SSブログ

「THE STORY OF LOUIS PASTEUR」 [映画(洋画)]

表題の作品は1936年のアメリカ映画「科学者の道」である。時々製作される実在の人物の半生を描いた伝記映画である本作は、炭疽菌や狂犬病の治療法を発見したり、低温殺菌法を開発したフランスのルイ・パスツールの半生を描いた作品である。特に、本作では狂犬病の研究に関するところを中心にして描かれている。ただ、製作から70年以上が経過している古い作品であり、ややのんびりしている所があるのもまた事実でして...

作品データを記しておくと、時間は87分、原作と脚本はシェリダン・ギブニーとピエール・コリングスの2人、監督はウィリアム・ディターレ、撮影はトニー・ゴーディオ、音楽はエリック・ウォルフガング・コーンゴールドである。そして出演は、ポール・ムニ、ジョセフィン・ハッチンソン、アニタ・ルイーズ、ドナルド・ウッズ、フリッツ・ライバー、ポーター・ホール、エイキム・タミロフ、ゴードン・エリオット、たちである。尚、ポール・ムニは本作でアカデミー主演男優賞を受賞していて、シェリダン・ギブニーとピエール・コリングスの2人は連名で原案賞と脚色賞を受賞している。(作品賞を含めて4部門にノミネートされたが、受賞したのは3部門であった。)

伝記映画と言うことなので、ある程度は本人についての知識を得た上で見た方がよい作品である。ということで、簡単に彼について記しておくと、1822年生まれのフランスの細菌学者、生化学者であって、近代細菌学の開祖と呼ばれている一人である。(コッホもこのように呼ばれている。)化学者としては、分子の光学異性体を発見しており、細菌学者としては発酵と腐敗に微生物が絡んでいることを明らかにして、パスチャライゼーション・低温殺菌法とワクチンの予防接種方法を開発し、炭疽菌、狂犬病ワクチン、ニワトリ・コレラ・ワクチンを発明している。また、パリにあるパスツール研究所は彼が開設したものである。1895年に72歳で亡くなっている。

本作では、炭疽病の病原菌である炭疽菌を発見し、その治療法を確立したパスツールは、狂犬病の研究に着手する。そんな中、ナポレオン3世の侍医のシャルボンネはパスツールを疑惑の目で見ていて、研究の妨害工作を始める。その妨害を乗り越えて、パスツールは助手や協力者の力もあって、狂犬病のワクチンの培養に成功し、治療法を確立していく...

科学者としての業績が医大であるため、彼の名前は誰でも知っているが、その反省は意外と知られていない。そういう意味では本作は、パスツールという人物を知るにはとても良い作品である。とは言っても、彼の専門分野は普通の生活に役立っている分野でもあるのだが、今一つ知られていない文屋でもあるだけに、どうしても敬遠されがちになっているのも事実である。

本作がアカデミー賞を3部門に渡って受賞しているのに、知名度がなくソフト化ということでも虐げられている(とんでもない作品でもリリースしていたLDですら、本作はリリースされていない。)のだが、何とかならないものかと思う所である。→内容が無いのにアカデミー賞を受賞すると言うことはあり得ないですし...

 

↓DVD化されていません。(ビデオです。)

科学者の道【字幕版】 [VHS]

  • 出版社/メーカー: ジュネス企画
  • メディア: VHS

Story of Louis Pasteur [VHS] [Import]

Story of Louis Pasteur [VHS] [Import]

  • 出版社/メーカー: Warner Home Video
  • メディア: VHS

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

JENNIFER HOLLIDAY『FEEL MY SOUL』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1983年に発表された彼女のデビュー・アルバムである。それ以前からブロードウェーの舞台に立っていた彼女は、オリジナルキャスト盤の「DREAMGIRLS」で歌った曲がシングル・カットされているということで、シンガーとしても知られている存在であって、歌唱力は定評があったが、そんな彼女の満を持してのアルバムである。チャート成績は、Billboardのアルバム・チャートで最高位31位を記録している。(彼女の発表したソロ・アルバムの中では最大のヒットとなった。)

収録曲は以下の全9曲である。『Just Let Me Wait』『I Am Ready Now』『This Game Of Love (I'm Never Coming Down)』『I Am Love』『Shine A Light』『Just For A While』『My Sweet Delight』『Change Is Gonna Come』『This Day』。

この中からシングル・カットされたのは2曲である。1st.シングルの『I Am Love』はBillboardのHOT 100では最高位49位、R&Bチャートでは2位を記録するヒットとなり、2nd.シングルの『Just Let Me Wait』はBillboardのR&Bチャートで最高位23位を記録している。(ちなみに、「DREAMGIRL」からのシングルである1982年にリリースされている『And I Am Telling You I'm Not Going』はBillboardで22位、R&Bチャートでは1位を記録しており、それを越えることは出来なかった。)

お薦め曲は、シングル・カットされている『I Am Love』と『Just Let Me Wait』、そして『I Am Ready Now』『Change Is Gonna Come』『This Day』と言うところをピックアップしておく。

歌唱力があって、安心して聴いていられるものの、アルバムとしては迫力或る彼女のボーカルを中心としたものであって、ゴスペルに近いアルバムである。そのため、日本では今一つ親しみにくい内容でもある。が、迫力あるボーカルは圧巻であって、(特に女性ボーカルを)じっくりと歌を聴こう、という方にはピッタリのアルバムである。

それにしても、R&B、ゴスペル系の黒人女性シンガーとなると、歌唱力は本当にスゴイですね。兎に角、声量の豊かさ、迫力、パワフルなところには一瞬でKOされてしまうほどの迫力である。兎に角、じっくりとボーカルを聴きたいという方にはお勧めのアルバムである。

 

Feel My Soul

Feel My Soul

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Geffen Gold Line Sp.
  • 発売日: 1998/08/11
  • メディア: CD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その181) [ケータイ刑事]

今回のテーマは「オブザーバーによる逮捕劇」です。(ここで言うオブザーバーとは、物語に於いて主役ではないポジションに位置づけられているキャラ、という意味であって、本来の「傍観者」、「立会人」という意味ではありません。)取り上げる物語は「ケータイ刑事」からは「・13話」、「007」からは「消されたライセンス」です。

ケータイ刑事」:「・13話」。「カメラは見ていたワンシーン・ノーカット ~BS-i連続殺人事件」という物語である。この物語はサブタイトルにあるように、30分枠のドラマがワンシーンで撮影されているということで、「ケータイ刑事」の中でも伝説の作品となっているものである。また、本作によって「ケータイ刑事」では様々な冒険的な試みが1クールに1本は行われるようになったということで、「ケータイ刑事」の歴史に於いても重要な1本である。

この物語は、BS-iで、熱血刑事の五代さんのドキュメンタリー番組(番組タイトルは「警視庁熱血刑事 密着二十四時」)が製作されることになり、五代さんは主役ということで張り切っていた。そんな所にちゃんが「何やってるんですか?」と言って現れ、自分もテレビに出てみたい、と言ってつきまとう。が、ディレクターの平野に追い払われてしまう。それでもちゃんは五代さんに絡んでいた。

そんな所に事件を知らせる入電が入る。それはBS-iから殺人事件の通報があったというものであり、ちゃんは早速捜査を開始する。尚、密着ドキュメンタリー番組の方は、そのまま撮影が続けられることになり、カメラは回り続けていた。

カメラが回っていると言うことで、五代さんはあくまでも主役は自分だと思っていて、珍推理を披露しながら捜査を続けていく。

で、五代さんは第二の被害者が遺書を持っていたことから、彼が犯人であって、最終的に自殺したと判断して事件を解決した、と言っていた。(その通りだったら、五代さんは主役だったんですが...)

が、ちゃんは独自に捜査を続けていて、事件の謎を解明していく。で、真犯人、並びに殺しのトリックが分かったちゃんは真犯人を捕らえた。ちゃんの説明した通りということで、真犯人は否定のしようもなく、犯行を認めた。で、犯人逮捕のシーンでは、ディレクターから「逮捕の瞬間、一発くれる?」と言われる。「私?」と言っていたちゃんだったが、手錠を掛けた真犯人の映像が撮影され、ディレクターは「ケータイ刑事 密着24時」と、いつの間にか番組タイトルを変更していた。これにちゃんは「ご苦労様でした」とカメラに向かって敬礼をすると、真犯人を連行していった。(いつの間にか、ドキュメンタリーも主役が五代さんからちゃんに変わっていた。)

五代さんは、いつの間にか自分が主役でなくなっていたことに不満をタラタラと言うが、「はい、カット」とカチンコを目の前で叩かれて撮影は終了してしまった。

最初は、五代さんが主役となるはずのドキュメンタリー番組であり、本作の主役であるちゃんはオブザーバーという位置づけだったが、ちゃんが事件を解決したと言うことで、犯人逮捕の主役になった。(ドキュメンタリーがちゃんを主役にしていたことからも、ちゃんの活躍によって犯人が逮捕できたということを物語っている。)しかし、本作は元々ちゃんが主役であるため、形の上では主役がいつものように活躍した物語でした。

007」:「消されたライセンス」。1989年のシリーズ第16作であって、4代目ボンドの第2作である。シリーズで初めて、I・フレミングの原作小説にはないタイトルが付けられた作品として知られている1本である。また、製作年の下一桁が「9」の都市に製作された作品は異色作というのが「007」シリーズではお馴染み(1969年の「女王陛下の007」、1979年の「ムーンレイカー」、1999年の「ワールド・イズ・ノット・イナフ」はそれぞれがシリーズの中でも異色の作品と位置づけられている。→異色の設定があるという意味です。)てあるが、本作ではボンドが個人的な復讐のために動いたという作品となって、4代目ボンドの特徴である「人間ボンド」を象徴する作品になっている。

物語の冒頭で、ここから本作は進んで行くことになる。ボンドの親友のCIA・フェリックス・ライターの結婚式に出席することになっていたボンド。結婚式当日、フェリックスと共に式場となる教会に向かっていたが、麻薬取締局(DEA)が長年追っていた麻薬王・サンチェスが現れたという知らせで、逮捕の許可を得たと言うことで、フェリックスはサンチェスの逮捕に向かう。これにボンドも行くと言った、で、フィリックスはボンドに対して「手を出さずに見ているだけだぞ」と念を押していた。で、2人はサンチェス逮捕に向かった。(これによって、ボンドはあくまでもオブザーバーという位置づけになった。)

サンチェスの一味を追いつめたDEA。ボンドは乗ってきたヘリコプターにいろ、と言われ、そこから様子を見ていた。しかし、サンチェスの一味の攪乱作戦にボンドも手を出した。そんな中、サンチェスはDEAを嘲笑うかのようにセスナで脱出しようとしていた。で、ボンドはヘリを呼び寄せてサンチェスを追うことにした。

離陸したセスナは20分もしたらキューバに逃げられてしまう。が、ボンドは諦めずに、サンチェスの乗ったセスナを(空中で)生け捕りにする作戦に出た。ボンドはヘリから宙づりとなってサンチェスのセスナに迫り、後部胴体に乗り移ると、ワイヤーを引っ掛けた。で、合図と共にヘリが上昇すると、セスナは失速し、ヘリに吊り上げられた。ということで、ボンドの活躍でサンチェスを捕獲することに成功した。

フェリックスとボンドは、サンチェスの移送をDEAに任せると、パラシュートでヘリから降下して、結婚式が行われる教会に降り立ち、フェリックスの新妻・デラが空から降りてくる新郎・フェリックスと立会人のボンドを迎えた。

あくまでも、ボンドはその場に居合わせただけで、サンチェスの逮捕に協力した、というのが表向きであるが、実際はサンチェス逮捕はフェリックスやDEAではなくてボンドによって行われたということで、本作の主役であるボンドがオブザーバーと言う位置づけであったが、逮捕劇では派手なアクションを含めて完全に主役となっていた。

共通点は、本来の主役である銭形/ボンドが、ポジションとしては主役の座を相棒に譲ってオブザーバーのポジションになっていたが、自らの判断で動き、そして犯人を逃がさずに追いつめて逮捕したことである。(物語の展開そのものが同じである。)また、その展開の中で主役の座を務めることになったキャラ(五代さん/フェリックス)はミスを犯している(「ケータイ刑事」では珍推理で犯人に辿り着かなかった、「007」ではサンチェスに逃げられそうになった。)のも共通していて、それを本来の主役である銭形/ボンドの活躍ではね除けて犯人を逮捕しているという所も同じである。

相違点は、「ケータイ刑事」では真犯人が分からず、複数の容疑者の中から、状況を分析して真犯人を割り出して逮捕するという推理ものとしての展開で犯人を逮捕しているが、「007」では最初から逮捕する相手が分かっていて、それを捕らえるというアクションものとしての展開で犯人を逮捕しているということである。

次回も「シチュエーション」ということで記す予定です。何が登場するかはお楽しみに。

 

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

消されたライセンス [Blu-ray]

消されたライセンス [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray
消されたライセンス (アルティメット・エディション) [DVD]

消されたライセンス (アルティメット・エディション) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD
消されたライセンス (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]

消されたライセンス (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。