SSブログ

FLEETWOOD MAC『TUSK』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1979年に発表されたものであり、当時は2枚組(もちろんLPです)のアルバムとしてリリースされたものである。(CDでは1枚に収録されている。尚、収録時間の関係で、多少編集が行われている。)とにかく、前作「RUMOURS」が通算で31週間も全米No.1の座を獲得するという超大ヒットとなっただけに、期待と不安の両方があった中で発表されたアルバムである。(その評価は分かれていますが...)前作がモンスター・アルバムということで、期待する方も大きなものを求めたが、ボーカルが3枚あるという彼らの特長を生かした豊かな楽曲を収録したアルバムとなっている。また、当時は(LPの)2枚組ということで、収録曲、時間がたっぷりとあったことも、彼らのサウンドを寄り多く堪能できると言うことで、良い方に転がることになった。が、やはりモンスター・アルバムの次のアルバムということで、それと比較すると(これは当然のことであるが)ちょっと寒さを感じるアルバムにもなってしまった。(が、本アルバムのクオリティが悪いと言っているのではない。あくまでも比較対象が高すぎるために、相対的に低く感じてしまうということである。)本アルバムは1980年のBillboard年間アルバム・チャートでは20位、レギュラー・チャートでは最高位4位を記録しているが、これも前作のモンスター・アルバムと比較してしまうと寂しく感じるが、この成績は「不評」と言う声が多数ある中では健闘した方である。

収録されているのは以下の全20曲である。『Over & Over』『Ledge』『Think About Me』『Save Me A Place』『Sara』『What Makes You Think You're The One』『Storms』『That's All For Everyone』『Not That Funny』『Sisters Of The Moon』『Angel』『That's Enough For Me』『Brown Eyes』『Never Make Me Cry』『I Know I'm Not Wrong』『Honey Hi』『Beautiful Child』『Walk A Thin Line』『Tusk』『Never Forget』。この中からは2曲がBilboardの年間シングル・チャートTOP 100にランクインしているが、S. ニックスのボーカルのバラード・ナンバーである『Sara』(1980年、年間87位、レギュラー・チャートの最高位は7位)とL.バッキンガムの『Tusk』1980年、年間94位、レギュラー・チャートの最高位は8位)である。この2曲は全く種類の異なる曲であるが、こういう所はC.マクビーを含めたボーカルが3枚看板である彼ららしいところでもある。

が、本アルバムではこの特徴を逆に使い、女性ボーカル曲、リンジーの曲を交互に配置するということを行っている。これによって同じ傾向の曲が繋がることから逃れているが、逆に言えば、バラード・ナンバーで良い雰囲気になったのに、その雰囲気が長く続かないということで、コロコロと場面が変わるめまぐるしい印象を与えてくれることになった。(が、これも一長一短であり、変化に富む内容を表現できることにもなっている。→同じことでも見方を変えれば違ったことを言うことが出来るという見本ですね。)

筆者のお薦め曲は、筆頭はやはり何と言っても『Sara』である。これはS. ニックスの歌うバラードということで、なかなかの良い雰囲気の一曲であり、妖精と言われる彼女の魅力に満ちた一曲である。更には『Over & Over』『Never Forget』といった女性陣のボーカル・ナンバーと、リンジーの曲ではアルバム・タイトル・ナンバーである『Tusk』をピックアップしておく。

元々は2枚組のLPであるだけに、曲数、時間の方は1枚もののアルバムと比べると充実しているのは当然であるが、CDの時代になってからリリースされる通常アルバムと比べても清く吸う、時間は充実しており、思わない形で2枚組の大作アルバムを1枚のDISCで接することが出来るようになったこともあり、LPと比べると、(操作の上で)とても聴きやすくなった。が、収録時間の関係で一部の曲がLPよりも短くなっていることが唯一の不満点となる。(が、CD2枚ということになると、一度で全曲を堪能できなくなるので、LPとあまり変わらなくなってしまう。)しかし、'80'sという新しいディケイドに向けたMACのサウンドを堪能できるということは、それはそれで良いものである。彼らのサウンドをたっぷりと堪能しましょう!

 

Tusk

Tusk

  • アーティスト: Fleetwood Mac
  • 出版社/メーカー: Reprise
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

FIXX『PHANTOMS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1984年に発表された彼らの3rd.アルバムである。前作「REACH THE BEACH」でブレークした彼らであるが、その勢いは続かず、この程度のアルバムと言うことでがっかりしたアルバムである。(その辺りは、一般の方々も敏感に受け止め、本アルバムはさっぱりだった。)サウンドは'80'sポップスの流れを受けたシンセサイザーを中心に据えたものであるが、これという個性が無く、その種のサウンドがお好きな方にとっては「可もなく不可もなし」ということであったが、クオリティの高い1983年の数々の名曲を体験した者にとっては期待を完全に裏切ることになった。とにかく、1983年に発表されたものは優秀な曲が目白押しであり、この1年で音楽シーンは数年分以上の格段の進歩を遂げたが、その'83年サウンドの延長線上にもかからなければ、こういうことになるのは当たり前である。

収録されているのは以下の全12曲である。『Lose Face』『Less Cities, More Moving People』『Sunshine In The Shade』『Woman On A Train』『Wish』『Lost In Battle Overseas』『Question』『In Suspense』『Facing The Wind』『Are We Ourselves』『I Will』『Phantom Living』。この中からは『Are We Ourselves』がシングル・カットされてそれなりのヒットをしたものの、彼らをブレークさせた『One Thing Leads To Another』のような斬新さ、心地良さがなく、これはシングル・カットする曲を間違えたと言わざるを得ない。そんな中、本アルバムの中では『Sunshine In The Shade』と『I Will』はお薦めできる曲である。(これらを先にシングル・カットしていれば、もう少し状況は変わっただろう。)

1984年といえば、前年1983年のクオリティの高さからそのままの勢いを保ったクオリティの高いものと、その反動からか、駄作と言えるものが多数存在した。また、'80'sになって新たなメディアとして定着したMTVの方も、最初の興奮が冷めてきて、「淘汰」の時期を迎えることになったが、良い意味でも悪い意味でも本アルバムは後者の代表のようになってしまった。(が、「代表」と言われることで、時代に残ることになったのは皮肉でしょうか?)'80'sのシンセ・サウンドがお好きな方は十分楽しむことが出来るアルバムであるが、そうでない方にとっては、'80'sを象徴するアルバムの一つということで、とりあえずは聴いてみてもらいたいアルバムである。(ひょっとしたら、これから再評価される可能性もないとは言えませんし...)

 

Phantoms

Phantoms

  • アーティスト: The Fixx
  • 出版社/メーカー: One Way
  • 発売日: 2001/09/25
  • メディア: CD


コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ERIC CARMEN『ERIC CARMEN』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1975年に発表された彼の1st.ソロ・アルバムである。ソロに転向していきなり『All By Myself』の大ヒットを生み出したことで、ラズベリーズに縛られることなく、アーティストとしての評価を得ることになった彼であるが、この曲を始めとしてバラードの方は素晴らしいものがある。本アルバムはそのシングル・ヒットをはじめ、次々とシングル・ヒット(4曲)を生んだことからロングセラーとなり、Billboardのアルバム・チャートでは最高位21位であるが、1976年の年間アルバム・チャートでは20位というように、年間チャートの順位がレギュラー・チャートの最高位を上回るという珍しい記録を樹立した。(こういうアルバム、時々はあるものの、毎年あるというようなものではない。)が、1st.ソロ・アルバムの内容があまりにも高かったために、彼はこの後苦悩の道を進んでいくことになってしまう... が、後のことがどうあれ、本アルバムは'70'sという時代に刻み込まれた名盤であるということに変わりはない。また、彼の最高傑作と言っていいアルバムである。

収録されている曲は以下の全10曲である。『Sunrise』『That's Rock'n Roll』『Never Gonna Fall In Love Again』『All By Myself』『Last Night』『My Girl』『Great Expectations』『Everything』『No Hard Feelings』『On Broadway』。

この中からは、やはり『All By Myself』を抜きにして語ることは出来ない。あまりにも美しいメロディ・ライン、優しいボーカルは大ヒットを記録してBillboardのシングル・チャートを2位まで上がった。また、1976年の年間シングル・チャートでは40位にランクインしている。当然のことながら、日のような名曲は他のアーティストたちによってカヴァーもされていて、スタンダード・ナンバーとなっている。この曲があまりにも良いため、他の曲が隠れてしまっているが、バラード・ナンバーである『Never Gonna Fall In Love Again』もお薦め曲である。(とにかく、本アルバムはバラード・ナンバーが秀逸である。)その他の曲も聴かせてくれる曲があるものの、ちょっと纏まりすぎていたり、しまりがないポップ調のものであったりと、今ひとつと言った域を脱しない所はちょっと残念である。が、上述の2曲の名バラードを聴くためだけに本アルバムを所有していても、その価値は十分ある。(ベスト盤を入手してもこの2曲は収録されているので、そういう方法もありますが... ただ、本アルバムだと、ソロになって意気込む彼の気持ちを感じ取ることが出来ます。)

この後、このようなジャンルの音楽はA.O.R.が台頭して一大ブームとなり、バラードと言っても少し雰囲気が変わったものが主流になるが、少なくとも彼が放った『All By Myself』は決して色褪せるものではない。これは数多くのアーティストたちがカヴァーしていることからも容易に分かることである。名バラード『All By Myself』のオリジナル・シンガーの、そのオリジナル・バージョンが収録された本アルバム、一度は聴いてみてください。

 

Eric Carmen

Eric Carmen

  • アーティスト: Eric Carmen
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 1992/11/10
  • メディア: CD


コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ENYA『SHEPHERD MOONS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1991年に発表された彼女の2nd.アルバムである。また、本アルバムは199週間にわたってBillboard誌のアルバム・チャートにランクインした超ロングセラー・アルバムである。(が、これでも上はたくさんあり、長期エントリーアルバムのTOP 20には顔を出さない。TOP 20に顔を出すには、まだあと約1年入り続けなければならない。)レギュラー・チャートでは最高位17位であったが、1992年の年間アルバム・チャートでは28位、翌1993年の年間アルバム・チャートでは75位にランクインしている。彼女の奏でるサウンドは「ヒーリング」系のものであり、誰もが心を癒されるというサウンドであり、叙事詩的な幻想的な世界へ誘ってくれるが、透明感溢れる彼女のボーカルがまた一段とそういう世界へ引き込んでくれる。'90'sの初頭にこのジャンルの音楽が確立し、彼女をはじめ大ヒットを飛ばすアーティストが現れたが、彼女はその代表格である。

収録されているのは以下の全12曲である。『Shepherd Moons』『Caribbean Blue』『How Can I Keep from Singing?』『Ebudae』『Angeles』『No Holly for Miss Quinn』『Book of Days』『Evacuee』『Lothlorien』『Marble Halls』『After Ventus』『Smaointe』。

いずれの曲もが幻想的な叙事詩の世界をロマンティックに、語りかけるかのように優しく響いてきて、聴いていると時の経つのも忘れて安らぎの世界にいる自分に気がつくことになる。こういう世界を構築するには、彼女のしっかりとした歌唱力のあるボーカルがあるためであるが、これまでの女性ボーカリストとは違った透明感溢れるボーカルは、もはや一つの楽器と言っても過言ではない。その彼女のボーカルとオーケストラティックなスケールの大きいサウンド、これらが前作同様に本アルバムでも見事な調和が取れている。

「癒し」のサウンドがヒットすると言うことは、それだけ社会生活で色々なストレスを蓄積させていくということであるが、彼女のサウンドは確かにそういうストレスを消してくれる効果がある。毎日聴くというようなサウンドではなく、時々耳にするということで心を癒してくれる彼女のサウンドは、「音を楽しむ」という音楽ではあるが、もはや精神的療法と言うことも出来る。(が、こういう療法は法律的には認められない。あくまでも個人的な精神世界の問題である。)精神安定剤にもなるということで、お手元のライブラリーに加えておきましょう。

 

Shepherd Moons

Shepherd Moons

  • アーティスト: Enya
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1991/11/19
  • メディア: CD


コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。