、戸ヶ崎組の2代目を助けるべく力になるが、その2代目も笠松一家になぶり殺されてしまう。で、お竜は決心した...
この世界では「義理と人情」と人情という言葉は基本であるが、本当にそれを地でいくお竜には本当にしびれます。(藤さん、貫禄あります。)
続いて、シリーズ第3作の「緋牡丹博徒・花札勝負」
作品データを記しておくと、1969年の東映京都の作品で、時間は98分である。原案は石本久吉、監督は加藤泰、脚本は鈴木則文と鳥居元宏の2人、撮影は古谷伸、美術は富田治郎、擬闘は谷明憲、音楽は渡辺岳夫である。そして出演は、藤純子、若山富三郎、待田京介、清川虹子、小池朝雄、天津敏、石山律、南利明、内田朝雄、山本麟一、関山耕司、汐路章、柴田美保子、沢淑子、沢彰謙、林彰太郎、嵐寛寿郎、藤山寛美、高倉健、たちである。
本作はシリーズの中でも傑作として知られている1本であり、人気の高い1本でもある。物語の舞台は名古屋である。渡世修行を積むお竜は、熊虎親分からの添書を持って名古屋の西之丸一家へ草鞋を脱いだ。その頃、西之丸一家と対立している金原一家は国会議員と結託して名古屋一の貸元の座を狙っていた。そんな中、お竜は金原一家の賭場で自分の名を名乗るニセモノお竜(お時)を知り、捕らえた。お時は金原に利用されていたが、お竜への恩義から金原を裏切ることになって斬られてしまった。お竜は...
本作でも、お竜が実にカッコイイ。しかも、単に対立する(悪事を働く)相手を倒すのではなく、義理と人情の仁義の世界の筋がしっかりと通っている。しかも本作はそこに男女の恋物語が絡み、それらを上手くまとめている。やはり「傑作」と言われている作品だけのことはある。本作は見ないと損をしますよ。
OTTE E MEZZO(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1963年のイタリア映画の「フェリーニの8 1/2」(フェリーニの はっかにぶんのいち)である。イタリア語の原題をタイトルに記したが、英語タイトルは「EIGHT AND A HALF」、フランス語タイトルは「HUIT ET DEMI」であって、意味は同じである。邦題も劇場公開時は「8 1/2」であったが、ビデオ化された時に「フェリーニの」というものが付け加えられたが、どうしてこういうことをするのでしょうか。そんなものを付け加えなくても、本作はフェリーニ監督の代表作として十分名前が通っていると思うのですけどねぇ~。白黒映像であるのに、色彩が浮かび上がってくるような映像は、幻想と現実を交錯させた本作を見事に表現していて、彼の自伝的な大作である。(説明するまでもなく、フェリーニ監督の代表作ですから、ご存知でしょう。)尚、本作品はモスクワ映画祭でグランプリを獲得したり、アカデミー賞でも外国語映画賞を受賞していて、世界的にも高い評価を得ている。
作品データを記しておくと、製作はアンジェロ・リッツォーリ、監督はフェデリコ・フェリーニ、脚本はフェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネッリ、エンニオ・フライアーノ、ブルネッロ・ロンディの4人、撮影はジャンニ・ディ・ヴェナンツォ、音楽はニーノ・ロータである。そして出演は、マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、クラウディア・カルディナーレ、サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール、たちである。
映画監督のグイドは、ある日、自分の体が空中を落下する夢を見た。現実の日常の中で彼は精神的にも肉体的にも疲れ切っていたということで、その疲れを癒すために「療養」と言って温泉に出掛けた。が、そこでも彼は仕事や生活から逃れることが出来ず、温泉で余生を過ごしている老人たちの中に自分がいる、という幻覚を見始める。そんな彼の唯一の救いは、心の中に現れる聖女のようなクラウディアだった...
夢と現実を平行させながら、ありのままの自分の姿を映画の中に託して表現するというように、映画史に残る秀逸な描き方をしているのはあまりにも有名である。ということで、本作は、その表現方法を見るだけでも価値がある作品である。
また、映画の表現方法の方に気を取られがちである本作であるが、音楽はニーノ・ロータということで、こちらもまた素晴らしい。で、サントラ盤に収録されているのは以下の全12曲である。『Passerella Di Otto E Mezzo』『Cimitero - Cigolette』『E Poi』『Illusionista』『Concertino Alle Terme』『Nell'ufficio Di Produzione Di Otto E Mezzo』『Ricordo D'Infanzia』『Guido E Luisa』『Carlotta's Galopp』『Harem』『Rivolta Nell'harem』『Passerella Di Addio』。
本作では、全てがフェリーニ監督の方に目が行くが、それもニーノ・ロータの安定した音楽があるからこそ、音楽を信頼できると言うことで、映像の方に集中できるということがある。本作が映画史に残る大傑作であるということは異論のない所であるが、大傑作には自ずと素晴らしいスタッフが集結しているものであり、ニーノ・ロータの音楽は、本作では強烈に自己アピールすることはしていないが、さりげなく映像の方に集中させてしまうとは、これもまた職人芸の世界であって素晴らしい。音楽の方もしっかりと聴いてもらいたい所である。
「横溝正史シリーズ ~本陣殺人事件(全3話)」 [ドラマ]
WOWOWが今月から放送を始めた(現在は、デジタル192chでの先行放送のみであり、アナログのBS5chでは8月以降の放送になります。)名作ドラマ「横溝正史シリーズ」。これは1977年に放送されたものであり、金田一耕助を古谷一行が演じ、ぼさぼさの頭、よれよれの着物に袴姿という金田一のイメージを定着させたシリーズである。全27話が「本陣殺人事件」(全3話)、「八つ墓村」(全5話)、「真珠郎」(全3話)、「悪魔の手毬唄」(全6話) 、「犬神家の一族」(全5話)、「不死蝶」(全3話)、「黒猫亭事件」(全2話)という7つのエピソードで構成されている。
今回、最初のエピソードである「本陣殺人事件」(全3話)が終了したので、それについて記すことにする。(次回記すのは、第2のエピソードである「八つ墓村」(全5話)が終了した時となるので、5週間後、つまり7月末になります。→忘れていて記さないかも知れませんが...)
1時間枠のドラマで全3話となると、3時間枠の作品と言うことになるが、主題歌や前回までのあらすじ等のおさらいの部分を削除すると、130分強ということになり、やや長い目の映画という感じになる。ちなみに、本作と同じ原作の別の映像化作品(映画)は、中尾彬主演の映画「本陣殺人事件」は106分、片岡千恵蔵主演の「三本指の男」は72分である。
物語の方は、かつて本陣として栄えた一柳家当主の婚礼の夜、新郎新婦が無残な惨殺死体となって発見された。婚礼のために来ていた金田一耕助が事件の解明に挑む。事件の鍵を握るのは「三本指の男」。その正体は?(一応、ここではネタバレは書かないことにしますが、有名な作品ですから、結末はご存知だと思います。)
他の作品よりも時間が長いということで、ゆったりと物語が進んでいく。第1話が「起」、第2話が「承」と「転」、第3話が「結」といった感じである。本作は、30年前のTV放送作品であり、毎週放送の全3話ということを考えると、「起承転結」はそれなりに考えられてはいるが、最近の展開の早いドラマに慣れていると、物語の進展が遅く感じられてしまう。が、その分、細かい描写にも凝っていて、ポイントになる部分はじっくりと時間を掛けて描かれている。ということで、密度も高く、落ち着いてじっくりと鑑賞することが出来ます。(現在だったら、2時間枠で1回か、引っ張っても前後編の2話構成が良い所でしょうね...が、それと同時に内容の方もペラペラになっちゃうそう...)→'70'sという時代を感じるが、当時、高い視聴率を得たということも翌分かります。これは見るべき作品です。
尚、今後のアナログWOWOWの放送で今後ご覧になろうという方は、毎週見るのではなく、録画しておいて全3話を続けて見る方がよろしいかと...(2時間半ぐらい必要になりますが...)
↓本作はDVD化されています。
↓原作小説
VAN HALEN『DIVER DOWN』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1982年に発表された5th.アルバムである。'70'sの終盤に抜群のテクニックでその名を馳せた彼らも、'80'sになるとスーパー・バンドとして活躍するようになっていた。で、本アルバムは大ヒット曲を飛ばし、存在感を大いにアピールすることになった。サウンドの方も洗練されていて、ポップな要素も出てきて、聴きやすさもある。で、大ヒットを記録して、Billboardのアルバム・チャートで最高位3位を記録すると共に、1982年の年間アルバム・チャートでも60位にランクインしている。
収録曲は以下の全12曲である。『Where Have All The Good Times Gone!』『Hang 'Em High』『Cathedral』『Secrets』『Intruder』『Oh, Pretty Woman』『Dancing In The Street』『Little Guitars (Intro)』『Little Guitars』『Big Bad Bill (Is Sweet William Now)』『Full Bug』『Happy Trails』。
この中からは『Oh, Pretty Woman』がシングル・ヒットを記録していて、Billbosrdのシングル・チャートでは最高位12位、1982年の年間シングル・チャートでは88位にランクインする大ヒットになった。また、この曲もそうであるが、3曲がカヴァー・ソングであり、原曲の良さを上手く引き出すと共に、彼ららしさもしっかりとアピールして、完全に自分たちの曲にしている。(で、ここでも「名曲はいつの時代でも名曲である」という言葉を証明してくれた。)
ギターのテクニックについては改めて語る必要も無いが、本アルバムでもその実力を大いに発揮していて、ギター・サウンドが好きな筆者も大好きなアルバムの一つである。で、本アルバムからのお薦め曲は『Hang 'Em High』『Cathedral』『Little Guitars』はもうたまりません。そして『Intruder』から大ヒット曲『Oh, Pretty Woman』と言う所は、つなぎを含めて感動ものである。
次作「1984」が本作を上回る大ヒットとなったことから、本作は彼らのキャリアの中では陰に隠れるような位置づけになってしまったが、それは結果的にそうなっただけのことであって、手抜きなどは本作には一切無い。と言うよりも、本作でポップになって聴きやすくなったサウンドを更に磨いてブラッシュアップされたのが「1984」と言ってもいいでしょう。ということで、本アルバムもしっかりと聴いておきたいアルバムである。(この時期(1982年)にリリースされたアルバムというのも、1983年のアルバムと同様に全体的にクオリティが高いので、ハズレというアルバムはありませんけど...)